Home会社概要会社沿革企業理念地域・社会貢献活動不動産オーナー募集テニスコーチ募集
メールマガジンテニス動画テニスコラムブログリンクサイトマップ資料請求お問い合わせ
another side of tennis

[Another Side of Tennis] 坂東海

新宿ゴールデン街バーの片隅のテニスと音楽の与太話です。
«Prev | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | Next»
01

Scene 209 [プロペラ]

破けたパンツの穴からのぞいてる、血だらけの膝小僧にヨードチンキを塗られてる。
膝小僧にはガキの頃何度もすりむいて消えない傷痕があるけど、この歳になって看護婦さん(あえて親愛の情をこめて看護師とはしない)に、ヨードチンキを塗ってもらって、絆創膏を貼ってもらうとは。
しかもここは真夜中の病院。
医者にも看護婦さんにも呆れられている気がして来る。
いやその前にこの俺が(ガキじゃあるまいし……)と、自分自身にがっかりしてる。
最後は眉毛の上のぱっくり開いた傷をホチキスで二針とめてもらって帰宅した。
イタイ……。

十日位前の夜。
42inchのデカイ画面の中で、甲斐よしひろが竹内まりやの「駅」を唄ってる。
一緒に観ていたプロゴルファーは「かっこいいですねえ……」とため息。
“あの声”を聴くと、それが新しい歌だろうがカバーだろうが、俺は中3に戻る。
ニューアルバムの中では尾崎豊の「I LOVE YOU」も唄ってる。
初めて「15の夜」を聴いてイントロの音にぶっ飛んだ時の事を思い出しながらも、俺はやっぱり甲斐バンドが同じ1983年に、新宿の現都庁の空き地に3万人集めた野外ライヴが頭の中に蘇る。
あの時は前の日まで軽井沢でテニスキャンプだったんだよな。
お客さんは入替り立替りで数日滞在して帰って行くんだが、俺等はよく工事現場にあるスーパーハウスに数週間泊まり込んでのレッスンで、これぞ出稼ぎって感じだった。
やっと契約期間が終った帰りの高速バスが新宿行きだったから、走ってリハを観に行ったっけ。
「文化は孤独を救う」
どっかで見た言葉。
その通りだと感じる。
音楽、本、映画……。
特に音楽は俺をあっという間にガキの頃に引き戻す。
勿論だからと言って、真夜中にガキみたいに転んで怪我する必要はない。

顔の腫れも大分ひいたある晩、iBookを開いてのメールチェック。
「プロペラからの大切なお知らせ」という件名が目を引く。
(大体こういうのってシビアなんだよなあ)と開くと、「しばらく活動停止」……。
翌朝、もう随分長いつき合いになるボーカルとドラムにメール。
と言っても「お疲れ。淋しいね」程度だが。
俺等の結婚パーティーの出席の返事に、デビューが決まった直後で「プロペラゆうたろう」と書いて寄こしたのを思い出す。
パーティーじゃアコギをかき鳴らしながら、♪Happy Happy Wedding Song Congratulation♪と唄ってくれたな。
久々に奴等のデビューアルバムを手に取ったら、中からメンバーと西村雅彦が一緒に写ってるステッカーが出て来た。
西村氏の髪の毛のボリュームが今とは違う。
デビューがドコモとのタイアップだったんだよなあ、あれから11年か。

<いやいや メールせんきゅ~!!!てなことんだけど うたっていきますわ~ また飲もーぜ! ありがっと。>
<うす! ありがとちゃん 20年振りのフリーな感じをしばらくは楽しむよ(笑)>
あけっぴろげな笑顔が浮かぶ返信が相次いで返って来た。
そうだよな、いくつになってもやるべき事をやるだけだよな。
俺等はいつまでたっても健全な不良少年だ。

いつまでも ボクらが歩く日々に
いつの日か 本当の青空を
どこまでも キミを好きでいるために
いつの日か 本当の心の強さつかみ取るから きっと
そして君に 今こそ愛を…
(君に・・・/プロペラ)

2007.3.5
Shinakitsu
カテゴリー:KAI
03/06 12:09
02

Scene 208 [DESTINY]

