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Oneboy

One Boy's TENNIS Diary

プロテニスコーチが素直な想いを綴るテニスダイアリーです。
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01

★第56試合『“トスアップ-俺達の道-”第四話』(不定期連載青春テニスストーリー)

《前回のあらすじ》
メンバー選考の理由を語らないユウスケ。
そんなユウスケに対するスミオの怒りはどこか不信感に変わろうとしていた。
その時、何かを知っているニイホリがスミオに語り始める。

部室にはスミオとニイホリの2人のみだった。
いや、2人が出す近づきがたい雰囲気に、他の部員が耐え切れずに逃げ帰ったのだ。
そして、そうなる事をニイホリが望んだのだろう。
「ユウスケが自分を外した理由だけどな・・・」
「知ってるんすか?」
「うむ・・・今は触れないでやってくれないか?話すべき時が来たら、アイツから話すだろう」
「先生!それじゃ納得が出来ないんすよ!」
「・・・・」
「何か理由があるなら尚更です!3年間共にやってきた俺達には知る権利があるはずです!」
ニイホリはそこから何も言わなくなってしまった。
「・・・失礼します」
俺は先生に一礼して、その場を去った。

ユウスケを追う。
それしか頭に無かった。
駅までは歩いて15分程度だから、今から走れば追いつけるはずだ。
走るとラケバが上下に揺れて肩に食い込む。
(何が入ってんだ、まったく、勉強道具なんか入ってないし、ラケットだろ?シューズだろ?シャツにウェアに・・・・)
イライラしているだけだったんだと思う。
ラケバにあたっても仕方ないのに。
肩の痛さを我慢しながら走り続けて、駅の手前でユウスケに追いついた。
奴は相変わらず英単語帳を見ていた。
「ユウスケ!」
「スミオ・・・どうした?」
「先生に聞いたけど・・・・なんか・・・あったのか?・・・・ユウスケ・・・」
「・・・・・」
ほぼ全速力で走ってきたおかげで言葉も途切れ途切れであったが、俺が何を聞いたのかはユウスケには伝わったみたいだ。
「聞いたか・・・」
「聞いたって言っても、何がなんだか良く分からないから直接聞くために追いついたんだよ」
「実は俺・・・・大会に出られないんだ・・」
息切れはいつの間にか治まっていた。

ユウスケは何故大会に出ないのか?
スミオの反応は?
2人の関係はどうなってしまうのか?

(青春テニスストーリー掲載は終わるまで頑張ります)

つづく・・・(次号もいけるか?)

カテゴリー:-全力打球-編
03/10 01:18
02

★第55試合『“トスアップ-俺達の道-”第三話』(不定期連載青春テニスストーリー)

《前回のあらすじ》
どうしても納得がいかないメンバー選考に苛立つ主人公スミオ。
眠れない夜を過ごした翌日、部室に向かう。
そこには、自らをメンバーから外し、控えに回ったユウスケがスミオを待っていた・・・。

「ユウスケ・・・」
「お、早いな。早く着替えて練習しようぜ」
まるで俺と話すことを避けているみたいな早い返しだった。
その事に更にイラッとし、プチっとスイッチが入った。
アイツの言葉は無視して、続けた。
「昨日の話、まだ終わってないんだけど」
「話?ん、メンバーのことか?」
「ああ」
「2年の金子で大丈夫だよ。俺、この前やられたし。最近急成長だぜ、あいつ」
「確かに伸びてきてるよ。けどな、それでもお前のほうが上だし、経験だってある」
「・・・」
「最後の大会なのに!2年に任せていいのかよ!」
「・・・」
沈黙があった。
ほんの数秒、それも1-2秒程度だったが、それでもスミオには長く感じた時間だった。
-どうなんだよ!-
あとほんのちょっと、沈黙が続いていたら大声をだしていただろう。
それを感じ取ったのか、
「変えるつもりは無いよ。金子にも、もう話してある。さ、それより練習だ」
絶妙のタイミングだった。
この間の取り方、外し方とでも言おうか、ユウスケの持って生まれた才能の1つだろう。
ペアを組んでいて、頼れるところでもあった。
しかし今回は、その事ですかされた。
ユウスケは真っ赤なラケットを持って部室を出て行った。
その日の練習はいま一つ集中できずに終わった。
部活後、いつもの店にも寄らずに、ユウスケは俺を避けるように帰っていった。
「じゃ」
それだけを言い残して。
後を追おうと、ラケバを担ごうとした時、
「スミオ、ちょっと残れ」
引き止められた。
顧問のニイホリ先生だった。
正直、うまくすり抜けてアイツを追いたかったが、呼び止めたニイホリの雰囲気がそうさせなかった。
「ユウスケの事なんだが・・・・」
俺はラケバを置いた。

