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another side of tennis

[Another Side of Tennis] 坂東海

新宿ゴールデン街バーの片隅のテニスと音楽の与太話です。
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01

Scene 221 [友を待つ]

障子を張替えた。
正確には今張替えてる合間。
何年張替えてなかったんだろう。
余裕が無くなったんだか、相変わらず風流だとか侘寂とは無縁だからか。
ガキの頃は毎年大掃除の時に張替えて、張替える前に障子にばすばす穴を開けるのが楽しみだったっけ。
障子越しの柔らかい光での昼寝を楽しみに張替えるか。

ニュースは侘寂とは程遠い世相を伝えて来る。
ガキには、今の効果音やテロップ、したり顔の解説者が煽るTVニュースは、バイオレンス映画を毎日見せている様なもんで、悪い刷り込みの典型らしい。
ニュースを見せるなら新聞でって事だ。
これは大人だって同じだろうな。
俺は新聞でさえ悲惨なニュースを目にすると、そこの記事が見えない様に新聞を折り畳みたくなる事がある。
世の中が良い方向に行ってるとは到底感じられない。
でも悪い事へのフォーカスの仕方、伝え方が重く澱んだ空気を作っている気がする。
いつの世にも人の不安を煽って儲ける奴がいる。

ストーンズの1981年のツアーで傾斜がついたステージをミックが
“Neighbours,neighbours,neighbours”
“隣人って奴は俺のテーブルまで持ち逃げする お前は大丈夫だろう でも隣人、見知らぬ他人にも仲がいい隣人にも自分の身になって接した方がいいぜ”
とシャウトしながらフロント迄飛び出して行くシーンを思い出す。
そして1983年の“TOO MUCH BLOOD”。
パリでの日本人が起こしたあの事件、テキサスでの事件をモチーフにしたダンスナンバー。
プロモVTRでのミックは狂ったパフォーマンスを繰り広げ、サビではこう歌う。
“踊りたいんだ 歌いたいんだ No.1になれるんなら何だってする 踊りたいんだ 歌いたいんだ 女と楽しめるなら 何もかも投げ出すぜ”
そして最後はこうだ。
“可愛いお前 絶望するのはまだ早い 愛はまだ残っているぜ 余りにも血の気が多過ぎるけどな”
あれから20年以上経ってもちっとも変っちゃいねえんだな。
俺達はエネルギッシュに飯喰って酒呑んで愛しい者を抱きしめて生きて行けばいいんだ。

ローランギャロスは今年もタフな雰囲気を醸し出している。。
森上亜希子選手の敗戦後のインタビューは読んでいて辛くなった。
オリンピックの枠に入れるかも心配だが、膝がもっと心配だ。
彼女のタフなプレーがオリンピックで観れます様に。

“a smile relieves a heart that grieves”Waiting on a friend/Rolling Stones
“笑顔は悲しみの心を救ってくれる”

2007.5.29
Kodaira
カテゴリー:Stones
05/29 17:49
02

Scene 220 [Pause & Period]

始まりは“伊達公子37歳での復帰”。
次が女子ゴルフの前世界ランキング1位、米ツアー歴代3位の通算72勝のアニカ・ソレンスタムの37歳での引退。
そしてその翌日、エナンが引退。
エナンは伊達選手と同じく25歳での引退。
共通項を見つけて喜ぶ訳じゃないが、ソレンスタム、エナンの伊達選手の去就との絡みに、(意識してもしなくても節目ってやつがあるんだな)と感じさせられた。

「演歌歌手じゃないんだから、10周年とか20周年とかで騒ぐのってカッコ悪いぜ!」
ちょっと斜に構えてた時期にそう嘯いた覚えがある。
でも今は誕生日や記念日を一緒に祝える家族や友人がいること、そしてそこで感謝の気持ちを持てることが素敵だと思える様になった。
今更遅いんだが。

そういう意味じゃ土産も同じかな。
昔は(何だよ、こんなもんいらねえや。この分で一杯奢れよ)だったのが、今は物自体はどうでも良くて、(ありがてえなあ、遠い所でも俺のことを気にかけてくれて)なんて感謝してる。
まあ「年取って涙もろくなっちゃって……」と変わらないか。
実際この間は福島晃子選手の涙にもらい泣きしたし……。

しかしこうやって思い出すと酷かったなあ。
親父が死んだ時は、斜に構え過ぎてそのまま一周廻っちゃう位の時期で、「葬式は湿っぽくしちゃいけないんだよ!」と仮通夜、通夜とガンガン酒を呑んで、祭壇の前で寝込んじまった。
周りはそれを見て「寂しいんだね」と言ってたらしいけど、そうだな、ガキのフェイクなんてすぐ見破られるもんだ。