最近続いてた澱の様な気分を変えようと、小一時間も呑めないのに馴染みのバーに入った。
澱は消えはしないけど、マスターと一言二言交すだけで自分の本音と傲りがわかる。
今夜の澱は字面通り深く澱んでて、明日も引きずりそうだが、椅子を蹴飛ばし歩き出す気にはなる。
話が重くなりかけたところに、風俗好きの客2人が入って来て与太話に転じる。
「へえ~、今そんなのあるんだ」
興味はないけど、こんな夜を茶化すには丁度いい。
するとそこに若くて陽気な外人が5人入って来た。
壊れたCDの代りのカセットが流すジョン・デンバーに反応してるから、てっきりアメリカ人かと思ったら、オーストラリアから北海道迄スキーをしに来たとのこと。
(真夏のオーストラリアから日本まで来てスキーねえ……殊勝な奴等だ)なんて考えてたら、口が勝手に「ヒューイットはお前等のテニスヒーローなのか?」みたいな事を言ってた。
奴等は全員揃って肩をすくめ、一人は「ヒューイット・イズ……」と言って、ラケットをコートに叩きつける仕草をした。
陽気なオージーには、短気なヒューイットは器量の小さい男に見えるってことか。

隣の客は外人と話してる自分に舞い上がっちゃって、「俺はセリーヌ・ディオンが好き!」みたいなことを言ったら、困り顔で「彼女はカナダ人だよ」と言われてる。
せめてオリビア・ニュートン・ジョンだろう。
キッスの熱狂的ファンが多いって話もありか。

先頭で入って来て奥の席に座った奴が、奴等の中では日本語がわかるらしくて、奴の後ろについてきて入口付近に座った奴等は、「言葉がわからないと怖くて奥には行けないよ」とおどけている。
そりゃそうだ。
同じ国の人間同士だって、コミュニケーションが得意な奴はどんどんどんどん人の輪の中に入って行って、気付けばいつも輪の中心にいる。
コミュニケーションが苦手な奴はやっぱり“入口”辺りでもじもじしてる。

場は「日本でもラグビーはラグビーと言うのか?」だの、「日本はやっぱり野球だぜ!」だの、「こっち来て何喰った?」だの、「日本最高のスナック、柿の種喰ってみるか?」だのスポーツと喰いもんの話で盛り上がり出す。
あいつら「伊達公子は左手だけでも打つよね?!」って話しかけても来たな。
そうなんだよな、クサイ言い方かもしれないけど、スポーツは世界共通言語だ。
ふと、シャイなくせに芯が強い、ゴルフの若いティーチングプロが貸してくれた本の中の言葉が甦る。

人との縁、道具との縁、コースとの縁
ゴルフは「縁」が取り持つゲーム
「人」にささえてもらうには
人のなかに「入」らなくちゃね
これもゴルフのひとつの真情
ゴルフ青木流/青木功(新潮社刊)

あの野郎、本に語らせやがったな。
メッセージの発信方法は人それぞれだ。
“入口”辺りでもじもじしてても、そこからいくらでもコミット出来るんだ。
やるじゃねえか。

「後3分半で終りますよ」
部屋のスピーカーからの声で目を覚ました。
MRI検査の最中、閉所恐怖症じゃないが目を開けてる気もしなくて、リラックスさせる為のBGMとガンガン、コンコンと鳴る操作音を(海底で工事の音聞いてるみたいだな)と、目を閉じながら聞いてるうちに寝たらしい。
昨日はオージーのせいで、小一時間のつもりが遅くなっちまったもんな。
そう言えばあいつら、「明朝5時に築地に行く」って言ってたけど、起きれたのかねえ。

2007.2.28
Skytower
カテゴリー:word
02/28 13:52
03

Scene 207 [Front Cover]

(ニッコリ王子ねえ……)
甲子園でハンカチを使ってハンカチ王子。
アマながらプロ大会で大の大人に混じって優勝してハニカミ王子。
そしてニシコリを文字ってニッコリ王子。
テニスにはテニスの王子様のイメージがあるから、これは受け入れざるを得ないネーミングか。
とは言っても「ニッコリ王子」というのはまだ一回しか目にしてないが。
まあ呑み屋ネタ的には「ニッコリよりマッコリでしょう」だな。

あれだけ大騒ぎしたマスコミだが(今回だけは「大騒ぎしてくれた」としておくか)、決勝戦の会場に日本のマスコミは、某大手新聞一社しか取材に来てなかったらしい。
そして優勝した途端の勝ち馬の乗り合い。
はいはい、いつも通りだな。
こちとら自分のテリトリーで、知識も情報もたっぷりで煽られも騙されもしないから、お決まりの記事の膨らませ方も可愛く感じるよ。
「表紙にさえなればこっちのもんだ。中身なんて何書かれたって気にしないぜ」ってミック・ジャガー気取れるぜ。

