Scene 264 [夏の轍]
[Another Side of Tennis]
坂東海
Scene 264
[夏の轍]
細かく書き込まれて行くメニュー用紙。
「その場で前に踏み込んでのスマッシュ練習の後は後ろに下がりながらですか?」
「横に動くの入れてからにしたら?」
「最初はフォア側に走ってスマッシュ?」
「いや、最初はバックステップでバック側に動く方が簡単だよ」
夏の合宿の打合せ。
場所は某テニススクール。
話をしているのはその某テニススクールの社長と、WEBのフォローをしている奴だが、そこのジュニアの合宿の事ではなく、二人の母校の中学校の合宿のメニューについて。
某社長と俺、そして俺と奴とそれぞれ二つ違いの先輩後輩。
「こう肘のところに挟んでイメージ掴むチューブみたいなの作って持って行こうと思って」
「そう言えばシャトルランやるんだろ?音源とラジカセ持って行ってやるよ」
流石に某社長はジュニア強化スクールをやっているだけあって、正に打てば響くという感じでアドバイスをして行く。
もう一人の奴は普段はサラリーマン。
ガキが俺達の母校に受かってから、週末はずっと部活の練習を見てるらしい。
「サイドステップとか出来るかなあ」
「えっ!-スプリットステップはちゃんとしてるんだろ?」
「いやあ……。練習中にぱらぱらといなくなっちゃう位なんで」
「”ジュース買って来ます”っていなくなっちゃうんだって」
「ちゃんと言ってから行く奴はまだいいですよ」
「中学と高校で練習を分けてからみたいよ」
「だからこの“部則”作ったんだ。でもこれってOBが読んだ方がいいんじゃない?」
「そう言えば、F森さん毎トー50歳以上男子準優勝って凄いなあ。決勝の相手が坂本兄弟ってのもいいなあ。昔もうちょっと真面目にやってればねえ、と言ってもあだ名がヤニ森じゃどうしようもないか」
「K田も40歳以上女子優勝したって」
外のコートではジュニア強化クラスのレッスンが始まった。
いきなり若いコーチが子供達を叱ってる。
皆コートを出てランニングに行った。
暫くして戻って来た子に「どうしたの?」と聞いてみた。
「集合の時だらだらして喋ってたら怒られました!」
と明るく答えコートに走って行った。
そうそう、叱られた事だけを受け止めて落ち込んだりしないで、そうやって人の想いをちゃんと受け止めて切り替えないとな。
打合せはエネルギッシュにコミカルに?延々続く。
ふと見ると“トウシロ”の後輩の手元にはJTA出版のドリル集。
「お前勉強してるねえ!」
無償で人の為に尽くす草の根の活動をしている人はどの世界でも熱く、そして純粋だ。
毎日毎日沢山のレッスンをしているプロテニスコーチ。
その日常が金太郎飴にならないのは、毎レッスン毎レッスンで「観察〜承認」というコーチングの基本を真剣にするが故の創造、発見、驚き、感謝、それから生まれる感動があるからだろう。
今年も“熱い夏”がやって来た。
2009.7.25
Kashiwacho
坂東海
Scene 264
[夏の轍]
細かく書き込まれて行くメニュー用紙。
「その場で前に踏み込んでのスマッシュ練習の後は後ろに下がりながらですか?」
「横に動くの入れてからにしたら?」
「最初はフォア側に走ってスマッシュ?」
「いや、最初はバックステップでバック側に動く方が簡単だよ」
夏の合宿の打合せ。
場所は某テニススクール。
話をしているのはその某テニススクールの社長と、WEBのフォローをしている奴だが、そこのジュニアの合宿の事ではなく、二人の母校の中学校の合宿のメニューについて。
某社長と俺、そして俺と奴とそれぞれ二つ違いの先輩後輩。
「こう肘のところに挟んでイメージ掴むチューブみたいなの作って持って行こうと思って」
「そう言えばシャトルランやるんだろ?音源とラジカセ持って行ってやるよ」
流石に某社長はジュニア強化スクールをやっているだけあって、正に打てば響くという感じでアドバイスをして行く。
もう一人の奴は普段はサラリーマン。
ガキが俺達の母校に受かってから、週末はずっと部活の練習を見てるらしい。
「サイドステップとか出来るかなあ」
「えっ!-スプリットステップはちゃんとしてるんだろ?」
「いやあ……。練習中にぱらぱらといなくなっちゃう位なんで」
「”ジュース買って来ます”っていなくなっちゃうんだって」
「ちゃんと言ってから行く奴はまだいいですよ」
「中学と高校で練習を分けてからみたいよ」
「だからこの“部則”作ったんだ。でもこれってOBが読んだ方がいいんじゃない?」
「そう言えば、F森さん毎トー50歳以上男子準優勝って凄いなあ。決勝の相手が坂本兄弟ってのもいいなあ。昔もうちょっと真面目にやってればねえ、と言ってもあだ名がヤニ森じゃどうしようもないか」
「K田も40歳以上女子優勝したって」
外のコートではジュニア強化クラスのレッスンが始まった。
いきなり若いコーチが子供達を叱ってる。
皆コートを出てランニングに行った。
暫くして戻って来た子に「どうしたの?」と聞いてみた。
「集合の時だらだらして喋ってたら怒られました!」
と明るく答えコートに走って行った。
そうそう、叱られた事だけを受け止めて落ち込んだりしないで、そうやって人の想いをちゃんと受け止めて切り替えないとな。
打合せはエネルギッシュにコミカルに?延々続く。
ふと見ると“トウシロ”の後輩の手元にはJTA出版のドリル集。
「お前勉強してるねえ!」
無償で人の為に尽くす草の根の活動をしている人はどの世界でも熱く、そして純粋だ。
毎日毎日沢山のレッスンをしているプロテニスコーチ。
その日常が金太郎飴にならないのは、毎レッスン毎レッスンで「観察〜承認」というコーチングの基本を真剣にするが故の創造、発見、驚き、感謝、それから生まれる感動があるからだろう。
今年も“熱い夏”がやって来た。
2009.7.25
Kashiwacho
カテゴリー:Tennis
2009/07/25 12:21














