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another side of tennis

Scene 169 [P・A・T・R・O・L]

[Another Side of Tennis]
坂東海

Scene 169
[P・A・T・R・O・L]

「ウチのスクール生の大会観に来ない?」
「どこ?」
「東金」
「それ遠いなあ」
「美味い蕎麦屋があるんだよ」
“美味い蕎麦屋”で一杯…。

「これ裏メニューです」
鴨の石焼。
葱もトロトロで美味いのなんの。
皆同じ言葉を発する。
「正しく“鴨葱”!」
「そう言えばキヨシローが♪鴨鍋〜♪って歌ってたなあ。お前さあ笑ってるけど、“鴨鍋”が“Come on baby”とかけてるのわかってんの?その前に“鴨葱”は?」
「“鴨が葱背負って来る”ですよね?」
「だから、その意味は?」
「………」
「しょうがねえなあ。こうやって美味い鴨肉に葱が添えられていると最高だろ?だから、獲物が自分で勝手に更に美味くなってこっちに来るって感じで、ラッキーが重なった時に使う例えだよ!」
「るなほど!」
〆の蕎麦は確かに美味かった。
流石に皆みたいに、せいろと暖かいの両方は喰えなかったが、又喰いに行きたいよ。

翌日、試合開始。
今回は団体戦ってことで、試合前は仲間同士の楽しい雰囲気が溢れてる。
勿論心の中じゃ緊張しているんだろうな。
序盤は実力差が激しく、あっさりしたゲームが続く。
でも徐々に競り出して来て、団体戦特有の緊張感とトランスした故の凄いプレーが目立ちだす。
「ワーオ。俺二度とこんなプレー出来ないよ!っていうのをレコードの溝に刻みたいんだ」
[DIRTY WORK]を出した頃のキース・リチャーズの言葉(そう言えば、[パイレーツ・オブ・カリビアン]観に行かないとな)。

(運営スタッフの奴等は?)と見ると、忙しそうに動きながらもその合間をぬって試合を観てる。
随分前に観た、ある会社のアルバイトコーチ同士の対抗戦では、相手チームの選手を野次るバカな社員コーチがいたりして、(何で事業所が違うって事だけで、自分の会社のアルバイトにあんな事が言えるのか…。どこの事業所だろうが、全員自分の可愛いスタッフと思えないのかねえ)と呆れたが、流石に今回は違う。
スタッフは、全選手がリラックスしていいプレーが出来る様に配慮しているのが良くわかる。
自分が担当してたり、担当してた選手への思い入れを押し込めているのが後姿から伝わって来て、(いい奴等だなあ)と嬉しくなった。

だからか、二日目の試合は“しびれる”試合が続出した。
明らかに前日よりも上手くなってる選手、集中して思わぬ好プレーを連発する選手。
そしてそんな選手に足元をすくわれる選手。
何気なくのぞいた試合に引きつけられ、熱い気持ちに何度もさせられた。

一足先に帰る俺に、一番下っ端のスタッフが「帰りに読んで下さい!」と、[スポーツジャーナル]という小冊子をくれた。
電車の中で缶ビール片手にぱらぱら捲って行くと、新連載記事で<PATROLのススメ>。
造語(?)の“PATROL”は、Process(経過重視)、Acknowledgment(承認)、Together(プレイヤーと共に)、Respect(尊重)、Observation(観察)、Listening(傾聴) の頭文字からとって“PATROL”。
JASAが、指導者が心がけるポイントとしてあげた6つの指導理念。
いいじゃん、内容も語呂も語感も。
“協会”もたまにはやるな。

そうそう、鴨と蕎麦ごちそうさん!
これからも“P・A・T・R・O・L”を頼むよ!

2007.5.27
Ikka


カテゴリー:word
2007/05/31 19:17

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筆者紹介:坂東海


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