Scene 159 [You Gotta Move]
この間酔っ払った某テニススクール社長(って言っても同い年だ)に一方的に聞かされた話の中で、奴がJTAのカンファレンスで紹介された、アメリカの元副大統領アル・ゴアの[不都合な真実]が頭から離れなくて読んでみた。
読み始めてすぐに、もう十年以上前になるのか、キースの言葉が頭に浮かぶ。
「俺達は自分達のガキにちゃんとした環境を残さないといけない。俺達のエゴでボロボロになった地球を奴等には渡せないだろ?」みたいなニュアンスだったはずだ。
もっともジャンキーの代名詞のキースに対してインタビューアーは、「地球の健康より貴方の健康の方が問題では?」と切りかえしたらしいが。
[不都合な真実]の内容云々は書評家じゃないんで言わない。
そこには、俺等がずっと前から薄々気付いていた事が、冷静に分析、提示されていて、「You Gotta Move」という、静かだけど熱い囁きがあるだけだ。
いや、“薄々気付いていた”ってのが問題なんだよな。
この本は多分、講演用にkeynote(Mac用プレゼンテーションソフト)で作られたデータが基になっている。
そのプレゼンで、一番最初に大きく強調される言葉はこれだ。
「災いを引き起こすのは、“知らないこと”ではない。“知らないのに知っていると思い込んでいること”である」マーク・トウェイン
ちょっと前に出たロバート・B・パーカーのジェッシイ・ストーン・シリーズ最新作[訣別の海]は、ある殺人事件が最後は、父親の自分の娘に対する“虐待”という結末で終る。
そこでジェッシイは「胸が悪くなる」と言いながら、「やるべき仕事をやるだけだ」と事件の解決に向かうが、事件の全容が見えて来た時にこういう会話がある。
「カネが人をだめにするわけじゃない」ジェッシイが言った。「自分が、自分をだめにするんだ。カネは破滅を蔓延させるのに役立つだけだ」
「私はお金を持ったことがないから」ケリー・クルスが言った。
「俺もだ。しかし、カネが実際そうしているところは見たことがある」
二人が黙っている間、通話中の回線の、音のないエネルギーが二人の間に漂っていた。
「このまま、捜査を続けてくれ」ジェッシイが言った。
「ええ、そうするわ」
「あれ以上悪くなり得ないと思っていた」
「今、なってしまったわ」
「それも、非常に」ジェッシイが言った。
どっちの本も俺なんかじゃどうしようもない大きな欲望が渦巻き、読んでいて不安になる。
でも作者が、主人公が誠実に立ち向かう姿を見て、もやもやした不安も怒りも諦めも一緒くたになった気分が和らぎ、ちょっと踏み出して見ようかという気分になる。
誰だって酷い目に会いたくないし、愛しい者を酷い目に会わせたくない。
でも“ちょっとなら”と考えてやっていることが、実は物凄い単位で、とんでもない速さで破滅に向かっていることが多々あるんだろう。
日本だけで大流行の砂入り人工芝は、リサイクル方法がまだなく、引っぺがされた物はどこかの山林に廃棄されるらしい。
それは他の産廃物と同様に楽しくプレーしてる人達には見えないし、わからない…。
<近所の小学校の机と椅子の足取付用にセットボール千個寄付したんですよ!>
猿に似た若いコーチからメール。
そうそう、まずは出来ることからやらないとな。
自分達でリサイクルは出来なくても、リユースは出来るもんな。
えっ?俺かい?
俺はさ、この冬極力暖房入れなかったし、入れても20度。
って言うか、寝静まった家で独りの為に電気つけるってのは環境に優しくないだろ?
だから夜な夜なゴールデン街で呑んでおいたよ。
今夜も、じゃなくて今朝も明るくなって電車が空いてからご帰宅だ。
うん、何だ?あのカメラマンの数は?
お?そうか、今日は都知事選の告示ね。
頼むぜ!政治家さんよ!
で、あんた等は誰の為に何をどうしたいんだい?