かわすユウスケ。
追うスミオ。
顧問のニイホリは何を語ろうとしているのか?

(青春テニスストーリー掲載は不定期です)

つづく・・・(もう限界?)
カテゴリー:-全力打球-編
02/25 21:11
03

★第54試合『“トスアップ〜俺達の道〜”第二話』(不定期連載青春テニスストーリー)

《前回のあらすじ》
部活後の、いつも通りの帰り道。
隣に居るのはいつものアイツ。
普段と何も変わらない。
しかし、アイツと別れた後に来たメールで全ては変わり始めたのだった・・・。

何の気無しに開いたメールに書かれていた事をきちんと理解するには数秒掛かった。
『メンバーは俺抜きで行く。任せた』
はぁ!?驚きと戸惑いがすぐに怒りに変わる。
同時に目の前のドアが開いた。
駅に着いたんだな。
俺はホームに降りるなり、携帯のアドレスからアイツの電話番号を探す。
呼び出し音が2回半鳴ったところでアイツの声がスピーカーから聞こえてきた。
「どうした?」
何の用?みたいに聞いてきたこの一言をきっかけに、俺の気持ちが大声となって駅のホームに響き渡る。
「どうした?じゃねぇだろ!あのメール、どういう意味だよ!」
「ん?あぁ?メンバーの事か?だから言っただろ、大体決まったって」
「そうじゃなくて、何でお前が入ってないんだよ!」
「でかいよ、声。聞こえてるから。俺はきちんと決めたつもりだぜ」
「はぁ?お前でなきゃ誰が出るんだよ?」
「2年の金子でいいだろ?」
「だってお前・・・」

20分くらいは話していただろうか。
あたりはすっかり暗くなっていた。
結局、メンバー選考の理由、と言うかアイツが出ない理由はよく分からなかった。
入部から今まで練習は常に一緒にやってきて、最近では固定のペアとして組んでいた。
俺達の実力は部内で突出しているわけではないが、それでもメンバーとしては十分であったと思っている。
「何でだよ・・・・」
明日、アイツに会って直接確かめるしかない。
その夜はあまり眠る事が出来なかった。

次の日、放課後になり、俺はアイツの待ってる部室へ向かった・・・・。

自分をメンバーから外した理由はなんだったのか?
2人の関係は今後どうなってしまうのか?
(青春テニスストーリー掲載は不定期です)

つづく・・・(と良いですね・・)
カテゴリー:-全力打球-編
02/10 02:08
04

★第53試合『“トスアップ-俺達の道-”第一話』(不定期連載テニスストーリー)

「おい、寄ってく?」
「おう、いいぜ」
練習の帰りはここに寄るのが定番。
正門の前にあるこの店は、部活帰りの学生でいつも混んでいる。
金が無い俺達は100円で買えるデカい菓子パンを買って駅に向かうんだ。
妙なこだわりからか、飲み物は炭酸飲料とかジュース類ではなく、お茶かスポーツドリンクにする。
それだけで強くなれる気がしていた。
間違いではないんだろうが、大きな勘違いであることに気付くのは、まだ先の話だ。
「で、どうなん?」
「何が?」
「何が、じゃねぇだろぉ!」
「何?」
「二組のあの子から告られたんだろぉ?どうすんの?付き合うの?ねぇ?」
「うっせぇな-」
「だって気になるし・・・・」
「それより、メンバー決まったの?」
「ん?ああ、大体ね」
「そっか」
来月の大会が最後だ。
それからは遅れている受験勉強が待っている。
もっとも、遅れているのは俺だけで、菓子パンを食い終わったコイツは英単語帳をブツブツ言いながら見ている。
「おい」
呼んでも返事はない。
まあ、いつもの事だ。
コイツは一駅で降りる。
「じゃ」
「おう」
会話なんていらないんだ。
別れてから四駅。
その間は今日の練習の反省だ。
“あの時はストレートに打つべきだった”
“気持ちが切れたら負ける”
“最後は体力だ”
何でも良かった。
テニスを考えている事が、その時間が全てだった。
あの子には申し訳ないが、恋愛なんかには興味がなかった。
あと1ヶ月、悔いの無いように過ごそう。
降りる駅に近づいた時、携帯が震えた事に気付いた。
―ん?―
アイツからのメールだった。
何の気無しに見たメールに俺は声を出さずにいられなかった。
「え!!」

