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another side of tennis

Scene 199 [それさえあれば]

「(プレッシャーとは)便利な言葉だ。プレッシャーに押し潰されたと言えば言い訳になるし、逆にプレッシャーを感じながら頑張ったと言えば美談になってしまう。マスコミもそうだが、選手も安易に使いすぎるのではないか。他の国ではまず聞かない言葉だ。プレッシャー・イコール・競技をするということなんだから。ウチの選手にはプレッシャーなんて逃げ道は与えない。その中で何をやるかを模索させる」

オシムでもジーコの言葉でもない。
図書館でタイトルを目にして、懐かしさと変わらないシンパシーから手に取った本の中の、1993年の“ある監督”の言葉。

試合のコートに入った瞬間にふっとトランスする自分が好きだった。
団体戦では応援は他の試合に廻して、自分は相手の応援に囲まれてやるのが好きだった。
その試合中に、下手なくせに汚い応援をする馬鹿をビビらせるのも好きだった。
テニスが好きだった。
女と待ち合わせて学校行く様になって毎日していた朝練をやめたり、バンドを組んでスタジオに入り浸っても、何だかんだ言って毎日テニスしていた。
今考えればどんなスケジュールだったんだ-!
まあとにかく、プレッシャーを楽しんでたとまでは言わないが、プレッシャーがある故に冷たく熱くプレーしていたんだ。

クリスマス直前の代官山に奴とSIONを観に行った。
ギタリストの松田文と二人のライブ。
当日券で入っただけあって、バーカウンター前で人の頭と頭の間数十cmからステージを観る。

“波打ち際で 砂の城を作って 波にさらわれ 崩れ 溶けて 消えて だからまた作る 悲しくはない これが好きだから 悲しくはない これが好きだから” 砂の城/SION

心の底から好きなら全てがそこを中心に動き出す。
それはテニスだろうが音楽だろうが恋愛だろうが同じだ。
でも心の底から好きだったはずのものが、いつの間にか自分のイメージとかけ離れてしまっている時もある。
更には大嫌いなことで喰って行かないといけない時もある。
そんな時に「あいつの為に」と踏ん張れる相手がいれば、「あの為に」と唇を噛みしめられる夢があれば……。
数十人いるプロテニスコーチに「自信を持って『俺は練習している!』と言えるか?」と聞いたら、たった一人がバツが悪そうに手を挙げたという話を聞いた。
そいつの心情を想うとやり切れない。
手を挙げられなかった奴等に「テニスさえあれば」という気持ちはあるんだろうか。

“それは食うためだったり 生きるためだったり 明日のためだったり 夢のためだったり 大事なお前のためだったり 約束だったり それがあれば それがあれば それだけあれば それさえあれば” それさえあれば/SION

さて冒頭の台詞だけど誰だかわかってたかな。
燃える男、ミスター、背番号3、90番、33番、チョーさん等々、ありとあらゆる場面で語られている男。
勝手な想いいれだけでなく、スケープゴート役さえも受け止め、揺るぎないOnly Oneの役割を演じ続け、引き受け続けてる最高の男。

「俺にはそれ(努力)しかないよ。立教時代、それからプロへ入団した当時、ノックやランニングや真夜中の素振りで、もうほとんど眠らなかったでしょう。瀧、知ってるよな。だからもう、体中がパンパンに張っていて、きたない話だけれど、座ってクソができなかったから……だから立ったままですよ。洋式ではなかったからな、足元にある小さ目の便器に向かって立ちグソですよ。それ位の練習をして技術を身につける、それなら本物になりますよ」

裏打ちのある男しか信じない。

2007.12.23
Daikanyama

※文中の台詞は【1993年 史上最強の「長嶋茂雄」読本!】から引用


カテゴリー:SION
2007/12/27 14:44

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筆者紹介:坂東海


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