2007.3.22
Shinjuku Nishiguchi Ekimae
※ アル・ゴア[不都合な真実]:ランダムハウス講談社
※ ロバート・B・パーカー[訣別の海]:早川書房
読み始めてすぐに、もう十年以上前になるのか、キースの言葉が頭に浮かぶ。
「俺達は自分達のガキにちゃんとした環境を残さないといけない。俺達のエゴでボロボロになった地球を奴等には渡せないだろ?」みたいなニュアンスだったはずだ。
もっともジャンキーの代名詞のキースに対してインタビューアーは、「地球の健康より貴方の健康の方が問題では?」と切りかえしたらしいが。
[不都合な真実]の内容云々は書評家じゃないんで言わない。
そこには、俺等がずっと前から薄々気付いていた事が、冷静に分析、提示されていて、「You Gotta Move」という、静かだけど熱い囁きがあるだけだ。
いや、“薄々気付いていた”ってのが問題なんだよな。
この本は多分、講演用にkeynote(Mac用プレゼンテーションソフト)で作られたデータが基になっている。
そのプレゼンで、一番最初に大きく強調される言葉はこれだ。
「災いを引き起こすのは、“知らないこと”ではない。“知らないのに知っていると思い込んでいること”である」マーク・トウェイン
ちょっと前に出たロバート・B・パーカーのジェッシイ・ストーン・シリーズ最新作[訣別の海]は、ある殺人事件が最後は、父親の自分の娘に対する“虐待”という結末で終る。
そこでジェッシイは「胸が悪くなる」と言いながら、「やるべき仕事をやるだけだ」と事件の解決に向かうが、事件の全容が見えて来た時にこういう会話がある。
「カネが人をだめにするわけじゃない」ジェッシイが言った。「自分が、自分をだめにするんだ。カネは破滅を蔓延させるのに役立つだけだ」
「私はお金を持ったことがないから」ケリー・クルスが言った。
「俺もだ。しかし、カネが実際そうしているところは見たことがある」
二人が黙っている間、通話中の回線の、音のないエネルギーが二人の間に漂っていた。
「このまま、捜査を続けてくれ」ジェッシイが言った。
「ええ、そうするわ」
「あれ以上悪くなり得ないと思っていた」
「今、なってしまったわ」
「それも、非常に」ジェッシイが言った。
どっちの本も俺なんかじゃどうしようもない大きな欲望が渦巻き、読んでいて不安になる。
でも作者が、主人公が誠実に立ち向かう姿を見て、もやもやした不安も怒りも諦めも一緒くたになった気分が和らぎ、ちょっと踏み出して見ようかという気分になる。
誰だって酷い目に会いたくないし、愛しい者を酷い目に会わせたくない。
でも“ちょっとなら”と考えてやっていることが、実は物凄い単位で、とんでもない速さで破滅に向かっていることが多々あるんだろう。
日本だけで大流行の砂入り人工芝は、リサイクル方法がまだなく、引っぺがされた物はどこかの山林に廃棄されるらしい。
それは他の産廃物と同様に楽しくプレーしてる人達には見えないし、わからない…。
<近所の小学校の机と椅子の足取付用にセットボール千個寄付したんですよ!>
猿に似た若いコーチからメール。
そうそう、まずは出来ることからやらないとな。
自分達でリサイクルは出来なくても、リユースは出来るもんな。
えっ?俺かい?
俺はさ、この冬極力暖房入れなかったし、入れても20度。
って言うか、寝静まった家で独りの為に電気つけるってのは環境に優しくないだろ?
だから夜な夜なゴールデン街で呑んでおいたよ。
今夜も、じゃなくて今朝も明るくなって電車が空いてからご帰宅だ。
うん、何だ?あのカメラマンの数は?
お?そうか、今日は都知事選の告示ね。
頼むぜ!政治家さんよ!
で、あんた等は誰の為に何をどうしたいんだい?
2007.3.22
Shinjuku Nishiguchi Ekimae
※ アル・ゴア[不都合な真実]:ランダムハウス講談社
※ ロバート・B・パーカー[訣別の海]:早川書房
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2007/03/22 16:54