さて、問題は奴等に消費されないことだ。
サッカーは明らかに“キャプテン翼”世代から世界に通じる選手が出た。
“テニスの王子様”も“エースをねらえ!”も(あと“Happy!!”もか)、確かにテニスがお茶の間にいたし、“テニスの王子様”に至ってははっきりとしたムーブメントだった。
“テニスの王子様”は1999年連載開始。
確かに“テニスの王子様”に影響された子供達でテニススクールは賑わった。
でもそれはキャパシティの拡大縮小の問題で終ってしまった。

「あの頃は手当たり次第声かけてたから覚えてないのよね」

これは幼少時のシャラポアを見い出したとされるナブラチロワが、シャラポアがブレイクした後にその件についてたずねられた際の言葉。
底辺は広ければ広い程いい。
だから今回も、まずは奴等が起こした人工波でも構わない。
気がつけばバレーボールだけでなく、卓球もハンドボールも地上波で中継されてるんだ。
テニスもそこまで行っておかしくないだろ。

今度こそ、そこからだ。
ジュニア育成をしていない普及型スクールこそ専門知識を活かして、誰もが気軽にテニスを始める地域の1stスクールとしての役割を果たすべきだ。
いいかい?“No.1”スクールじゃなくて“1st”スクールだよ。
まず最初にテニスをする場所、テニスを広める場所。
だからって楽しいだけで上達、強化という言葉と無縁じゃあない。
幼児の時にしておくべきこと、小児の時にしておくべきこと、それをプロコーチとして当たり前にやるべきこととして日々レッスンしないとだ。
それがあって初めて普及型スクールと育成型スクールがリンクして来るんだから。

「今回の錦織優勝ってプロテニスコーチのリトマス試験紙ですよね。バカなマスコミの論調そのままの奴なんて最悪ですよ。“良かった!良かった!”ってお前は鸚鵡かって」

わかった、わかった、まあそう言うなよ。
同じ仲間なんだしさ。
とりあえず今は、
「表紙にさえなればこっちのもんだ。中身なんて何書かれたって気にしないぜ」
「あの頃は手当たり次第声かけてたから覚えてないのよね」
と、ジャガー氏とナブラチロワ氏が言ってるところを想像して、ニヤッとしとこうぜ。

2007.2.21
Sagamiono
カテゴリー:STONES
02/21 18:24
04

Scene 206 [パートナー]

随分と野球づいた週だった。

まず木曜日。
野球部だった中高の友人で、今はスポーツ専門学校の学校長だかなんだかをやってる奴が訪ねて来て、やっぱりガキの頃野球部だったゴルフのプロも交えての呑み。
飯田橋の和風イタリアンで、美味いポテトフライと、日替わりメニューでその日はなかったアンチョビのピザを強引にオーダーして乾杯。
お互いの近況や、それぞれのスポーツの現状を話しつつ場が進む。
「お前に悪いけどさ、テニスがダメだと思うのは、子供にちゃんと挨拶させないよな」
先日会合で挨拶されたばかりのコーチの顔が浮かぶ。
奴の娘はそのコーチがいる某スクールのジュニア育成コースの最年少。
「そりゃあレッスンの最初と最後は挨拶してるけど、そういうもんじゃないだろ?俺はレッスンが終って帰る時にウチの子に、コーチやフロントの人だけじゃなくて他のお父さんお母さん、友達みんなに挨拶させてるよ。『そうさせないのはおかしい』ってコーチに言ってるんだけど、皆『う~ん』って感じでさ。大体若手のコーチがろくに挨拶出来てないもん」
「でもあそこは練習に来るプロはスクール側とかお客さんに感謝してて、ちゃんと挨拶するって聞いたけど。やっぱ一芸に秀でる人と井の中の蛙クンの差か」
「そうそう、プロはちゃんとしてるよ」

そんなこんなで場所をゴールデン街に移して、下戸のゴルフプロも一緒に朝まで呑んだその夜。
今度は各テニススクール代表との呑み。
ボブ・サップそっくりのデカイ奴が高校球児だとは知ってたが、“イップス”の話の途中で甲子園出場経験があると聞いて、話は一気に甲子園裏話へ。
「甲子園でウチのキャッチャーがイップスになったんですけど、ピッチャーへの返球が出来なくなっちゃったんですよ」
「へえ~。たったあの距離を味方に返すのにねえ」
「本当そうですよね。で、怖いからピッチャーに手渡そうとマウンドの方に歩こうとするじゃないですか。そうすると審判が後ろからズボンのベルト引っ張って行かせてくれないんですって」
「え~。何々それって時間短縮の為か何かで?」
「そうなんですよ。だから最初にホームベース前に集合する時も、球審が『試合の終りの挨拶で握手しない様に』とか『砂は持って帰らない様に』って注意するんですよ。まあ皆無視してやってますけど」
「へえ~。いろいろあるんだねえ」と、唐突に日本酒の味を覚えた某社長とお銚子を何本も寝かせて、最後に絶品の“幻の奈川そば”をかき込んで終了。