一体メールに書かれていた内容は何だったのか?
(青春テニスストーリー掲載は不定期です)

つづく・・・(かもしれない)
カテゴリー:-全力打球-編
01/25 11:07
05

★第52試合『感謝する心』

年が明けて一週間が経った。
新年のありがたさも少し薄れ、いつもと変わらない生活が戻ってくる。
何も変わらないことに、人は勘違いし、その事を当たり前のように感じていく。

違うのだ。

日々の生活に。
三食きちんとメシが食える事に。
立ち向かう仕事がある事に。
そこに大きな壁がある事に。
乗り越えた事に。
友人と酒を飲み、語り合える事に。
愛する人が待つ家に、帰る事に。
また明日を待てる事に。
全ての事に感謝しなければならない。
そういった心を忘れてはいけない。

私は感謝している。
テニスが出来る事に。
コーチと言う仕事に。
それは年が明けようと、仮に暮れていこうと、関係ない。
だから、また今日もテニスコートに向かって歩き出すのだ。

感謝。

このエッセイもなんだかんだ言って、無事に3年目に突入。
思い返せば約2年前の忘年会の後。
二次会だか三次会だか四次会だか全く覚えていないが(ちなみに場所は覚えている。たまに連れてってもらえる新宿の裏にあるBarだった)、メルマガ編集長である坂東海さんに「お前、書いてみるか?」と言われ、酔った勢いで「任せて下さい!」
言わなきゃ良かった?なんて思いながらも、「三ヶ月も続けばいいんじゃないか?」と言った周囲の暖か-い応援もあって、ここまで来た。
続けるのも大変だけど、止めてしまうのは悔しくて堪らない。
だからそんな状況に感謝して、まだまだ続けるのだ-!
今年もどうぞ宜しくお願い致します。(One Boy)
カテゴリー:-全力打球-編
01/10 00:49
06

★第51試合『2008ラスト』

「今年最後のメルマガっすよ」
「そうだね。思えばいろんな事があったね」
「はい。メルマガを読み返すと、先輩が苦労しながら原稿を書いている姿が鮮明に・・・・・うう、大変でしたねぇ・・・」
「うるさいよ」
「へへ。今年もお世話になりました」
「・・・・」
「どうしました?」
「・・・・」
「あ!“大変”お世話になりました!」
「うむ。来年はあまり迷惑掛けないでくれよ」
「は〜い」
「よろしい」
「で、今回はどんなネタで?」
「うん、先日ね、テニス練習したんだよ。同僚と後輩と」
「僕、呼ばれてないっすよ」
「お前は彼女とクリスマスだったんじゃないの?」
「えへへ」
「・・・でね、その後鳥料理の旨い店で飲んだんだ。元は寿司屋だったらしくて、握りもあって俺好みの店。美味かったなぁ〜」
「ずりぃ。今度連れてって下さいね。で、それがネタ?」
「そん時の話がな」
「へ〜、どんな話だったんすか?」
「まあ内容はどうでも良いんだけどさ。ある奴がな、話しながら涙を流せるアツさを持ってたのよ。そんな仲間がいるってだけ嬉しいよな。その日は夜遅くまではしゃいじゃったよ」
「なるほど。飲みすぎた言い訳ですね」
「お前はその相手を茶化す性格を直さないと、いつか彼女にフラレルぜ」
「大きなお世話ですよ。でも、そういった“アツさ”がOne Boyのモットーですもんね!」
「まさにその通り!良く分かってきたね。来年はお前、書く?」
「いやいや、先輩の夢が叶うまでは代われませんよ!」
「結婚?」
「茶化さないで下さい!その性格を直さないと・・・・」
「分かってるよ。テニスを日本一メジャーに!だろ?これは俺だけじゃなく、みんなの想いだよ」
「そうでした!来年も真っ直ぐに突き進みましょうね!」
「そうだな!けど残り一週間も気を抜かず、な!」
「押忍!」