グラミー賞でのミュージシャンのスピーチは昔も今も変わらない。
ウィンブルドンのウィナーズスピーチも変わらない。
SEX,DRUGS & R&Rのバンドマンも、COOL & DANDYなテニスプレーヤーも、家族とスタッフ、そしてファンへの感謝をまず口にする。
奴等のスピーチを聞く度に、(身近な人への感謝を表すことに照れてちゃ駄目だよなあ)と反省する。
周りを見ても“感謝”の意を明確にしてるのは、金のやり取りがあるところか、封建的な人間関係の下から上だけだもんな。

でも錦織圭選手しかり、宮里藍選手しかり、若手のトップアスリート達はその辺しっかりしている。
インタビューの受け答えの練習をしているとは言え、メッセージを発する機会の大切さ、自分の立場を理解し、周囲のサポートに感謝し、その上で自分の考えを的確に伝える姿は素晴らしい。
そうじゃなきゃもはや王道は歩いて行けないんだろう。

さて今夜は見え見えでも、ちっぽけな安いブーケでも買って帰るか。
その前に照れない様に一杯だけ呑んで……。

2007.5.20
Kyobashi
カテゴリー:Tennis
05/22 15:58
03

Scene 219 [My Back Pages]

“後期高齢者医療制度”
正直最初は「後期」というのは年齢区分ではなく、他のシステム的ニュアンスの表現と思っていた。
実際は「75歳以上の高齢者」だった訳だが、そりゃあ区切られた方は気分悪い。
慌てて“長寿医療制度”なんて言い換えてももう遅い。
75歳以上の人を高齢者の後半と名付けた奴等が、今更何を言うだ。

表向きの言葉にだまされる奴はいつの時代も多いが、それでも人はふと見せる一瞬の本音を見逃さない。
「私達は高齢者の方達を応援します!」みたいなキャッチコピーを出してる企業のお偉いさんが、ビジネス誌で「これからは高齢者をターゲットにしたものがビジネスチャンス」なんて自慢げにコメントしているのを良く見る。
携帯電話メーカーの役員が「携帯電話が大人と若者に行き渡り、今後は子供とお年寄りがターゲット」と言ってる記事を読んだこともある。
そういうのを二枚舌って言うんだよ。
って言うか、その程度のパブリックイメージのコントロールも出来なくて大丈夫か-!

誰だって金が必要な事はわかってる。
自分の今の仕事を生業を言い切れる奴なんてほんの一握りで、殆どの奴等が喰う為、生きる為に働いてる。
「金じゃない」って言う奴は、「金の多い少ないじゃなくて自分の価値観が大切」って言っているんだと、よっぽどの揚げ足取りじゃない限りわかる。
自分の仕事に対して正当な対価が欲しい、出来れば沢山欲しい、でも誰かを欺いたり、金を得ることだけの為に仕事するのは嫌だと感じるのが大人だ。
生業だろうが、そうじゃなかろうが「いつか」という熱い想いだけは持っていたい。

話を最初に戻すと、テニススクールでは以前から「シルバークラス」なんて表現をみかけた。
でも「高齢者として括られてる感じは不快」という声が多く、各スクールはネーミングに苦慮したみたいだ。
NHKの「ゆうゆうテニス」以降は、そのイメージが定着した感がある。
先日電車広告では「マスタークラス」と呼んでいるのを見かけた。
“生涯スポーツ”と言われるテニス。
団塊の世代云々での“ビジネス・チャンス”に、テニス関係者は誠実に対応しているはずだ。

「アニカ・ソレンスタムが引退ですよ」「えっマジ-!」なんて話をした翌朝、今朝の朝刊。
一面のトッピック欄にエナンの写真。
(うん?どこかで優勝したのか?)と見たら、「エナンが引退表明」。
ページを捲りながら、頭の中には同じベルギーの同世代、クレイステルスが浮かぶ。
「現役を続けるモチベーションがなくなった」と発表をもっての引退で、間近に迫ったフレンチもウィンブルドンも出ないらしい。
「フレンチに勝つ事が最大の喜び」と言っていたエナン。
それがこのタイミングで引退。
(そうなんだ……)と認める。
記事には「現役世界ランク1位の引退は初めて」とあったが、それは他人が「もったいない」とか言う筋合いじゃあない。
「悲しいよりホッとしてる」「自分が創設したテニスアカデミーに力を注ぐ」と記事は締めくくられていた。
彼女にとって生涯賞金20億とかは関係なく、テニスは生業だ。

