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another side of tennis

Scene 195 [Eight Days A Week]

呆れた。
子供とテニス出来る場所がない。
アメリカなら金さえ出せば何とかなったがそれさえも無理らしい。
ガキの頃入会していたクラブを訪ねてみたが、「お父さんはクラブに入会出来ますけど、お子さんは他の方のご迷惑になるのでスクールのみOKです」……。
おいおい、俺が日本にいない間に日本テニス界は、いや日本は、寛容さとか包容力を失っちまったのか。

そんな事を考えてた歯医者の待ち合わせ室。
後から幼子二人を連れたお母さんが入って来て、2歳位の娘に童話の読み聞かせを始めてほのぼのとした空気が流れ出した……と思いきや余りに声がデカ過ぎる。
でもそこは子供との大事なコミュニケーションだし、童話だから長い訳ないしとスルー。
すると今度は小学校高学年の女の子とお母さんが入って来た。
長椅子の一人分の空きスペースには小学生の女の子が座って、一緒に来たお母さんは立って本を読み出した。
そしてまだ3才位の男の子も小学生もDSを始め出した。
子供に席を譲らせない親と、空いてる席に自分でなく大きな子供を座らせる親。
どっちもどっちだな。
物は与えられても彼等に本当に必要なものは与えられない。

結局ガキとのテニスは土曜のレッスン後のコート。
奴は独りで電車に乗ってはるばる横浜まで、俺の土曜の最終レッスンを受けに来る。
そのレッスンが終って日付が変わる頃から、俺達のテニスが始まる。
真夜中の誰もいないテニスコートで、小学生6年生の息子とテニスしているのが幸せなのか不幸せなのか知らんが、とにかくこの一瞬の為に毎朝7時から26時迄働いてるんだ。

そして今日蝮谷。
日本テニス界の未来が見たくて仕事を調整してやって来た。
学生達が明るくきびきびと動いて運営しているのが気持ちいい。
知り合いの若いコーチが、アルバイトコーチを連れて観戦に来てるのを見つけて嬉しくなる。
古い悪友が何とか最終試合に間に合って横に座った。
客席は満員とは言えないが、平日の午後でこれなら十分だ。
派手なプレーがある訳でも、割れる様な拍手がある訳でもないが、選手の真剣さと観客の質の高さが心地よい緊張感を生んでいる。
試合後懐かしい顔を見つけて話しかけたら、奴は今はこの大学の助監督。
全くテニス界は狭い。
そこに加わって来たトーナメントディレクターの総監督に挨拶してコートを後にした。

「蝮谷の階段ってこんなにきつかったっけ?!」
「とりあえず呑みに行くか?」
「そうしたいんだけど、昨日トラブっちゃってて会社行かないとなんだ。お茶でどう?」
「そりゃ仕方ないね」
「しかし本当きついな、この坂」

2007.11.22
Mamushidani


カテゴリー:Tennis
2007/11/29 15:01

筆者紹介:坂東海


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