Scene 256 [長距離走者の孤独]
「選抜始まったねえ」
「ああ、選抜では初の早慶戦が実現するかもなんだよね」
「東京の男子は菅生と大成で、女子が早実と富士見丘だろ?」
「えっ-!何それ?東京は早実と国士舘で神奈川が慶応じゃないの?」
「お前さあ、テニスコーチだろ-!」
「あっ、もしかしてテニスの選抜?そっかあ始まってんだあ」
「フェデラーが来れば“スゲースゲー”騒いで、錦織が優勝すれば“スゲースゲー”騒いで、お前の感性ってプロコーチのそれじゃなくて、マスコミのボリュームそのままの請け売りクン状態なんだな。今日のパリバ・オープンも“マリーとナダルが決勝へ”って見出しだけ見て、フェデラーが準決でマリーに負けたことには気付いてないんじゃないの?」
「お前それ言い過ぎ。俺だってテニスの選抜が今回で第30回で、100校が出る位は知ってんだからよ」
「あっそ」
とにかく春めいて来た。
今日は東京マラソン。
目白通り沿いの地下道を上がった所ではボランティアの人達が打合せをしている。
向こうから来たお巡りさんに「今日知り合いが走るんだけど、この先を左に曲がって専大通りの方へ行くんだよね?」と質問したら、地図を広げて笑顔で説明してくれる。
飯田橋付近は混み合っているので西神田ランプ前の堀留橋に陣取った。
西神田ランプは日本橋川の上で、専大通りも橋によって軽い坂になってる。
まず車いす競技のトップグループが走って来た。
競い合う気迫が伝わって来てグッと来る。
しばらくしたらマラソンのトップランナー達。
速い……。
その後に車いすのおそらく最終ランナー。
マラソン、車いすのトップが難なく走って行った上り坂を両手に力を込めて登ってく。
思わず手を打ち鳴らして応援。
五体満足故の驕りなんかじゃあない。
そして専大通り一杯にランナーの“帯”が押し寄せて来た。
頭の中で(白のアディダスの女性、白のアディダスの女性)と繰り返し、次に(テニスの日の法被を着た男性、テニスの日の法被を着た男性)と繰り返すが、何しろ約35,000人。
余りの人の多さに見つけられる気がしない。
どんなカッコをしてるかわからない知人なんてもうどうしようもない。
動体視力をフル回転したけど、携帯でランナーアップデート(位置情報サービス)で調べた時にはお目当ての友人は10km地点の日比谷を通過して、とっくに西神田は後にしていた。
結局、誰一人見つけられず、大挙して走ってたというタレントにも気付かず。
でも、ずっと手を振り、スティックバルーンを打ち鳴らして応援する沿道の住民。
子供達が差し出す手にわざわざ寄って来てタッチして行くランナー達。
そして延々と陽気なR&Rを演奏し続けてランナーを煽るバンド。
そんな中にいたら、(これってスゲエことだよな。TOKYOのど真ん中でさ。スポーツっていいじゃん)と温かい気持ちになった。
ゴールデン街のいつもの店での打ち上げに、お疲れのケーキを手土産に駆けつける。
主役は42.195km駆け抜けた充実感と無駄がない可愛らしさでスツールにいた。
隣りの席にいるはずの旦那がいなくて呑みかけのグラス。
聞けばお疲れのGODIVAを買いに行ったらしく、強くなった雨の中ずぶ濡れで帰って来た。
可愛いとこあるじゃん。
見せてもらったメダルには“FINISHER”の刻印。
そこにいつもはとんでもない酔っ払い方をする女が男と入って来た。
奴も42.195km完走。
で、これが又いい顔してる。
次の用事もあって、二組のカップルにちょっと当てつけられた気分で早々に店を後にした。
後で聞いたら、俺が帰った後に何と優勝ランナーが店に来たらしい。
「前の晩にたまたまマネージャーが呑みに入って来て店を気に入ったから」とか言ってたけど本当かよ。
ゴールデン街だぜ、三番街だぜ、R&Cだぜ。
羨ましい……。
最後に、祝!WBC日本優勝!