気付けばエナンの記事の下には、「世界トップ10に入れる逸材」という見出し。
エナンに負けない位の大きな囲み記事で「テニス 錦織のコーチ」のインタビュー記事。
iTunesは“Ah,but I was so much older then,I’m younger than that now.”とジョージ・ハリスン、クラプトン、ニール・ヤング、そしてディランが唄うMy Back Pagesを流してる。

「あの頃の僕は老けていて、今の方がずっと若いのさ」BOB DYLAN

2007.5.15
Hoya-Shinmachi
カテゴリー:Dylan
05/15 10:25
04

Scene 218 [バランスボール]

eMacが流行ってた頃銀座のApple Storeに寄ってぶらついてたら、Kidsフロアで沢山並んでるeMacの前に子供達が座ってお絵描きソフトとかで遊んでた。
その子達が腰掛けているのは椅子じゃなくてバランスボール。
(そう言えばバランスボールに座って勉強させると、姿勢が良くなり集中していいって読んだ事が会ったなあ)と改めて見ると、皆姿勢良くマウスを操ってる。
(成る程ねえ)と納得しつつAppleのセンスに感心。

それから数年、やむを得ず自宅をリフォームせざるを得なくなった時のこと。
「バリアフリー」「バリアフリー」と連呼され出した頃か。
工事してくれた友人の建築屋の言葉。
「躓くからって完全にバリアフリーにすると、お袋さん老けて反対に良くないよ。敷居の高さとかは残しておきな。やれって言われればその方がウチは儲かるからやってやるけどさ、勧めないね」

ガキでも大人でも同じってことだ。
真っ直ぐで平らな道なんて逆にバランンス感覚がおかしくなっちまう。
金太郎飴みたいな人生もまっぴら御免だ。
八方塞がり、四面楚歌、袋の鼠じゃあ困るけど。

「誰とでも仲良くしろって言ってるんですけど……」「そりゃあ無理だよ。どうしても好きになれない相手とか苦手なタイプって大人だっているでしょ?嫌いな相手にはなるべく会わない様にして接触を避けるもんでしょ?子供だけ皆と仲良くしろなんて虫が良すぎるね。まして大人は表向きはいい顔出来るけど子供は正直なんだから」
ジュニアレッスンの参考にとカウンセラーに相談しに行った時にのアドバイス内容。

「このクラスは小4とは思えない位冷たい雰囲気」
これは知合いのガキの新しい担任の先生の言葉。
「○○君は××だから関わらないで放っておきなさい」「○○君は××が出来ないから△△さんが□□してあげなさい」と前担任が一年間言い続けた結果、トラブルには関わらず、他人にレッテルを貼るクラスになったらしい。
新担任が「まだ間に合う。とてもいい子供達だ。任せてほしい」と明言しているのが、今時奇跡に感じる。
自分の思い通りになる手がかからない子供が「いい子」という様な指導者自身の都合を体現してしまっている教師、コーチは早くコートから去った方がいい。


こんなに不確定で不安定な世情で、動く歩道に置いた椅子に座って進んで行くみたいに、何もなく前に行けるはずがない、
いや、天下太平の世の中でもそれは無理だ。
それなのに帳尻合わせの様に上手く立ち廻ろうとしたり、挙句の果ては被害者意識で恨み辛みで自分を正当化しようとしたり……それが今の処世術なのか。

窓の外、子供達が一輪車で遊んでる。
子供だからバランスがいいのか、それともその子だからバランスがいいのかわからない。
いずれにしても大人とは比べ物にならない位バランスはいいんだろう。

バランスボールから転げ落ちても、敷居に蹴躓いても、一輪車には乗れなくてもフラットな心で前を向かないとな。
“大人だろ 勇気を出せよ”Kiyoshiro

2007.5.7
Old Gold
カテゴリー:word
05/08 15:39
05

Scene 217 [光あるうちに行け]

「新聞記事の中でスポーツ選手だけは“呼び捨て”」という記事を読んだことがある。
(確かにその通りだよ)と目から鱗気分。
その記事は確か昔のオリンピックでのアナウンサーの絶叫を引き合いに出していた。
今もある「頑張れ!○○!頑張れ!○○!」って感じのやつだ。
勿論卑下しての“呼び捨て”じゃあない。
自分の身内の様に心の底から応援するが故の“呼び捨て”。
プロスポーツ選手への憧れは、他の職種とは比べ物にならない位の親近感を伴っている。

