Scene 193 [破れたハートを売り物に]
「でもハートが破けたら又くっつければいいんだよね-!」
まだ娘が2-3才の冬だったか、今はどでかいマンションになってる自宅側の工場の万年塀沿いを散歩してた時の一言。
ガキって奴はキャッチーなメロディ、言葉、リズムに敏感だ。
俺が聴いてる古い歌の中でも、教えた訳でもないのに流行った歌に興味を示す。
良く「あいつらは売れ線狙いで-」と皮肉ったりするけど、それは頭でっかちな感性かもしれない。
まあとにかく娘と手をつないで、「♪破れたハートを売り物にして 愛に飢えながら一人さまよってる♪」と唄ってたら、「ハートって破けるの?」と聞いて来て、「うん、大きくなって悲しい事があると破けるんだよ」って返事した後の娘の一言。
恋の痛手を受けちゃあ、しょっちゅう世界中の悲しみを背負った様な面してたくせに、確かにあの頃何度も破けたハートはくっついてる。
とは言え、喜びはリアルに蘇って来ないのに、痛みって奴は瞬時に蘇って俺をあの時に連れて行きやがるからな。
「お前さ、蝮谷のチャレンジャー観に行くんだろ?」
古いテニス仲間からの電話。
US OPENに憧れてNYに渡って紆余曲折で今日本テニス界に帰還した奴。
ずっと歯を食い縛ってジュニア育成して来て、今トラブルをラッキーなターニングポイントにしつつある奴。
そして俺。
「頑張ってたよ」なんて慰めをされれば睨み返してた頃からの付き合いの俺等は、「大学から世界を!」という大会を観ながらどんな話をするんだろう。
俺は今、夢の形がすり変わってしまう事があるのも知ってる。
でも無様でも夢というナイフを腹の中に呑んでいられるのも知ってる。
そしてその夢がてめえを諦めの悪い臆病者にすることがあるのも知ってる。
そんな俺でも「若手男子にチャンスを!」という運営サイドと、単純に勝負に賭ける選手の熱い想いにグッと来るんだろう。
そして今夜。
俺は奴とガキ二人、四人で渋公の最前列ど真ん中にいる。
耳慣れたストリングスのイントロが流れて、シンガーがGibsonのアコギをかき鳴らしながら唄い出した。
ガキが横でニコニコして手拍子を取りながら、♪破れたハートを売り物にして♪と唄ってる。
1981年、ませてから初めてのハートブレークをして、次の恋に夢中になって学校が終ればいつも神宮外苑に駆け付けてた秋に出た歌。
オリジナルはシンプルな歌詞とメロディに溢れ出るアフリカンパーカッション。
“生きることを素晴らしいと思いたい”
あの頃どこにでも書きなぐってた言葉。
そうなんだよな。
2007.11.11
CC Lemon Hall
まだ娘が2-3才の冬だったか、今はどでかいマンションになってる自宅側の工場の万年塀沿いを散歩してた時の一言。
ガキって奴はキャッチーなメロディ、言葉、リズムに敏感だ。
俺が聴いてる古い歌の中でも、教えた訳でもないのに流行った歌に興味を示す。
良く「あいつらは売れ線狙いで-」と皮肉ったりするけど、それは頭でっかちな感性かもしれない。
まあとにかく娘と手をつないで、「♪破れたハートを売り物にして 愛に飢えながら一人さまよってる♪」と唄ってたら、「ハートって破けるの?」と聞いて来て、「うん、大きくなって悲しい事があると破けるんだよ」って返事した後の娘の一言。
恋の痛手を受けちゃあ、しょっちゅう世界中の悲しみを背負った様な面してたくせに、確かにあの頃何度も破けたハートはくっついてる。
とは言え、喜びはリアルに蘇って来ないのに、痛みって奴は瞬時に蘇って俺をあの時に連れて行きやがるからな。
「お前さ、蝮谷のチャレンジャー観に行くんだろ?」
古いテニス仲間からの電話。
US OPENに憧れてNYに渡って紆余曲折で今日本テニス界に帰還した奴。
ずっと歯を食い縛ってジュニア育成して来て、今トラブルをラッキーなターニングポイントにしつつある奴。
そして俺。
「頑張ってたよ」なんて慰めをされれば睨み返してた頃からの付き合いの俺等は、「大学から世界を!」という大会を観ながらどんな話をするんだろう。
俺は今、夢の形がすり変わってしまう事があるのも知ってる。
でも無様でも夢というナイフを腹の中に呑んでいられるのも知ってる。
そしてその夢がてめえを諦めの悪い臆病者にすることがあるのも知ってる。
そんな俺でも「若手男子にチャンスを!」という運営サイドと、単純に勝負に賭ける選手の熱い想いにグッと来るんだろう。
そして今夜。
俺は奴とガキ二人、四人で渋公の最前列ど真ん中にいる。
耳慣れたストリングスのイントロが流れて、シンガーがGibsonのアコギをかき鳴らしながら唄い出した。
ガキが横でニコニコして手拍子を取りながら、♪破れたハートを売り物にして♪と唄ってる。
1981年、ませてから初めてのハートブレークをして、次の恋に夢中になって学校が終ればいつも神宮外苑に駆け付けてた秋に出た歌。
オリジナルはシンプルな歌詞とメロディに溢れ出るアフリカンパーカッション。
“生きることを素晴らしいと思いたい”
あの頃どこにでも書きなぐってた言葉。
そうなんだよな。
2007.11.11
CC Lemon Hall
カテゴリー:KAI
2007/11/15 10:27