そして翌々日。
前の日の夕方あっと言う間に積もった雪が残る朝。
武蔵野線が走り抜けるのが見える体育館に、男ばかり約200人が集まってる。
軟式野球の審判講習会。
だから出席者は殆どが少年野球のコーチと言う名のお父さん。
まず最初に“アウト”と“セーフ”のジェスチャから講習開始。
「アウトの時は親指立てちゃダメですよ!ライターで火つけるんじゃないんですから。ドアをノックする様に『アウト!』ですよ!」と言われるが、悲しいかな、子供の時からの癖で、気がつくと親指が立ってる。
セーフのジェスチャも「両腕をクロスしてから広げるのは今はNG」らしい。
そんな感じで、朝9時半から夕方4時までみっちりロールプレイングの繰り返し。
午後の各塁の審判についての講習が終った後の、全員が見守る中でのデモはなかなか楽しかった。
選手役は地元の小中学生。
こいつらが茶目っ気たっぷりで、エラーするのは当たり前、わざとベースを踏まなかったり、ボークしたりで気が抜けない。
俺が球審の時は、ボールを落としてワザとボークしやがった。
でもこれはちゃんとやっておかないと審判出来ないよ。
プロ野球観ながら「おいおい、今の判定はないだろ?!」なんて言えなくなっちまった。

帰ってからガキに、「アウトの時に親指立てちゃいけないんだけど、たまに立てちゃったんだよ」と話したら、「フランチェンみたいだね!」とからかわれたけど、家族、地域でスポーツが共通項になっているのはいい。
昨日自宅側を歩いてたら、「コーチ!」と呼ばれた。
通りの向こう側で、小学生が笑ってこっちを見てる。
当然、電車で通ってる勤務先のテニススクールのジュニアじゃなくて、コーチをしてる少年野球チームの選手。
嬉しかったよ、アタタカイ気持ちになった。

「地域の繋がりがなくなった」と嘆くのはまだ早い。
そしてテニスコーチは、報酬云々のボランティアじゃなくて、本当のボランティア精神を少年野球のお父さんコーチから学ぶといいんじゃないかな。

2007.2.10
Shimojuku
カテゴリー:Tennis
02/14 16:34
05

Scene 205 [雪]

(良かった……動いてる)
家から徒歩1分のバス停。
反対方面に向かうバスを見て一安心。

ウチは新宿から電車で15分で駅から歩けば15分超、ついでにタクシーで7,000円。
7年前の市町村合併後、コミュニティバスが走り出し、おまけにバス停がすぐ側に設置されて随分便利になった。
とは言え、今朝みたいな天気の時はちょいと不安になる。
いつだったか、大雪の朝。
車通勤の家人も車を諦め、二人でバス停でバスを待ってた。
流石にいつもより皆家を出るのが遅いのか、並んでる人はいつもより少ない。
雪は相変わらず強く、厳しい寒さの中、ポケットに手を突っ込み、マフラーを首から鼻先迄巻き付けてバスを待つがなかなか来ない。
「これはちょっと異常じゃない?」なんて話していたら、先頭の人が急に駅の方へ歩き出した。
そして次々と皆駅に歩き出して俺等が先頭になってみたら、時刻表の裏側に「大雪が予想されますので運休します」……。
あの時と比べれば今回の雪は可愛いもんだが、やっぱり不安になるし、毎度々々Tokyoは雪に弱い。
そして勿論アウトドアのテニススクールも。

「明日雪降ったら雪かき大変だねえ」と言ってくれる人もいるけど、大体が「雨とか雪の時は来なくていいんでしょ?えっ?!来てるの?!何してるの?」という人が大半だ。
「雪が降ってるうちは雪かきしても無駄」という考え方もあるけど、それは間違い。
雪の後に雪を全部溶かす位の雨でも降れば別だけど、たいていその雨でシャーベット状になって凍結して余計悲惨になるし、何もしないで溶ける位の晴天になればそりゃあレッスンなんで、それまでに雪かきしとかなきゃってことだ。
とにかく、かく量は一緒で、ラッセル車もブルトーザーもない人海戦術なんだから、雪が降っていようがいまいが、積り出したら雪かきスタート。