4/6、「伊達公子さん現役復帰」といった内容の記事が新聞各紙を賑わせた。
驚きつつも、(ああ、やっぱ“伊達公子さん”なんだなあ)と感じた。
そして復帰第一戦後の記事は“伊達公子さん”は姿を消して、「伊達勝利」といった感じで“伊達公子”一色。
ただ読売新聞はスポーツ面では全く取り上げず、三面記事でだった。
ローカル大会ということもあるけど、まだ本気の“呼び捨て”じゃないんだな。

その現役復帰第一戦の日はフェドカップの二日目。
残念ながら日本はモーレスモ擁するフランスに敗退。
夕方俺が見たスポーツニュースは、聖火、伊達選手の順に報道し、フェドカップには全く触れなかった。
伊達選手にスポットが当たって、フェドカップが取り上げられなかったことは良かったとは到底言えない。
更に翌日の錦織選手のバミューダ・オープン優勝による世界ランキング99位躍進もあって、今回のフェドカップは完全にかすんでしまった。
自分達が愛するスポーツの国別対抗戦がフォーカスされないのは淋しい。

伊達選手が復帰会見で、日本テニス界の今後を憂いたかなりシビアなコメントをしていたことをテニス誌の報道で知った。
彼女は、当初「ダブルスのみエントリー」としていたのは、試合勘を取り戻す為だけでなく「会場のサーフェスである砂入り人工芝が自分がシングルスを戦うのに不適」と判断してからと説明し、更に「砂入り人工芝の存在が日本選手が世界で活躍出来ない理由の一つ」と言い切っていた。
記事は「砂入り人工芝で獲ったポイントをでアメリカのハードコートに行っても役に立たない」という森上亜希子選手の言葉も添えている。
俺の悪友であるトップジュニア育成スクールの社長は、借り上げている施設の砂入り人工芝を自腹で剥がしてデコターフに変えようと、頭をかきむしりながら算盤をはじいてはため息をついてる。
でもナショナルトレーニングセンターでさえ、「近隣住民の為に」と砂入り人工芝が数面採用されそうになっていたという事実から、普及型スクールでは何をかや言わんだろう。
砂入り人工芝は日本でしか普及してないサーフェスなんだが……。

でもね、そんなことを言いながらも、やっぱり明日に期待出来る、悲壮ではなく明るい気分で応援したくなる今の感じはいい。
フレンチ、ウィンブルドンと続く、いつも通りのレッド&グリーンの華やかさに加え、今年は全米の前に五輪がある。
政治的なことは於いて置いて、やはり多くのスポーツの各国代表が競い、
世界中の目が集まる場所での、テニス選手の日本代表としての活躍を期待してしまう。
五輪のメダル数で各スポーツ団体への金の割り振りが決まるらしいし。

最近普及型スクールのコーチ数人と話をしていて気付いたことがある。
明らかに以前より頭数の話でなく、レッスン、特にジュニアの話をして来る。
前はコーディネーションの話に追いついて来るのがやっとだったのが、かなり長いスパンでジュニアレッスンを語ってる。
いいじゃん、いい感じじゃん。
普及型スクール故の悩みもあるみたいだけど、大丈夫だよ、あんたが親身になって
レッスンしているジュニアも着々とピラミッドの頂点に向かって進んでいるって。
どこまで上れるかは話が別なのは、ガキじゃないんだからわかってるよな。
でもとにかくファーストスクールのコーチとしてあんたは間違っていない。
どんなに迷っても、どんなに怯えても、振り返れば道は一つしかない。
行こうぜ!

2007.4.30
Shin-Misakibashi
カテゴリー:Tennis
05/01 14:59
06

Scene 216 [結び目]

「へえ〜野球も出来たんだ!」
「俺等の年代なら当たり前でしょ!」
少年野球のコーチをしているところに、知り合いのガキとお母さんが見学に来た時の会話。
当たり前の様に放課後は手打ち野球や三角ベースやってたもんなあ。
テニスやってた時も、朝練に早弁しての昼練、放課後の練習に日曜の練習。
ROCKを聴き出せばギター買ってダチとスタジオに入り浸って、煙草くわえて酒呑んで。
好きなものってのはそんなもんだ。

