Scene 154 [10 Stories]
“くだらねえとつぶやいて 醒めたつらして歩く”
べらんめえ調なオリジナルとは違う、あのかすれ声が唄い出す。
リリースされたばかりの甲斐よしひろの、甲斐バンドを聴いて育った世代のアーティストの楽曲からピックアップされたカヴァーアルバム[10 Stories]。
[くるみ]では、以前「ロックミュージシャンとしての僕の肉体に、処女膜なるものが存在していたとして、僕のそれを破ったのはKAI BANDである。中2の夏、この方々に犯されて、狂ったように何度も絶頂を味わった僕は、いつのまにか、それなしでは生きて行けない体になってしまいました。大人になった今も、ふとあの時の興奮を思い出し、もう一度犯される日を夢みるのです」とコメントしてた桜井和寿が、“良かった事だけ思い出して やけに年老いた気持ちになる”と声を重ねて来る。
彼はこのテイクに最初にコーラスを入れてプレイバックした時に、甲斐が「どうかな?」と聞いてもしばらく黙り込み、再び甲斐が「どう?大丈夫?」と聞いたら、「自分がこのボーカルに影響を受けてるってことに気づいて、そのことを噛みしめてたんです」と答えたという。
好きなアーティストのバックボーン、ルーツを辿るのが普通だと俺は考える。
俺は甲斐バンドからディラン、ストーンズを知り、レゲエ、ブルースを聞き出した。
テニスなら、コナーズのそれまでのテニス界の価値観を全てぶっ飛ばしたあの攻撃的なプレースタイルは、板張りのコートでテニスを始めたのが基なのも知っている。
じゃあ、桜井和寿の“処女膜”を破った甲斐バンドを聴いた事があるミスチルファンはどの位いるんだろう?
今の音楽の聴き方は、タイアップで耳慣れた曲、売れてて皆が聴いてる曲をばらで買って来て聴いてるから、そんな風にさかのぼったりはしないんだろうな。
でもそんなのつまんねえ聴き方だなあ…。
そこで再び[10 Stories]。
[10 Stories]には甲斐独特の孤独感、焦燥感、諦観がない。
ただ一言「繋がり」という言葉が頭に浮かぶ。
多分甲斐は直感で、自分と自分のフォロワー、自分のファンと他の世代を歌えば自分の世界になるあの声ではっきりと見える形で結びつけ様としたんだ。
それはディランの曲名からとった“Series Of Dreams”というツアーの頃から、どこかに漠然とアイデアがあったんだろう。
Musician’s Musicianのこのトリックを面白いと感じたなら、皆自分が好きなオリジナルって奴が満ち溢れているもののルーツを辿ってみたらいい。
そうだな、その前に自分だけの“オリジナル”と胸を張って言えるものがあるかい?
うん?!やっぱり黙っちゃう?じゃあそれはさておき、日本テニス界の“オリジナル”は?と考えてみると…軟式テニスと砂入り人工芝か…どうもうまくないね…。
いやっ、そんなマイナス志向は良くないな。
まずテメエの愛しい人、ガキを連れてコートに行こうか?
それとももんじゃで釣って有明に試合観に行こうか?
町のテニスコートでプレーしてる沢山のおじさん、おばさんも頼むよ。
あんた等が大好きな“テニス”ってキーワードで、ちょいと誰かの肩に手を置いてみるのも悪くないでしょ?
