Scene 209 [プロペラ]
破けたパンツの穴からのぞいてる、血だらけの膝小僧にヨードチンキを塗られてる。
膝小僧にはガキの頃何度もすりむいて消えない傷痕があるけど、この歳になって看護婦さん(あえて親愛の情をこめて看護師とはしない)に、ヨードチンキを塗ってもらって、絆創膏を貼ってもらうとは。
しかもここは真夜中の病院。
医者にも看護婦さんにも呆れられている気がして来る。
いやその前にこの俺が(ガキじゃあるまいし……)と、自分自身にがっかりしてる。
最後は眉毛の上のぱっくり開いた傷をホチキスで二針とめてもらって帰宅した。
イタイ……。
十日位前の夜。
42inchのデカイ画面の中で、甲斐よしひろが竹内まりやの「駅」を唄ってる。
一緒に観ていたプロゴルファーは「かっこいいですねえ……」とため息。
“あの声”を聴くと、それが新しい歌だろうがカバーだろうが、俺は中3に戻る。
ニューアルバムの中では尾崎豊の「I LOVE YOU」も唄ってる。
初めて「15の夜」を聴いてイントロの音にぶっ飛んだ時の事を思い出しながらも、俺はやっぱり甲斐バンドが同じ1983年に、新宿の現都庁の空き地に3万人集めた野外ライヴが頭の中に蘇る。
あの時は前の日まで軽井沢でテニスキャンプだったんだよな。
お客さんは入替り立替りで数日滞在して帰って行くんだが、俺等はよく工事現場にあるスーパーハウスに数週間泊まり込んでのレッスンで、これぞ出稼ぎって感じだった。
やっと契約期間が終った帰りの高速バスが新宿行きだったから、走ってリハを観に行ったっけ。
「文化は孤独を救う」
どっかで見た言葉。
その通りだと感じる。
音楽、本、映画……。
特に音楽は俺をあっという間にガキの頃に引き戻す。
勿論だからと言って、真夜中にガキみたいに転んで怪我する必要はない。
顔の腫れも大分ひいたある晩、iBookを開いてのメールチェック。
「プロペラからの大切なお知らせ」という件名が目を引く。
(大体こういうのってシビアなんだよなあ)と開くと、「しばらく活動停止」……。
翌朝、もう随分長いつき合いになるボーカルとドラムにメール。
と言っても「お疲れ。淋しいね」程度だが。
俺等の結婚パーティーの出席の返事に、デビューが決まった直後で「プロペラゆうたろう」と書いて寄こしたのを思い出す。
パーティーじゃアコギをかき鳴らしながら、♪Happy Happy Wedding Song Congratulation♪と唄ってくれたな。
久々に奴等のデビューアルバムを手に取ったら、中からメンバーと西村雅彦が一緒に写ってるステッカーが出て来た。
西村氏の髪の毛のボリュームが今とは違う。
デビューがドコモとのタイアップだったんだよなあ、あれから11年か。
<いやいや メールせんきゅ~!!!てなことんだけど うたっていきますわ~ また飲もーぜ! ありがっと。>
<うす! ありがとちゃん 20年振りのフリーな感じをしばらくは楽しむよ(笑)>
あけっぴろげな笑顔が浮かぶ返信が相次いで返って来た。
そうだよな、いくつになってもやるべき事をやるだけだよな。
俺等はいつまでたっても健全な不良少年だ。
いつまでも ボクらが歩く日々に
いつの日か 本当の青空を
どこまでも キミを好きでいるために
いつの日か 本当の心の強さつかみ取るから きっと
そして君に 今こそ愛を…
(君に・・・/プロペラ)
2007.3.5
Shinakitsu
膝小僧にはガキの頃何度もすりむいて消えない傷痕があるけど、この歳になって看護婦さん(あえて親愛の情をこめて看護師とはしない)に、ヨードチンキを塗ってもらって、絆創膏を貼ってもらうとは。
しかもここは真夜中の病院。
医者にも看護婦さんにも呆れられている気がして来る。
いやその前にこの俺が(ガキじゃあるまいし……)と、自分自身にがっかりしてる。
最後は眉毛の上のぱっくり開いた傷をホチキスで二針とめてもらって帰宅した。
イタイ……。
十日位前の夜。
42inchのデカイ画面の中で、甲斐よしひろが竹内まりやの「駅」を唄ってる。
一緒に観ていたプロゴルファーは「かっこいいですねえ……」とため息。
“あの声”を聴くと、それが新しい歌だろうがカバーだろうが、俺は中3に戻る。
ニューアルバムの中では尾崎豊の「I LOVE YOU」も唄ってる。
初めて「15の夜」を聴いてイントロの音にぶっ飛んだ時の事を思い出しながらも、俺はやっぱり甲斐バンドが同じ1983年に、新宿の現都庁の空き地に3万人集めた野外ライヴが頭の中に蘇る。
あの時は前の日まで軽井沢でテニスキャンプだったんだよな。
お客さんは入替り立替りで数日滞在して帰って行くんだが、俺等はよく工事現場にあるスーパーハウスに数週間泊まり込んでのレッスンで、これぞ出稼ぎって感じだった。
やっと契約期間が終った帰りの高速バスが新宿行きだったから、走ってリハを観に行ったっけ。
「文化は孤独を救う」
どっかで見た言葉。
その通りだと感じる。
音楽、本、映画……。
特に音楽は俺をあっという間にガキの頃に引き戻す。
勿論だからと言って、真夜中にガキみたいに転んで怪我する必要はない。
顔の腫れも大分ひいたある晩、iBookを開いてのメールチェック。
「プロペラからの大切なお知らせ」という件名が目を引く。
(大体こういうのってシビアなんだよなあ)と開くと、「しばらく活動停止」……。
翌朝、もう随分長いつき合いになるボーカルとドラムにメール。
と言っても「お疲れ。淋しいね」程度だが。
俺等の結婚パーティーの出席の返事に、デビューが決まった直後で「プロペラゆうたろう」と書いて寄こしたのを思い出す。
パーティーじゃアコギをかき鳴らしながら、♪Happy Happy Wedding Song Congratulation♪と唄ってくれたな。
久々に奴等のデビューアルバムを手に取ったら、中からメンバーと西村雅彦が一緒に写ってるステッカーが出て来た。
西村氏の髪の毛のボリュームが今とは違う。
デビューがドコモとのタイアップだったんだよなあ、あれから11年か。
<いやいや メールせんきゅ~!!!てなことんだけど うたっていきますわ~ また飲もーぜ! ありがっと。>
<うす! ありがとちゃん 20年振りのフリーな感じをしばらくは楽しむよ(笑)>
あけっぴろげな笑顔が浮かぶ返信が相次いで返って来た。
そうだよな、いくつになってもやるべき事をやるだけだよな。
俺等はいつまでたっても健全な不良少年だ。
いつまでも ボクらが歩く日々に
いつの日か 本当の青空を
どこまでも キミを好きでいるために
いつの日か 本当の心の強さつかみ取るから きっと
そして君に 今こそ愛を…
(君に・・・/プロペラ)
2007.3.5
Shinakitsu
カテゴリー:KAI
2008/03/06 12:09