“救われたのさ キミからのメッセージで 見上げれば いつしか空は 燃え上がる様な 夕焼け”
満員の下北沢CLUB QUEでボーカルがこう唄い出すと、俺とボーカルの間にいた男の眼から泪がこぼれ始めた。
顔をゆがめ泪を拭いながら、拳をあげながら唄ってる。
天を指す人差し指がピンと伸びずちょっと折れているところに、彼の気持ちが見える。
本編ラストに向っているのか泪ぐむ奴が増えてる。
“心にひとつ結び目がある ゆるんでもほどけない 悲しみの時も 苦しみの時もほどけない結び目がある ひとつだけ”
目の前の女の子が堪え切れず嗚咽してる。
“握り締めてる手からのぞいたり 開いた手のひら隠れたり 運命が笑う 左を選んだその瞬間に 右をあきらめた瞬間に この胸に刻む 自由という「孤独」”

ステージがはねて楽屋にメンバーをたずねる。
「良かったよ」
「Thank You!呑んで行くんでしょ?」
ドラマーが缶ビールをよこす。
ふと、吉祥寺でのワンマンの楽屋を訪ねた時にメンバーがまだ小さかったガキを見て、「ちいせえなあ!お前等もずっとRock’n Rollしろよ!」と言いながら、煙草を消してくれてたことが頭に甦る。
打上げの席でボーカルに泣いてた奴等の話をする。
「幸せだよねえ。本当に。こうやってお前とか友達も来てくれてさ」
ギターの女の子が今夜で抜けて、奴等プロペラはしばらく活動停止する。
デビューはDocomoとタイアップ。
ON AIRでのワンマンの時は会場での打上げから、次の打上げ会場に向う俺等のことを“追っかけ”が正しく追っかけて来た。
それから大ブレークはなかったが、11年間走り続けて来た。
「これからどうするの?」だとか、「代りに誰かいれて続ければいいじゃん!」なんて安易な言葉はかけれない。

終電の時間が近付いてメンバーに挨拶して会場を後にした。
奴等がずっとロックし続けていることへのシンパシーが、俺の中のイノセントな部分を保つ力になっている。
それはずっと「世界に通じる選手を!」とジュニア育成に励んでるダチ達へのシンパシーと同じだ。
“唄う”ことよりも“唄い続ける”こと、“戦う”ことよりも“戦い続ける”こと、“走る”ことよりも“走り続ける”ことを体現出来る奴はそういない。
そして信じられる。
数字や金じゃ表せないものがある。
世の中にはエクセルやワード、コンピュータに取り込めないものがあるんだ。

そう言えば昔から好きだったシンガーもプロペラを観に来てて、打上げの席で挨拶した。
「“流れ”大好きですよ」と言った俺に彼は、「ありがとうございます。お名前は?」と、かぶっていた帽子を取って丁寧に挨拶してくれた。
温かかったな。
ただ彼にメンバーにも渡した沖縄ウコンを「これ飲むと宿酔いになりませんから」と進呈したら、それで火がついて朝までになって酷い宿酔いになっちまったらしい。
へへへ、今度会ったら謝って(茶化して?)おくかな。

次の日の晩、メールが入った。
<せんきゅ〜 これからもヨロシク!体に気を付けてなぁ>
Thanks!お前もな!

しゃがみこんだままでいれば2度ともう転ぶことも無いけど ah ah 止めたペンをもう1度ほんの少し動かせばピリオドもコンマになる

propeller
YUTARO HABARA:Vocal,Harp
TOKO CHEE:Guitars,Vocal & Backing Vo
HIROAKI TANIZAKI:Bass,Backing Vo
YO-HEY HORINOUCHI:Drums,Percussion,Backing Vo

2007.4.21
Kitazawa2
カテゴリー:Music
04/24 21:19
07

Scene 215 [はやく慣れることさ]

「すぐ慣れるから大丈夫!」
良く聞くし、口にする言葉だ。
言う側には便利で、言われた側も何となくその気になる。

「う〜ん、これは慣れてもらうしかないねえ」
レッスン内容のミーティングの席上で、なかなかいい案が出なかった時のこと。
「私が以前教育関係の仕事を手伝っていた時は、子供達に勉強でも生活面でも『慣れろ』というのは禁句で、それを口にするのは教育者の職務放棄と言われてましたよ」
場が一瞬シーンとして、ピリッとした空気になった。
テニスが好きで、子供達の指導に情熱を燃やしてる者同士の集まりでさえこうだ。
自分達が出来て当たり前の事をついつい軽く考えてしまう。
“慣れ”は“鈍さ”に直結するってのもわかってるくせに。
それからそのスクールのコーチは、プレーヤーを「すぐ慣れますよ」と励ますのでなく、具体的な方法を提示することに腐心する様になった。

