Scene 277 [41]
東京湾の埋め立て地の突端のゴルフ場で、右に富士山、左にディズニーランドを見ながらラウンドした帰り。
東京フォーラムの横のガード下で打上げ。
「先生、こいつの結婚式の時のスピーチ凄かったですよねえ。いきなり“N君は勉強は出来ない。テニスは下手。全く褒めるところがありません”って来て、学校の先生らしい笑いの取り方だと思いながら、皆その後の盛り返しを期待してたら、そのまま一回も褒めないでスピーチ終了!俺等が“褒めなくて良かったんですか?”って聞いたら、“だって褒めるところがないんだから仕方ないだろ”だもんね」
「そっ、あの時帝国ホテルで金かけたのにさ、結局離婚だぜ」
四十面下げたex-高校生10数名が、30年以上前と変らず老けない顧問先生を囲んで、昔話と最近の馬鹿話で盛り上がってる。
「“昔テニスやってた”って話になるとさ、インハイに出たのと出ないのじゃ全然違うんだよね。俺が“関東高校出た”って言っても“ふ〜ん、そうなの”みたいなね」
「そうそうインカレじゃなくてインハイなんだよな。大学入るともう個人の価値観で興味ある部分しか関わらないからね。野球だってやっぱ甲子園だもんね」
「お前32でしょ?俺で64だったのにさ」
「そうだけど東京都代表って言ったって5位だし、インハイもベスト32で、上には友達が何人いるから、まあこんなもんかなと思ってたんだけど、ちょっとこれから威張っちゃおうかなあ」
「そう言えばどっかで、戦績:都大会単ベスト64って書いてた奴がいたな。戦績って言えば普通、シングルで32、ダブルで16以上であとは“〜大会出場”だよな」
それから約2週間。
又同じ様な面子でラウンド後、東松山の焼きトン屋「大島屋」。
2週間前はプレ大会で、今日が顧問の名前がついた本大会らしい。
年季の入ったカウンターで、刷毛で味噌ダレをしこたま塗って一味をぶっかけたカシラを喰いながら、今日も皆で管巻いてる。
「ゴルフってさ、数字が出ちゃうから異常に拘る人いるよね」
「本当クラチャンの世界なんてシビアですよ。自分がカップインしたら他の人がまだでもさっさと次のホールに向って行っちゃいますからね」
「ま〜じ〜。そうなんだ。俺なんか皆と廻るから楽しいのに」
「まあそこまでやらないとクラチャンにはなれないって事でしょうねえ。俺仕事でテニス誌、ゴルフ誌の両方やってるじゃないですか、それぞれ特性がありますよね」
「ふ〜ん、俺は“テニスがあんなに上手いくせに何でこんなにゴルフが下手なんだ”とか、“テニスが強い奴が100切れないのはおかしい”って煩く言われる」
「それは“ゴルフで100切れるくせに何であんなにテニスは勝てなかったんだよ”とか、“ゴルフで100切れる奴がテニスで戦績を残してないのはおかしい”とでも言っとけばいいんじゃないですか?」
「お前いい事言うねえ……って言いながら、お前今日82じゃなかった?おまけにジュニアの時埼玉No.1だっけ?あ〜あ」
いいんだ、いいんだ、何でも。
それぞれ生きて来た苦みや重みをお互い感じたり、今又顔合わせる様になって楽しんでる事をちょっと幸せに感じたりしてるだけでいいじゃん。
“なにかのせいにする歳でもないし 思い出に浸る歳でもない ただやることをやる歳だ ちったあ鍛えられてるはずの歳だ” 41/SION
2010.2.8
Higashimatsuyama
東京フォーラムの横のガード下で打上げ。
「先生、こいつの結婚式の時のスピーチ凄かったですよねえ。いきなり“N君は勉強は出来ない。テニスは下手。全く褒めるところがありません”って来て、学校の先生らしい笑いの取り方だと思いながら、皆その後の盛り返しを期待してたら、そのまま一回も褒めないでスピーチ終了!俺等が“褒めなくて良かったんですか?”って聞いたら、“だって褒めるところがないんだから仕方ないだろ”だもんね」
「そっ、あの時帝国ホテルで金かけたのにさ、結局離婚だぜ」
四十面下げたex-高校生10数名が、30年以上前と変らず老けない顧問先生を囲んで、昔話と最近の馬鹿話で盛り上がってる。
「“昔テニスやってた”って話になるとさ、インハイに出たのと出ないのじゃ全然違うんだよね。俺が“関東高校出た”って言っても“ふ〜ん、そうなの”みたいなね」
「そうそうインカレじゃなくてインハイなんだよな。大学入るともう個人の価値観で興味ある部分しか関わらないからね。野球だってやっぱ甲子園だもんね」
「お前32でしょ?俺で64だったのにさ」
「そうだけど東京都代表って言ったって5位だし、インハイもベスト32で、上には友達が何人いるから、まあこんなもんかなと思ってたんだけど、ちょっとこれから威張っちゃおうかなあ」
「そう言えばどっかで、戦績:都大会単ベスト64って書いてた奴がいたな。戦績って言えば普通、シングルで32、ダブルで16以上であとは“〜大会出場”だよな」
それから約2週間。
又同じ様な面子でラウンド後、東松山の焼きトン屋「大島屋」。
2週間前はプレ大会で、今日が顧問の名前がついた本大会らしい。
年季の入ったカウンターで、刷毛で味噌ダレをしこたま塗って一味をぶっかけたカシラを喰いながら、今日も皆で管巻いてる。
「ゴルフってさ、数字が出ちゃうから異常に拘る人いるよね」
「本当クラチャンの世界なんてシビアですよ。自分がカップインしたら他の人がまだでもさっさと次のホールに向って行っちゃいますからね」
「ま〜じ〜。そうなんだ。俺なんか皆と廻るから楽しいのに」
「まあそこまでやらないとクラチャンにはなれないって事でしょうねえ。俺仕事でテニス誌、ゴルフ誌の両方やってるじゃないですか、それぞれ特性がありますよね」
「ふ〜ん、俺は“テニスがあんなに上手いくせに何でこんなにゴルフが下手なんだ”とか、“テニスが強い奴が100切れないのはおかしい”って煩く言われる」
「それは“ゴルフで100切れるくせに何であんなにテニスは勝てなかったんだよ”とか、“ゴルフで100切れる奴がテニスで戦績を残してないのはおかしい”とでも言っとけばいいんじゃないですか?」
「お前いい事言うねえ……って言いながら、お前今日82じゃなかった?おまけにジュニアの時埼玉No.1だっけ?あ〜あ」
いいんだ、いいんだ、何でも。
それぞれ生きて来た苦みや重みをお互い感じたり、今又顔合わせる様になって楽しんでる事をちょっと幸せに感じたりしてるだけでいいじゃん。
“なにかのせいにする歳でもないし 思い出に浸る歳でもない ただやることをやる歳だ ちったあ鍛えられてるはずの歳だ” 41/SION
2010.2.8
Higashimatsuyama
カテゴリー:SION
2010/02/10 22:00