今年一年、ご愛読頂き、ありがとうございました。
来年もアツい気持ちを文章にして皆様に発信できるよう頑張ります!
One Boyは編集長が打ち切りを出さない限り?続きます!?

それでは皆様、良いお年を。
カテゴリー:-全力打球-編
12/25 13:53
07

★第50試合『想いを握り締めて』

男は耐え忍ぶ時も必要なのだ。
言ってみれば、寝ている時以外は常にそういった状況に置かれている。
実は私は、それこそが男子の宿命なのだ、と思っている。

テニスコートで涙を流す。
悔しくて、悲しくて。
拳を強く握りしめながら。
私は、そんな男達を知っている。
そして、彼らも知っているのだ。
簡単に出した拳からは何も伝わらないことを。

掴んだ拳を使えずに言葉を失くしてないかい?
(YAH YAH YAH/CHAGE AND ASKA)

私は、それでいいと思っているんだ。
カテゴリー:-全力打球-編
12/18 12:08
08

★第49試合『遅く起きた朝は』

「起きた?」
「んぁ?ああ・・・・どう?」
目を半開きにするのがやっとの状態で聞いてみた。
何が聞きたかったのか、自分でも良く分かってない。
「だめ。そっちは?」
「俺も。飲みすぎたな-。アイツはまだ寝てんの?」
「うん。片付けて帰ろうぜ。いつまでも寝てちゃ悪いよ」

昨日はボスを強引に誘って中華料理屋からカラオケまで付き合ってもらった。
その後、勢いでコイツんちで家飲みになったわけだが・・・・。
毎回思うんだが、カラオケ屋のサワーってのは悪酔いする。
絶対に安い焼酎使ってんだよ。
分かっちゃいるけど・・・・・飲んじゃうんだな-。

「んじゃ、お邪魔さま-」
帰り際にはアイツも起きてきて見送ってくれた。
あきらかにまだ酔ってる感じだったな。
「また来てくれよ」
言葉に元気が無かった。
スマナイ。
ゆっくり休んでくれ。
しかし、いい加減にしないとアイツの嫁さんに嫌がられちまうな。
気をつけよう。

帰りにちょっとだけ駅前のスクールを覗いてみた。
実は、ここは俺達の出会いの場所。
まだ若かった三人が社会に飛び込み、もまれた場所。
あれから何年経った?
俺達が居なくなっても誰かがテニスコートを守っている。
変わらないなぁ・・・・。

「俺達ってさぁ、ヤングマン三人衆なんて呼ばれてたけどさ」
「呼ばれてた?自分達で勝手に呼んでたんじゃなかったっけ?」
「そうだっけ?ま、その辺は置いといて・・・・。もう次のヤングマンが育ってきてるよね」
「そうだな。急にどうした?」
「いやさ、ケツをつつかれてる感じがしてね」
「後続が居るってことだろ?いいじゃん、魚鱗の陣だな」
「まあ喜ばしい事なんだけどね。でさ、考えたんだけど」
「何?」
「新しい呼び名」
「呼び名?」
「そう。もう三十路ってことで『三銃士』!どうよ?」
「三銃(30)士?くっだらねぇ-。それに俺は30までまだ一年あるし」
「ま、細かい事は気にしない気にしない!じゃ、決まりね!」

俺達はスクールを後にした。
各々の場所へ帰るために。
守るべきテニスコートはもうここじゃない。
だってここはもう素晴らしい守り人達がいるんだから。

長い長い帰り電車の中で思い出したのは、昨夜ボスが歌った曲だった。

古い舟には新しい水夫が乗り込んでいくだろう
古い舟を今動かせるのは古い水夫じゃないだろう
(イメージの詩/吉田拓郎)