コナーズの両手打ち、ボルグのトップスピン、マッケンローのサーブ、最近ではナダルのコートカバーと、皆“異様”だ。
慣例に“慣れた”末のプレーじゃない。
「こうあるべき」という考えから抜けられないイメージが貧困なコーチ、自分が体験して来た中からしか指導出来ないコーチには手に負えない暴れ馬。
マッケンローじゃないが、態度が悪ければ“テニス界の異端児”とでも呼ばれるんだろう。

テニス誌で「日本人プレーヤーはディサプラン(精神修養)が強すぎるため、自分に合わない、嫌なことでも、受け入れようとして、ストレスをためてしまいやすく、またリスペクト(相手を敬う)する気持ちが強すぎるため、コーチの言うことに服従したり、強いプレーヤーに対して絶対に自分の方が優れていると思えないのです」という記事を読んだ。
「日本人プレーヤー」を「日本のサラリーマン」に置き換えて、「コーチ」を「上司」に、「プレーヤー」を「同僚」とか「取引先」にしてビジネス誌に載せたら、何の違和感もない。
自分の周りだけは、アイデアと愉快なハプニングが満ち溢れてるいる様にしたいもんだが、それすらも誰かが見栄から始まる知ったかぶりと背伸び、保身に走るセコさが生む被害者意識に邪魔をされたりして、上手く行かないんだよなあ。

でもこの記事はこう続いて、何だか救われる。
「このディサプラン、リスペクトが強すぎるプレーヤーはグレートプレーヤーにはなりにくいものです。なければもちろん上にはいけませんが、錦織君はそのバランスがよかったのです」
せめて、「年上だから」「上役だから」「教師だから」「コーチだから」という傲りで、誰かの可能性ってやつを潰さない様にしたいもんだ。
「そんなのわからないの?」と言った後すぐには訂正出来なくても、後でフォロー出来る優しさ位は持ちたい。

疲れた足をひきづってまだ慣れない街を歩く なにをそんなに急いでいるのか だれもかれもが足早に通り過ぎる 息もできない電車の中で 眼のやり場がないから眼を閉じた むかいのオヤジは俺の足をふんづけたのにあやまりもしない はやく慣れることさ どうでもいいことだぜ はやく慣れることさ 誰かが言った “はやく慣れることさ/SION”

SIONはライヴでこの歌を唄う時、いつも最後に歌詞カードにはない言葉を唄う。
“はやく慣れることさ どうでもいいことだぜ はやく慣れることさ 誰かが言った 無理だぜ”
そう、無理だよな。

2007.4.17
Todainojo

※文中のテニス誌コメントは「スマッシュ2008年5月号」より引用
カテゴリー:SION
04/17 20:10
08

Scene 214 [たどり着いたらいつも雨降り]

入学式が終るのを待ちかねたかの様に雨が降り出した。
どこかで遊んでて“Rain Dogs”になった長男を着替えさて、皆で写真館へ。
まずは娘がランドセルを背負ってポーズ。
そして(こういうの似合わねえんだよなあ……)と感じつつも、家族4人でポーズ。
いくつになってもシャッターが切られると、(目瞑っちゃったかな?)とちょっと不安になる。

気のいい主人がやってる釜飯屋でお祝い。
とは言え、車で酒は呑めないから、あまりテンションは上がらない。
こりゃあ晩飯の時に、GANCIA Asti Spumanteで乾杯&ガブ呑みだな。
しかし、ここの釜飯は美味い。
お焦げのお茶漬けは本当幸せ……呑んだ後にこれ喰ったら……。

そのままテニススクールに向う。
「今は雨止んでるけどテニスあるの?」
「そんなの時間になんないとわかんないよ」
「何それ?元あそこのテニスコーチでしょ?」

そう、長男と長女を昔バイトしていたテニススクールに入会させた。
この間久し振りにあった友人が、「子供が中1になってやっと、テニスがしたいって言い出したよ。こればっかりは本人次第だからねえ。親が無理矢理やらせようとしてテニス嫌いになっちゃうとね」と言っていたが、ウチも正しくそう。
正月位だったか、二人して「テニスやりたい!」と言い出した。

「雨降って来て皆がテニスやらなくても、私は絶対テニスする!」
娘が張り切って言った時、フロントガラスに雨滴がポツリ。
「中止なら戻って机買いに行ってあげようよ」
「いや、でもさあこの位なら出来ると思うんだよなあ」
「行ってから中止になるとかなり時間の無駄だよ。二人で休みの日なんてなかなかないんだから、今日いろいろ準備したいんだよね」