「椎名林檎ってこの曲で有名になったんじゃないかなあ…」
マスターがつぶやく。
終電間際の一旦客足が途切れたゴールデン街のバー。
これ以上ないシチュエーションで甲斐が唄う[歌舞伎町の女王]が流れる。
帰ってる途中にも、<ビギンも最高だぜ!>とマスターからメール。
どうやら俺が帰った後も聴いてるらしく、[恋しくて]が気に入ったみたいだ。
そうそう、[10 Stories]を聴くなら俺みたいにバーで聴くか、ガキの頃みたいに家族が寝静まった夜中にiPodとかヘッドフォンでフルボリュームで聴くといいぜ。
2007.2.8
Koma-gekijo-mae
べらんめえ調なオリジナルとは違う、あのかすれ声が唄い出す。
リリースされたばかりの甲斐よしひろの、甲斐バンドを聴いて育った世代のアーティストの楽曲からピックアップされたカヴァーアルバム[10 Stories]。
[くるみ]では、以前「ロックミュージシャンとしての僕の肉体に、処女膜なるものが存在していたとして、僕のそれを破ったのはKAI BANDである。中2の夏、この方々に犯されて、狂ったように何度も絶頂を味わった僕は、いつのまにか、それなしでは生きて行けない体になってしまいました。大人になった今も、ふとあの時の興奮を思い出し、もう一度犯される日を夢みるのです」とコメントしてた桜井和寿が、“良かった事だけ思い出して やけに年老いた気持ちになる”と声を重ねて来る。
彼はこのテイクに最初にコーラスを入れてプレイバックした時に、甲斐が「どうかな?」と聞いてもしばらく黙り込み、再び甲斐が「どう?大丈夫?」と聞いたら、「自分がこのボーカルに影響を受けてるってことに気づいて、そのことを噛みしめてたんです」と答えたという。
好きなアーティストのバックボーン、ルーツを辿るのが普通だと俺は考える。
俺は甲斐バンドからディラン、ストーンズを知り、レゲエ、ブルースを聞き出した。
テニスなら、コナーズのそれまでのテニス界の価値観を全てぶっ飛ばしたあの攻撃的なプレースタイルは、板張りのコートでテニスを始めたのが基なのも知っている。
じゃあ、桜井和寿の“処女膜”を破った甲斐バンドを聴いた事があるミスチルファンはどの位いるんだろう?
今の音楽の聴き方は、タイアップで耳慣れた曲、売れてて皆が聴いてる曲をばらで買って来て聴いてるから、そんな風にさかのぼったりはしないんだろうな。
でもそんなのつまんねえ聴き方だなあ…。
そこで再び[10 Stories]。
[10 Stories]には甲斐独特の孤独感、焦燥感、諦観がない。
ただ一言「繋がり」という言葉が頭に浮かぶ。
多分甲斐は直感で、自分と自分のフォロワー、自分のファンと他の世代を歌えば自分の世界になるあの声ではっきりと見える形で結びつけ様としたんだ。
それはディランの曲名からとった“Series Of Dreams”というツアーの頃から、どこかに漠然とアイデアがあったんだろう。
Musician’s Musicianのこのトリックを面白いと感じたなら、皆自分が好きなオリジナルって奴が満ち溢れているもののルーツを辿ってみたらいい。
そうだな、その前に自分だけの“オリジナル”と胸を張って言えるものがあるかい?
うん?!やっぱり黙っちゃう?じゃあそれはさておき、日本テニス界の“オリジナル”は?と考えてみると…軟式テニスと砂入り人工芝か…どうもうまくないね…。
いやっ、そんなマイナス志向は良くないな。
まずテメエの愛しい人、ガキを連れてコートに行こうか?
それとももんじゃで釣って有明に試合観に行こうか?
町のテニスコートでプレーしてる沢山のおじさん、おばさんも頼むよ。
あんた等が大好きな“テニス”ってキーワードで、ちょいと誰かの肩に手を置いてみるのも悪くないでしょ?
「椎名林檎ってこの曲で有名になったんじゃないかなあ…」
マスターがつぶやく。
終電間際の一旦客足が途切れたゴールデン街のバー。
これ以上ないシチュエーションで甲斐が唄う[歌舞伎町の女王]が流れる。
帰ってる途中にも、<ビギンも最高だぜ!>とマスターからメール。
どうやら俺が帰った後も聴いてるらしく、[恋しくて]が気に入ったみたいだ。
そうそう、[10 Stories]を聴くなら俺みたいにバーで聴くか、ガキの頃みたいに家族が寝静まった夜中にiPodとかヘッドフォンでフルボリュームで聴くといいぜ。
2007.2.8
Koma-gekijo-mae
カテゴリー:KAI
2007/02/15 19:57