俺が着いてからすぐに続々とスタッフが集まって来る。
「いや~っ、たまんないっすね!」と口々に言いながらも、顔が何か子供めいてるのは雪の魔力?
「えーっ?!明日雪?!やったあ~!」と喜んでたウチのガキと変わりゃしねえ。

“足は滑るし 歩きづらいし だけど奇麗な 雪が好き ゆっくりだけど止まらない 君に教わった 歩き方で”雪かもな/SION

そして雪かき開始。
コート外の空きスペースにどんどんと雪をかき出して行く。
最初のうちは出しに行く奴、戻って来た奴がすれ違うと、お互いくだらないジョークを飛ばし合っていたのが、徐々に無口になって行く。
そりゃそうだ、テニスコートは本当に広い。
当たり前だけど端から徐々にかいて行くけど、なかなかベースラインが出て来ない。
お客さんに「テニスコートって約何坪だか知ってますか?」と聞くと、殆どの方が「50坪?」と答え、「200坪」と聞くと、「え~っ!」とのけ反るか、「へえ~」と、まじまじコートを見回すかする。
随分前に歌舞伎町の航空写真を見たら、建替え前の大久保病院だかその側にテニスコートがあった。
そりゃあデカかったよ、雑居ビルどころか歌舞伎町のワンブロックよりデカかったな。
まあそんな訳で、テニスコーチがテニスコートの広さを実感するのは、振り回しとかの乳酸が溜る練習でなく雪かきだ。

さて、雪かきもそれなりに進んだ。
でも相変わらず雪は落ちて来る。
「昼過ぎから出来れば……」「夕方のジュニアから出来れば……」とやって来たけど、もうすぐ陽が落ちて凍結し出すからナイターも絶望的だな。
明日も天気は良くないから心配だ。
子供を明日ウチのスクールの「体験レッスンを受けさせてみる」と言ってた友人から、<「子供が明日テニス出来るかなあ」って心配してるんだけど、どう?>とメールが入る。
そうなんだ、俺達にはテニスもレッスンも当たり前だけど、子供達にとってテニスが出来る日は全部Special Day!
まして初めてスクールに来る子にとってはSuper Exiting Special Dayだ!
降る降らない、疲れた疲れてない関係ねえや!
ガツンと雪かきしてアッタカイ店で冷たいビールだ!?

“「疲れた」って言わなくなったのは 君が教えてくれたこと 身体と心をもって生きてんだから 疲れてない奴なんていやしない 冷え込む夜に 熱いコーヒーとラムを少し 静かすぎる気配が 聞かせてくれる 明日の朝は雪かもな”雪かもな/SION

2007.2.3
Minamicho5
カテゴリー:SION
02/07 15:24
06

Scene 204 [FOOLISH GAMBLER]

「集合!」
キャプテンの声が響き、俺等下級生はサイドラインに沿って並ぶ。
「お前等やる気あんのかよ」
キャプテンと副キャプテンが並んでの総括、上級生の話が始まる。
そのキャプテンの後ろの金網に“ガシャーン”、“ガシャーン”とボールが飛んで来る。
金網の向こう、キャプテン越しに小さなゴール。
その前で踊り上がる様に跳躍して、次から次へキーパーの顔をめがけてあの小さくて硬いボールを投げ込んで来る。
(凄えなあ……。ハンドボールのキーパーだけは絶対やりたくねえや)
自分より強い先輩ならまだしも、ただ年上なだけの下手くそな奴のくだらない話の合間。
そんな事を考えたりしてたのを覚えてる。
今でも、呑んでる時に「俺ね、絶対やりたくないのはハンドボールのキーパー!」なんて事を口走ったり、「ハンドボールをやってた」なんて人がいると、すぐに「あれキーパーやる人凄いよねえ!」と若干羨望の眼差しで話し込んだりしてしまう。

昨日、一昨日と代々木のプールに沢山の客が詰め掛けて、ハンドボールの再試合が行われてた。
ハンドボールの凄さがわかってるつもりの俺は、おそらく初めてハンドボールにスポットライトが当たった事を嬉しく感じた。
で、やっぱり“中東の笛”だ。
口先だけで腹黒いお偉いさん、そんな大人の好みに合わせて機嫌取るガキじゃないんだから、綺麗事を並べるつもりはないけど、まあ長々と露骨にやってたもんだ。
昔冬になると、「え~っ!?アウト~?!冬で寒くてコートが縮んじゃったのかなあ……」とギャグを飛ばす奴がいたけど、ルールを伸び縮みさせちまうんだから。