パワーウィンドウを開けて手を出して見る。
バイトしてた時は、良くこうやって空を見上げてたな。
でも今日はすぐに手を引っ込めた。
当たり前だけどテニスウェアを着て空を見上げているコーチ達なら濡れてるとも感じない程度の雨だけど、スーツを着ているとやっぱり気になる。
歩道を歩く人達は女性から傘を開いて行く。

電話をしてた家人が電話を切り、「今のレッスンは中止になったけど、次はやる予定だって」と不服そうに言う。
「そりゃあそうだよ。コーチ達は少しでもレッスンしたいんだから」
子供達は「Yeah!やったあ!行く!行く!テニス行く!」と大騒ぎ。
「この間も雨だし、これで今日も降って来たら……。来週も雨予報だし、振替入れるのすんごい大変!パズル状態!」

結局30分で雨中止。
四国で幼い錦織選手をたまにみてたというヘッドコーチと世間話をして帰宅。
中止になった時は、「私だけでもやる!」と息巻いていた娘も、息子と二人で「30分だけでも出来て良かった!楽しかった!」と笑ってる。
「そうだよな、2週空いてたから、コートで球に触れられただけで良かったよな」
家人も「まあタダで30分テニス教えてもらったんだからね、まっいっか!ウルソンでまあるいケーキ買って帰る?」

おっ、いい感じじゃん。
GANCIA Asti Spumanteでケーキだぜ。
そうそう今日はあのイカしたシンガーにも乾杯しないとな。

2007.4.7
Sakai2
カテゴリー:KAI
04/10 13:05
09

Scene 213 [フューチャーズ]

隅田川の畔のスポーツセンター。
すぐ側には明治座。
そして真ん前の公園では、週末にジャスト満開の花見。
花見と言っても俺が着いたのは朝9時半だから、お茶で花見してる人と、控え目に呑み出してる人、そして無人のブルーシートって感じ。
まあどっちにしても、地元の人しか来ないであろうこの公園でこのロケーションは羨ましい。
気を取り直して自販機でミネラルウオーターを買って会場に入る。

第1回全国マナーキッズフォーラム2008。
子供達への真っ直ぐな気持ちを感じさせられた。
スタッフに約25年振りに顔を合わせた奴がいたのもあって、ちょっと肩入れしたくもなる。
そのスタッフは例によって、1/4世紀会っていなかったのに然程懐かしくないんだが、奴の体型はそれなりだったりする。
メールだけじゃ、そりゃあわからないよなあ。
フォーラム後帰ろうとしたら知り合いに捕まって、施設内のレストランで侃々諤々。
場にそぐわないアルコール量と会話量でお腹一杯になった。

翌朝、前日に続いて早稲田絡みで早稲田フューチャーズ観戦で東伏見へ。
普通なら車か電車で行く距離だろうけど、青梅街道をのんびりと自転車で進む。
長くなる予感がして、何か買っておこうとコートを通り過ぎて駅前に行ったら、可愛くラッピングされた鉢植えを持ったテニス部の女の子二人が猫をあやしてる。
ミルクティとジャガビーを買って会場に入ったら、入場無料なのにバナナ一房付き。
(少しでも大会を盛り上げようとスポンサーを見つけて来たんだろうな)と感じて、手作り感一杯の場の雰囲気に温かくなった。

今日は本村選手と安選手での決勝。
「先日の全日本学生室内覇者」と紹介された二人をエスコートする女性部員は、さっき猫をあやしていたうちの一人だった。
おまけにコートサイドには彼女達が持っていた花が飾られている。
本村選手は余り好きじゃあなかったけど、この部活感満タンのコートで彼のプレーを観ているとグッと来た。
デュースコートでのレシーブで、フォアをスライスでストレートに持って行ってセンターにポジショニングする辺りは、部活テニス出身者としてはシンパシーを感じざるを得ない。
対戦相手の安選手のプレーと茶っ目っけは更にいい。
正直安選手を応援したくなったが、このフューチャーズが日本男子選手の世界へのとっかかりとして開催されていることを思い出し、その気持ちを打ち消して本村選手を応援。
結果的に本村選手が優勝したが、安選手はあそこに居合わせた観客に、大袈裟に言えば国境を越えたテニスの楽しさを感じさせていた。