2009.3.24
Nishikanda-rampway
「ああ、選抜では初の早慶戦が実現するかもなんだよね」
「東京の男子は菅生と大成で、女子が早実と富士見丘だろ?」
「えっ-!何それ?東京は早実と国士舘で神奈川が慶応じゃないの?」
「お前さあ、テニスコーチだろ-!」
「あっ、もしかしてテニスの選抜?そっかあ始まってんだあ」
「フェデラーが来れば“スゲースゲー”騒いで、錦織が優勝すれば“スゲースゲー”騒いで、お前の感性ってプロコーチのそれじゃなくて、マスコミのボリュームそのままの請け売りクン状態なんだな。今日のパリバ・オープンも“マリーとナダルが決勝へ”って見出しだけ見て、フェデラーが準決でマリーに負けたことには気付いてないんじゃないの?」
「お前それ言い過ぎ。俺だってテニスの選抜が今回で第30回で、100校が出る位は知ってんだからよ」
「あっそ」
とにかく春めいて来た。
今日は東京マラソン。
目白通り沿いの地下道を上がった所ではボランティアの人達が打合せをしている。
向こうから来たお巡りさんに「今日知り合いが走るんだけど、この先を左に曲がって専大通りの方へ行くんだよね?」と質問したら、地図を広げて笑顔で説明してくれる。
飯田橋付近は混み合っているので西神田ランプ前の堀留橋に陣取った。
西神田ランプは日本橋川の上で、専大通りも橋によって軽い坂になってる。
まず車いす競技のトップグループが走って来た。
競い合う気迫が伝わって来てグッと来る。
しばらくしたらマラソンのトップランナー達。
速い……。
その後に車いすのおそらく最終ランナー。
マラソン、車いすのトップが難なく走って行った上り坂を両手に力を込めて登ってく。
思わず手を打ち鳴らして応援。
五体満足故の驕りなんかじゃあない。
そして専大通り一杯にランナーの“帯”が押し寄せて来た。
頭の中で(白のアディダスの女性、白のアディダスの女性)と繰り返し、次に(テニスの日の法被を着た男性、テニスの日の法被を着た男性)と繰り返すが、何しろ約35,000人。
余りの人の多さに見つけられる気がしない。
どんなカッコをしてるかわからない知人なんてもうどうしようもない。
動体視力をフル回転したけど、携帯でランナーアップデート(位置情報サービス)で調べた時にはお目当ての友人は10km地点の日比谷を通過して、とっくに西神田は後にしていた。
結局、誰一人見つけられず、大挙して走ってたというタレントにも気付かず。
でも、ずっと手を振り、スティックバルーンを打ち鳴らして応援する沿道の住民。
子供達が差し出す手にわざわざ寄って来てタッチして行くランナー達。
そして延々と陽気なR&Rを演奏し続けてランナーを煽るバンド。
そんな中にいたら、(これってスゲエことだよな。TOKYOのど真ん中でさ。スポーツっていいじゃん)と温かい気持ちになった。
ゴールデン街のいつもの店での打ち上げに、お疲れのケーキを手土産に駆けつける。
主役は42.195km駆け抜けた充実感と無駄がない可愛らしさでスツールにいた。
隣りの席にいるはずの旦那がいなくて呑みかけのグラス。
聞けばお疲れのGODIVAを買いに行ったらしく、強くなった雨の中ずぶ濡れで帰って来た。
可愛いとこあるじゃん。
見せてもらったメダルには“FINISHER”の刻印。
そこにいつもはとんでもない酔っ払い方をする女が男と入って来た。
奴も42.195km完走。
で、これが又いい顔してる。
次の用事もあって、二組のカップルにちょっと当てつけられた気分で早々に店を後にした。
後で聞いたら、俺が帰った後に何と優勝ランナーが店に来たらしい。
「前の晩にたまたまマネージャーが呑みに入って来て店を気に入ったから」とか言ってたけど本当かよ。
ゴールデン街だぜ、三番街だぜ、R&Cだぜ。
羨ましい……。
最後に、祝!WBC日本優勝!
2009.3.24
Nishikanda-rampway
カテゴリー:Tennis
2009/03/25 23:38