テニス界も昨年から“八百長疑惑”が渦巻く。
ブックメーカー、競馬、toto、そして握り。
スポーツに賭けは付き物だ。
そもそも“賭ける”ってのは、人間の闘争本能の一部なんだろう。
“タイトルを賭ける”、“男を賭ける”、“人生を賭ける”、“命を賭ける”、そして“金を賭ける”。
ガキだってくだらない言い争いの殺し文句で、「じゃあ賭けるか!?」って言う位だ。
でも“賭ける”奴の利権に合わせての戦いには、闘争本能はいらない。
やむを得ない理由で、思わず保身に走ってしまう防御本能が働くのかもしれないが。

俺は皆にカタルシスをもたらす位のダーティーな奴が好きだ。
STONESの「WINNING UGLY」も良く聴く。
それでもテニスの“八百長疑惑”は嫌だ。
認めたくない。
「世の中そんな綺麗じゃないってわかってんだろ?」
頭の中でそんな声がする。
いや、認めない。

2007.1.31
Nishi-kanda
カテゴリー:STONES
01/31 17:02
07

Scene 203 [Cheers!]

「良かったね、誕生日に寝込んでなくて」
「本当だよ。月曜は店開けられなかったけど」
「あっ、誕生日なんだ。One,Two,Threeでいい語呂だねえ」
「それにFourは抜けるけどFive,Sixだしな」
どうも誕生日とかに疎い。
なのに去年もその前も、1/23はここでチョコレートケーキのお裾分けに預かってる。
何だかなあ。
プレゼントになりそうな気の利いたものと鞄の中を探ったが、ガキに頼まれた「地球の鉱物」しかない。
「いいんだよ。体がここに来てるだけで十分」
残り少なくなってるローゼスをちょっとピッチを上げて呑み干して、プレゼント代りにボトル追加。
「じゃっ、改めてチアーズ!」
「おっ、サンキュー!あと3分今日だしな。チアーズ!」

朝は雪だった東京。
ここから赤道を越えた真下?のオーストラリアは真夏。
全豪は観戦に行きたくなる対戦、展開で、番組(ドロー)を組んだ奴はほくそえんでることだろう。
もしかしたら決勝でハンチュコバとシャラポアだもんなあ。
その前にハンチュコバとイバノビッチもいい。
ハードコートにアジャストし出したナダルも楽しみだ。
日本のマスコミはシャラポアが優勝しないとデカク扱わないだろうけど。

話は変わって、今年は “エクストリーム・ヒートポリシー”が効果を発揮してるのか、暑さが話題にならない。
センターコートの屋根を閉めたり、アウトコートは35度以上の時は試合開始しない、今年からは途中中断もありとは言いながら、暑さは年々厳しくなっているはず。
テニスフリークが一番温暖化を意識する大会として、もっとメッセージを発信してほしい気もする。
ついでに話は更に変わって、エナンを見ると谷亮子選手を思い出すのは俺だけ?
はいはい、とにかく今年は楽しくなりそうだ。

その今年、北京五輪と森田あゆみ選手への伝承をモチベーションにしていると言われる杉山愛選手を始め、日本テニス界は過渡期になるんだろうか。
未だに杉山選手と聞くと、頭の中でSIONの「がんばれがんばれ」が鳴り出して、昔ながらのモンペ姿で優しそうで品がいいお母さんの絵のジャケットが浮かんで来る。
いずれにせよ俺等がガタガタ言う資格はない。
でも森上選手、中村選手、森田選手、そして杉田選手、添田選手、錦織選手、一点突破でいいからブレイクしてほしい。

まっ、こんなこと真面目くさって言ってると、「言うのは簡単なんだよ!お前はジュニア育成の現場がわかってない!」って絡んで来る奴がいるからな。
ここまでにしておこう。

OK!最後にもう一杯だけ呑んで帰るか。
チアーズ!