表彰式が終る頃、これ又約20年振り位の知り合いがコート内にいるのを発見。
挨拶をしにコートに入ったら、今は選手についてのトレーナーとカメラマンの仕事をしていると言う。
本村選手が彼のお子さん二人と記念撮影しているのを観ながら、「安選手はいいですね」「ええ、人気ありますよ」なんて話をしていたら、安選手が目の前を通って退場。
思わず右手を差し出し握手。
才能がある故に物怖じせず、勝負に固執しないあっけらかんとした感じが伝わって来た。

知り合いと大学テニス部の会長に挨拶して又自転車をこいで帰宅。
ボールボーイを大学生だけでなく、小中高の子供達が任されていたこと。
選手入場の時に選手のバッグを小学生が持って一緒に入場して来たこと。
照れと責任感一杯の笑顔で重そうに運んでいた彼女達に、安選手も笑顔で手を差し伸べていたシーンを思い出した。

いい感じだったな。
やっぱり、Fight The Future!
そしてSupport Our Tennis Kids!

2007.3.29
Higashihushimi
カテゴリー:Tennis
04/03 11:39
10

Scene 212 [巨人と赤い靴下]

物凄いフラッシュだ。
まるでストロボを仕込んだかの様な光り方。
ピッチャーは相変わらずボールが手から離れる時は、とんでもない方を向いてる。

ドームでは初めてのバルコニー席。
専用入口から女性スタッフが席迄案内してくれる。
ゆったり広いランジじゃ、ドームホテルのコックが料理を用意している。
座ってみて、一塁側はボックスシートになっていて、三塁側は仕切りのないバルコニー席になっているのに気付いた。
(ふ-ん、小学生の頃後楽園球場のボックスシートに良く招待されたけど、何か薄暗くて大していい席とは感じなかったっけ)と考えつつ、目でビールの売り子さんを探したけどいない。
そりゃそうだ、前から五列しかなくて後ろにはラウンジがあって、ビールは真鍮の?サーバーから注いで売ってる席で、「ビールいかがですか?」はないよな。
とは言え、やっぱり残念。
「何でそんな呑むんですか?」「そりゃあ可愛いあの子の背負ってるタンクを軽くしてあげる為だよ」というお決まりのやり取りをしたかったのに。

ゴルフ界の先頭集団に入り損ねた愛すべき野郎が言う。
「ドームはプレーしやすいんですよ」「何?やったことあるの?」「ええ、ボーイズリーグの時に。松坂と同期だったんで札幌の遠征とか一緒でしたよ」「へえ凄いね」「いや、でも神様って不公平だと思いましたよ。本当あの頃から全然レベル違いましたからね」
ガキの頃からのスポーツエリートの話は面白い。
ゴルフの世界で賞金だけで喰って行けるのは、日本ではトップ50迄とのこと。
テニスはもっと厳しいか……。
ちなみに世界を廻る為の金は年間約一千万、コーチが帯同すれば約二千万と、ゴルフもテニスも変らない。

物凄いフラッシュは岡島選手がマウンドに上がった時。
日本にいる時は彼の名がアナウンスされると、(あ-あ、又フォアボールの連続かよ……)と嘆いていたけど今日はワクワクして観てるし、同じ日本人同士として応援してる。
俺含め観客ってのは、彼等の足元にも及ばないくせにあげ足とったり好き勝手に悪口言っときながら、マスコミが祭り上げた勝ち馬には群がって乗りたがって、無神経なもんだ。
先日キース・リチャーズがヴィトンのモデルになった。
それを揶揄した記事に対してキースは、「「女性はこういうことを言わないよな。でも、男のジャーナリストはいつもくだらないことを書きたてる」「いちいちこんなのにムカついていたら、この世のジャーナリストは死人ばかりになっているな。そして俺は監獄行きだぜ」って言ったらしい。
全くもってその通りだ。
キースがヴィトンのモデルを引き受けたのは、「『もしヴィトンのロゴが入ったギターケースを作ってくれるなら引き受けるぜ』って言ったんだ」「そしたら作ってくれた。本当に誇らしいぜ。おそらくあのギターケースと一緒に旅することはないだろうな。だってそりゃ美しすぎるんだ」という経緯で。
キースらしいや。

おおらかに、ゆったりとする気持ちと時間を少しでも持たないとだ。
スポーツ観戦が勝ち負けを見届ける為だけではない様に、スポーツをする目的がフィットネス的意味合いだけでない様に、“何か”を感じられる、受け止められる男でありたい。
とりあえず今日は、六月に出るエーモス・リーのアルバムを楽しみに肩の力を抜いてみよう。

2007.3.22
Kouraku1

※文中のキースのコメントはMTV JAPANニュースから引用。
カテゴリー:word
03/27 14:56
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