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another side of tennis

Scene 230 [子供とテニスしてる?]

約束の店に行こうと、表参道から246を外苑前に曲がったところで、待ち合わせてた当人達とばったり会った。
「まだお店開いてなかったから、友達の店行こう」
悪友と俺等をずっと慕ってくれてる幾つか下の女の子。
奴等はカジュアルな恰好だけど、全身真っ黒。
俺も黒尽め。
「いい会だったよ」
表参道を原宿に向かいながら、今日の会の話を聞く。
暑い夏の日の夕方。
並木で日陰が多いこの道でも、今日は暑い。

表参道ヒルズの中の開店前のレストラン。
店のスタッフが彼女にフレンドリーに話しかけて来て、俺達にも絶妙な距離感で接して来る。
「とりあえずビール。世界で一番冷えてるやつね」
そして"乾杯"でなく"献杯"。
"献杯"といっても、捧げる相手がジメジメした事は嫌いだから、「う~ん、美味い!」と俺達は笑う。

「私、子供をテニススクールに入れたんだ。のんびりしたいい所だよ。いろいろ探したんだけど、絶対条件はアウトドア。暑かったり、寒かったり、風が吹いたりする中でプレーするのがテニスでしょ。雨が降ったら出来ないのも当たり前だし。そういう感じを味あわせたかったんだ」「そう!それなんだよ!全く俺も同感!サンサンと照りつける太陽の下で、水を撒いたクレーコートの上で必死にコーチのボールに食らいついたりさ、真冬の早朝、朝日が昇るのが待ち遠しくて、白い息をはきながら芝生の上をランニングしたあの感じ!あの感じ!」「みんなでテニスクラブ作りたいね」「宮城先生に全米オープンで会う度に、『子供とテニスしてる?』って聞かれてさ、『いや~忙しくて……』って答えると『こーんなに面白いテニスを子供にさせなきゃだめじゃない』って怒られてさ。そうやって会う人会う人に言ってたんだよね。今思えば、それはとても大切なメッセージだったんだなぁって感じるよ」「まずは私達が子供とテニスしないとね。みんなで家族連れて集まろうよ」

オムール貝を食べながら俺達はずっとテニスの話を続けた。
目をつぶれば、ログハウス、ガット張り機、鉄棒、軒下のバーベル、砂利、青々とした芝生が浮かび、その全てを愛おしく感じる。
そして彼女の声が聞こえて来る。

「子供とテニスしてるー?」
「だめじゃない!どんどんやってあげてぇ」

2007.7.25
Jingumae4


カテゴリー:Tennis
2008/07/31 16:10

筆者紹介:坂東海


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