2007.1.23
R&C
カテゴリー:SION
01/24 13:01
08

Scene 202 [霙]

成人式以来の高校の同窓会。
直接電話で誘われてたらしいが、丁度朝までになった晩で覚えてなく、前の晩「来るって言ったじゃん!」と責められ高円寺へ。
面倒くさいから遅れて行こうと考えてたら、トラブっちゃって本当に2時間遅れ。
(あいつが帰っちゃってて会えなかったら淋しいな……)と考えた自分が素直なのか。
同窓会故の若干の見栄っぱりテンションと、大人のソフトランディング的気配りと、相も変わらない馬鹿さ加減でほぐれきってる店に入って呑み出す。

「さっきまでM先生がいたんだけど、『ほらあのテニスが全国レベルだったあいつはまだか?!』とか言ってたぜ」
気分は悪くないけど今俺の横には、今年から某プロ野球チームの一軍バッテリーコーチになったダチがいる。
俺の昔話なんてしたら、ミック・ジャガーが♪Who wants yesterday's paper?♪って蔑みながら歌い出すぜ。
そいつは高校からドラフトで入ってすぐ一軍だったんだが、現役の間はずっと某キャッチャーの控え。
良くくさらずにいられたよな。
あの頃の暴れっぷりは影をひそめてたけど、より力強く誠実になった感じがした。
「応援してるよ」

席を変えいろんな奴と入れ替わり立ち替わり話す。
他の野球部OBと話をしたら、そいつの子供はジュニア育成で有名な某スクールの最年少者で、「お前から目をかける様に言っといてくれよ!」と冗談とも本気ともつかない言葉をかけられる。
高校時代は殆ど話もしなかった女の子と話したら、これまた子供がさっきとは又違う某有名ジュニア育成スクールに通ってて、コーディネーションから接し方まで真剣に尋ねられた。
わかったよ、感謝する、テニスに。

翌週ガキのトラブル発生。
たまたま休みを取ってた奴は、相手の親御さんと先生と3時間以上の話し合い。
俺は珍しく仕事で、しかも抜けれず。
急いで帰ろうとしたら<もう寝るよ>とメール。
こんな夜に皆が寝静まってる家に帰るには、スイッチの切り替えが必要だ。

マスターに来てなかった2、3日のことをぽろぽろっと話して、自分の気持ちを外に出して見た辺りで常連がどかどかっと入って来て席を譲って店を出た。
店に入る前のボタボタ落ちて来た雨は、帰りに区役所通りを渡ってコマの前を抜ける頃には霙になってた。
皆寒さで家路を急いだのか、終電はやけに空いてる。
霙は雪に変わって、皮ジャンが真っ白になる位吹き付けられて家に着き、寝ている奴を「雪だよ」とゆする。
いつもはすぐ反応するのが、寝息をたてたまま。

悪いな、いつも任せっきりで。
大好きだよ。

2007.1.16
Kabukicho1
カテゴリー:STONES
01/17 15:24
09

Scene 201 [Sad iPod]

[Another Side of Tennis]
坂東海

Scene 201
[Sad iPod]

iPodが壊れた……。
リセットで復活で何とか騙し騙し使ってたけど、この間見慣れないアイコンが出て来た。
気を失ったんだか、めげたんだかした顔のiPod。
どうやら【Sad iPod】って言うらしい。
確かに悲しい。
ちぇっ、数年前の誕生日プレゼントにAppleStore限定のレーザー刻印を入れてもらったやつなのに。
「じゃあiPod Touchですね!」
確かに、Touchは欲しいって言ったし、新しいnanoの薄さと液晶の綺麗さに驚いたけど、
そんな顔するなよ。

と言う訳で家人の初代iPod shuffleを借りた。
昨日までは甲斐バンド、シオン、DYLAN、STONESの全アルバム、その他諸々をぶち込んで持ち歩いていたのに、これはたった120曲しか入らない。
(どうしようかなあ)と思案しながら入れたのは、SIONの新しい順での120曲。
朝のラッシュが終りかけた急行に乗って、独りだけの秘密に時めく感じで鞄から出した。
そしたらこいつがいい!
まず小さくて軽い。
首からかけるのは今日のカッコには合わないから止めた。
今聴きたい気分で選んだ120曲が沁みる。
「全カタログを持ち歩ける」「その日の気分で選べる」「全然聴いていなかった曲がシャッフルで飛び出して来る」
それはそれで素晴らしいけど、これも何かいい。
“足るを知れ”ってやつか。
とは言えもうすぐ、観れなかった腹癒せの甲斐バンドの紙ジャケ再発17枚+新ベスト1枚の計18枚一気買い分が届くからな。
足りないものは足りん!