まず自分の舟をしっかり動かすんだぜ。
カテゴリー:-全力打球-編
12/11 19:29
09

★第48試合『最後まで』

「師走ですね」
「あっという間だったね」
「人生のスピードは年齢をそのまま時速に直したものらしいですよ」
「へぇ」
「だから僕はまだ時速20キロ前半ですが・・・・・」
「何?」
「先輩は僕と10キロ違うんで・・・・」
「あっそ。続きは言わなくてもいいや」
「スネちゃいましたか?」
「いや、そんなんじゃないけど。今年の目標にきちんと向かっていけたか、ふと思ってね」
「確か・・・・飲み過ぎないようにする・・でしたっけ?」
「キミ、帰っていいよ、もう」
「怒らないで下さいよ〜。今日は泊めてもらいますからね」
「明日寝坊して授業に遅刻しないためだろ?俺はキミの目覚ましか?」
「ぐ・・・で、何だったんですか?目標は?」
「だった?まだ今年は終わってないから過去形というのは合ってないな〜」
「失礼しました。で?」
「もっとテニスに打ち込む!だよ」
「あぁ、そうでしたね。で、何%達成ですか?」
「・・・・うん、何事もそうだけど、数字が絡んでこないと明確な答えは出せないよな〜」

「じゃあ来年はきちんと結果が分かる目標にしましょうよ!」
「いや、まだ終わってないからな。来年の事は考えない!て言うか、お前はどうだったんだよ?」
「僕ですか?えぇまぁ彼女も出来たし、万々歳です!」
「彼女作るのが目標?他にないの?」
「え?まぁテニスも勉強も頑張ったつもりっす!」
「お前・・・・もうちょい考えたら?」
「羨ましいんですか?」
「もう遅いから帰れば?解散な」
「いやいや、泊まります!怒っちゃいや!」

泣いても笑ってもあと1ヶ月。
12分の1でもやれることは山の様にあるはず。
諦めるんじゃなく、悔やむんじゃなく、笑って誤魔化すんじゃなく、真摯になって立ち向かおう。
進むんだ。

『来年はどうする』じゃなくて『今年はどうした』が大事なんだよ。
カテゴリー:-全力打球-編
12/04 13:39
10

★第47試合『屋台の味は』

カラオケで解散し、店を出る。
上司を見送り、新宿駅まで歩く。
寒さが沁みる。
自然に早足になる。
もう帰ればいいのに、あと一杯だけ、とコイツと顔を見合わせ、何も言わずに屋台のイスに座った。

「レモンサワー2つね」

屋台の酒は決まって缶だ。
普段の倍くらいの値段。
初めて注文してコレが出てきたときは、ちょっとビックリした。

おでんを摘みながら、思い思いの話をする。
いやいや、正直おでんの味なんて良くないんだ。
けどね、幸いなことに、味なんて分からないくらい酔ってもいた。

愚痴は言わない方がいい。
それは分かってる。
酒も不味くなるし、何も残らない。
だけど、誰かに聞いて欲しい時もあるだろ?
ぶちまけてスッキリする時もあるし、諭されて反省したり、反論されてより悶々とすることもある。
この時、何を言い合ったかなんて覚えてないし、もうどうでもいいんだ。
だって俺達は、今までこうしてやってきたから。
結局、缶のレモンサワーを飲みきらずに席を立ち、帰路に着く。
帰り際なんて非道いもんさ。

「じゃな」
「じゃ」

と言ってプイッと背を向けて歩き出す。
まるで喧嘩別れだよ。
・・・・あれ?喧嘩してないよな?
うん、してないしてない。

俺達はテニス道の真っ只中。
怒りが沸いてくるのはそれだけ『一生懸命』ってことだろ。
誰に何と言われようと、進むしかない。
這ってでも。
この業界を突き動かすような存在になりたい。
いや、なるしかないんだ。
いつかこの屋台で話した事だって、いい思い出話になるさ。

友よ、キミの走る姿が好きだ。

だから明日も明後日も一緒に前を見よう。
そしてたまにだけ、下を向いて屋台のレモンサワーを飲もうぜ。

じゃあな。
カテゴリー:-全力打球-編
11/27 23:12
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