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another side of tennis

Scene 284 [Mojo Hand]

「観てますか?」
「観てるよ」
「タイブレークのドロップショット2本凄かったですよね」

25時過ぎ。
電話の向うはご機嫌で明らかに酔っ払ってる。
お互い錦織圭選手のフレンチ一回戦の中継を観てるって訳だ。
彼のテニスは、本人の以前の「"いいテニスをする"のと"勝つ"のを天秤にかけるのは難しいですが今日は自分のしたいテニスのほうを選びました」というコメント通り、ちょっとおかしい。
だから、「おっしゃー!ナイスショット!」とただ熱く応援しているのではなく、「あれ?!」とか「ええーっ?」とか楽しく見れるし、矛盾する様だが彼の考えや想いが伝わって来る。
俺がこの試合で「あっ!これ圭来たな!」と感じたのは1stの2-5からの1ゲーム。
後は結構余裕を持って観ていられた。
まあそれが呑み過ぎにつながったんだが。

夜中に唐突に誰かに電話したりかかって来たり、ガキの頃はほぼ毎晩だった。
それもお互いへべれけで26時頃。
そんな頃に下北で呑んでた帰りだったか、Bluesが好きだった悪友の薦めで俺がLightnin' HopkinsのMOJO HANDを買った時のこと。
奴は別れ間際にこう言った。
「今晩電話して来ていいよ!」
今晩って言ってももう明朝も近い時間なんだがとにかく俺等はお互いの家に帰って、俺は部屋に入るなりMOJO HANDをかけた。
うわっ!とすぐに受話器をあげて奴に「スゲエよ!」電話した。
「そうだろ!俺も初めて聴いた時は興奮してダチに電話したんだけど、これ初めて聴くと皆そうなんだよね」

錦織選手の勝利を見届けた後、俺は早速iTunesを立ち上げ久々にMOJO HANDを聴いた。
“I'm goin' to Louisiana, and get me a mojo hand”
タイブレークが終って興奮して、携帯に手を伸ばした奴の姿が目に浮かぶ。
「そりゃあ電話したくもなるよな!」

2010.5.25
iPod RED


カテゴリー:Tennis
2010/05/25 16:30

筆者紹介:坂東海


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