でも好きなアーティストのアルバムが出ると、女もテニスもほっぽらかして家に帰って、ステレオの前に座り込んで朝まで何回でも繰り返したこと、WalkManを手に入れたら入れたで、どこでも同じ様に繰り返し聴いていたこと。
あの感覚は今でも残ってる。
流石に家に飛んで帰っても、スピーカーの前に座り込んでもないけど、新譜が出ればバーのカウンターで毎晩聴いてるし、iPodはリピートかけて聴いてるよ。

そんな初期衝動で言うと、初めてテニスコーチとしてコートに立った時の事も覚えてる。
それまで選手としてしか立って来なかったコート。
違和感は感じたけど、自然とデカイ声が出て、選手の時と同じ様に一生懸命ボールを追って、子供達と笑い合って楽しかったな。
そう、テニスコーチってのは打ち合って、ボールメイキングして、あるいはスコアメイキングして選手を育てて行く。
俺等をガキの頃相手してくれた“白髪ジジイ”は今も現役コーチ。
今度飯でも奢ってもらいに行こう。

話は戻って又iPod。
Shuffleのキャパに合わせて、初めて落語を入れてみた。
まともに聴くのは小学校以来だ。
電車の中で笑いそうになってコートの襟を立てて表情隠して聴いてたけど、すんげえ表現力に舌をまく。
お題は「しじみ売り」に変わった。
改札を出て地上に出た辺りで最後の佳境に入った。
歩きながら泣いちゃったよ。
(参ったな……)と歩いてたら、最後のオチで笑わされて泣き笑い。
こりゃはまったな。

2007.1.9
Kyounancho2
カテゴリー:KAI
01/10 17:38
10

Scene 200 [Shout Out Loud]

そして又あっさりと年が明けた。

夜な夜な呑み歩くくせにお年取りだけは毎年自宅。
更に今年は、元旦に近所の神社に行く以外はどこにも行かないと決めてたんで、ウコンと胃薬で武装してエビス。

とは言え“泣く子と地頭には勝てぬ”で、せがまれて寒々しい元旦の公園でテニス。
ちょっとアドバイスするとすぐ上手くなる子供の可能性に驚き、嬉しくなりながらも焦りが突き上げる。

「子供のハンスが学ばなかったことを大人のハンスはとても覚えられない」ドイツ諺

スポーツ界では、人間の成長の中で一度だけ訪れる神経系の発達が著しい時期の5〜8才を【プレ・ゴールデンエイジ】と呼び、新しい動きを見ただけですぐに身に付けることが出来る9〜12才を【ゴールデンエイジ】と呼ぶ。
諺は、【プレ・ゴールデンエイジ】の時にあるスポーツの基礎技術を繰返し反復した子供が、その年齢としては上手になったものの、多種多様な動きをトレーニングして来た子供に、 次の【ゴールデンエイジ】の時にあっさり追い抜かれてしまうといった例え。
テニスなら12才迄に、出来る出来ないは別にして全ショットを体感する必要がある。

でもここでも“泣く子と地頭には勝てぬ”で、本人達がやる気がなければどうしようもない。
(こいつらがずっとテニスが好きでいる様に接して行かないとな……)
改めて“好きこそものの上手なれ”と実感する。
でも(時間がない!)と焦りつつも、他の事にかまけたりダラダラするんだよなあ。

「時間がない」と言えば年末にこんなことがあった。
ある席で[不都合な真実]の話になった時、女子大生数人は「読んでみたいんですよ」という反応を示し、社会人数人は「(本そのものを)知らなかった。読む気はない」という反応を示した。
このままだと間違いなく孫世代の時、地球はやばい。
いや子供世代か、いやいやもうそのやばさに直面してる国、人々がいる。
それでも拝金主義のエンジンは止まらない。
わかっていても止まらない。
呆れたことに、温暖化で解ける夏の北極海の氷の下の資源を沿岸各国が狙ってるらしい……。

女子大生と社会人の反応の差はたまたまかもしれない。
だけど世のビジネスマンは、「仕事だから」という殺し文句に本能や感性が犯られてないか?
そしてプロテニスコーチ諸氏、頭数を数えるのに夢中で、子供達の「今しかない」機会を奪っていないか?
一方通行の垂れ流しの情報を受け止めるだけじゃダメだぜ。
自分の足で歩いて探して、自分の目で見分けて、自分の耳で聞き分けて、自分の鼻で嗅ぎ分けて、口をデカク開けて叫んでみろよ。

2007.1.1
Tanashi3
カテゴリー:Tennis
01/03 16:47
«Prev | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | Next»

ケータイでもレックテニススクールへアクセス左のQRコードで携帯版サイトへアクセス!!