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another side of tennis

Scene 251 [Take Me Out To The Ball Park]

近況報告が終った後、不意に「ジュニアにいい練習って何かな?」と、やたら大雑把な質問が口をついた。
電話の向こうの奴は、「壁打ちだね」と一言。
郊外というよりは山の中と言った方がいい場所に住んでるトップジュニア強化コーチ。
「お前の家の辺りなら、いくらでも壁打ちボード代りの場所あるだろうけど、ウチの周りじゃまずそんな場所ないよ」

あった……。
しかもウチから自転車で数分の場所に。
「遊歩道を西にちょっと行った所に壁打ちボードあるの知ってる?あそこいいと思うよ」
「それって何となく見た記憶あるけど、どっかの学校でしょ?」
「違うよ、ボール遊びOKの広場で、ちゃんとした壁打ちボードがあるの!」
という訳で、発見して来た家人と、早く行きたくて走り出さんばかりのガキ2人と向かった。

高いフェンスと広場特有の白っぽい砂。
サッカーをやってる中高生、キャッチボールをしてる小学生、そして壁打ちをしてるおじさん。
芋洗い状態とは言わないが、結構密集した中で皆がボールを行き交わせている。
早速、空いてるスペースでラリー開始。
普通の公園と違い、皆が球技をしているので気遣いが少なくていい。
暫くすると「どうぞ!」と、おじさんが壁を譲ってくれた。
子供二人が早速打ち出した。
「どうすればいいの?」なんて事は勿論聞いて来ない。
そして“壁”も何の文句も言わず、ボールを打ち返して来る。
俺はその横で家人とラリー。
途中、ボールを拾いに壁の裏に行ったら、「ドン」「ドン」とボールの音が響いてる。
中学の時、体育館の裏で毎日鳴らしてた音。
結局、次の人が来るまで1時間半、奴等は打ってた。

年明けて元旦。
吉祥寺に初詣と新春ビュッフェに行く前に、せがまれて壁打ちへ。
俺の初打ちが壁打ちになるなんて思いもしなかったな。
誰もいない広場で、一人は壁打ち、もう一人は俺とラリー。
小さな子供がいる二家族が、凧揚げにしに入って来た。
いい感じだ。

そして今日、初めて来た日からこれで6日連続。
子供達に入射角、反射角なんてわかってる訳はないが、“壁”を相手に健闘してる。
「壁打ちだね」と即答した奴の言いたい事がわかる。
テニスにおける集中力、想像力、持久力を養うのに、壁打ちは最適だ。

ところで今日は結構混んでる。
軟庭部員らしき中学生もいる。
彼は、サーブして跳ね返って来た短いボールを追って前に、と繰り返している。
壁打ちしている同士でお互いボールが逸れると、自分のボールは相手に任せて自分は相手のボールを追ったりと、子供同士で気遣いし合っているのが見えて嬉しくなる。

気付くと軟庭の中学生が、壁打ちボードと高いフェンスの向こうの都市農園で、フェンスの破れから出て行ったであろうボールを探してる。
なかなか見つからなくて、そのうち農園の関係者らしき女性二人も加わった。
どれ程経ったんだろうか、30分は経っていただろう。
彼がボールを見つけてボードに戻って来た。
彼にとってボールとは、値段が高い安いじゃないんだと気付く。
そしてちょっとでも(これでスペースが広がるな)と感じた自分が恥ずかしくなる。
大人って奴は常識とか礼儀には小うるさいが、こうやってガキと触れ合って何とか自分の理性を保っているのかもしれない。
さて、次壁打ちに行けるのは……う-ん、4日も後かあ。

2009.1.4
Flower South


カテゴリー:Tennis
2009/01/10 15:56

筆者紹介:坂東海


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