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another side of tennis

[Another Side of Tennis] 坂東海 カテゴリー:Tennis

新宿ゴールデン街バーの片隅のテニスと音楽の与太話です。
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01

Scene 299 [Coming Soon!!]

もう10年以上前の話。
沢山の方がレッスンに通ってくれていて、節目節目のイベントレッスンもキャンセル待ちが当たり前で沢山の方が参加してくれていた。
1997年の暮れだったかな。
年末年始のイベントレッスンをどうしようかというミーティング。
それまで年末年始は大晦日と元旦は貸しコートのみでイベントレッスンはなかった。
僕の口から出た言葉は「大晦日にイベントレッスンやりましょう!」
マネージャーは「それ待っていたんです!」とニヤリ。
しばらくしたら電話がガンガン鳴った。
「マジですか〜!大晦日と元旦位は休みたかった……」
一番サボリ癖がある奴が始めてしまったからか、他校も幾つか追随したらしい。
翌年、全校が大晦日にイベントレッスン実施となっていた。
僕達は更に元旦もイベントレッスンを実施した。
「追加公演!Coming Soon!!」
サボリ癖はあるが、誰もやってない事をやるのは好きなんだな。
当然その翌年の年末年始は全校が全日イベントレッスンを実施した。

始めて元旦にレッスンした日。
一緒にFightしてくれたコーチ達と「せっかくだから乾杯くらいはしよう」とビールが呑める店を探して武蔵小杉の街を歩いた。
まだ正月営業している店なんて殆どない時代。
おまけに夕方に届かない中途半端な時間。
駅前の喫茶店での乾杯と、その後の元旦らしくないシビアな仕事トーク。
忘れられない。
ありがとう。
楽しかったよ。

「あそこから手振ってくんねえかなあ。お前メールしてみろよ!」
「わかりました!」
「ちょっと待って下さ〜い。窓越しに顔出せるかメールしてみます!」
「電話してみればいいじゃん!」
今年のスタッフ初詣の帰り。
北参道から西新宿の行きつけの寿司屋へ歩いて向かう途中。
大の大人が10人。
ビルの8階を見上げている。
「あっ!いたいた!おおっ!手振ってるよ!」
手を振り返す奴、拳を突き上げる奴。
8階から手を振ってる奴が膝から崩れ落ちたのがわかる。
「あ〜あ、しようがねえなあ。泣いちゃったよ」
そう言ってる僕達の目にも涙が滲んでいるんだが。
高層ビルの街での、ちょっとしたセンチメンタルなドラマってやつ。

年末年始。
「Coming Soon!!」が良く似合う。
いきなりでもちょっとづつでもいい。
次の楽しいハプニングはいつだ?!
カテゴリー:Tennis
01/10 10:06
02

Scene 296 [パブリックイメージ]

家から歩いてちょっとのスポーツセンター。
ひび割れたハードコートとゴルフの打ちっ放しにバッティングセンター。
一年に数回打ちっ放しに行く位で、今日がその数回のうちの1回。
期待せずに打ち始めたら結構調子いい。
(トップの位置をもう少し高くしたらいいかな?)なんて思いついて、やって見たら何かいい感じ。
そこへ向こうから歩いて来る女性と目が合った。
一昨年の暮れにここで会って以来で、最近のスコアと世間話。
「テニスあれだけ出来るんだから大丈夫でしょう?!」
そう、この方は学生時代にアルバイトコーチをしていた時のお客さん。
話の合間に何気なく一球打ったら、
「あ〜スライスねえ。しちゃうのよね。テニスもスライス上手かったもんね」
はい、お後がよろしいようで……。

先週のニュースの中に「テニスインストラクターを酒気帯び容疑で逮捕」ってのがあった。
この事件の詳細とこのコーチの事は置いて於いて、マスコミにとってテニスコーチってのはどういうカテゴリに入るんだろう?
「テニスコーチともあろう者がこんな事をして」なのか、それとも「やっぱりテニスコーチはこんな事をしでかす」なのか。
いずれにせよ見出しに職種が出るんだから、社会の中での自分達の立ち位置はわかる。

打ちっ放しの後、何だかんだで動き回っていたら夜8時。
近所の餃子の美味い店に家族と入って生ビール。
後ろのテーブルでは50〜60才のグループが紹興酒の燗で盛り上がっている。
初めてオーダーしてみた「辛しめん」が大ヒット。
調子に乗って生ビールをもう一杯行こうとしたら、後ろのテーブルから「オープンスタンスが〜」という声。
(うん?)と聞き耳をたてるとやっぱり皆テニス仲間っぽい。
(公園のコートでプレーした帰りだな)と納得してたら、「◯◯コーチがね、〜で」とコーチの話が始まった。
良く考えたらここはさっきのスポーツセンターの側。
幸い名前を出されていたコーチの評判は悪くなかった。

帰宅後予想外の雨が降って来た。
(明日の朝イチのコート大丈夫かな)と心配になるのと同時に、指がiPhoneのタッチパネルを滑り出し明日の出席人数をチェック。
チェックと同時にレッスンプランが膨らみ出す。
明日は早く行って吸水ローラーとスポンジをフル稼働しなきゃだから寝るか。
カテゴリー:Tennis
11/25 23:47
03

Scene 295 [俺の声]

今年の東レPPO。
スキアボーネとの準決勝。
デメンティエワのパフォーマンスは素晴らしかった。
突如の引退。
スキアボーネに勝利した後にサインをもらった娘は心底驚いていた。

ジャパン・オープン準決勝。
ナダルとトロイツキの闘いも素晴らしかった。
「本当はナダル負けてたよね?!」なんて声も聞こえる。
トロイツキはその数週間後にツアー初優勝を遂げた。

バリでクルム伊達公子はイバノビッチに敗退。
大阪でのタナスガーン戦に続きフルセットでの敗退。
でも彼女は今40才にして世界46位で日本女子最高位。
シャラポア、サフィーナ、ハンチュコバ、今年破ったビッグネーム多数。
でも彼女はそれで満足してないし、誰もそう思ってない。

全日本選手権女子決勝。
米村知子は3回目の挑戦で又しても涙を呑んだ。
「3度目の正直という思いで決勝に挑んだが、私の夢を叶える事が出来ませんでした」
「思い」と「想い」。
「3度目の正直という」に続く「おもい」に、どちらが合っているんだろうと暫し悩む。

そして俺は1986年から聴き続けてる曲を頭で鳴らす。
SIONの"俺の声"

"色褪せても笑うヒーロー達の写真は 栄光と挫折を一度に晒してしまう いらつかせる夜が 今日も眠らせちゃくれない 闇の中を俺は 睨みつけるしかない"

今夜も沁みる。
サビは、

"俺は王様だと思ってた 俺の声で誰でも踊ると思ってた だがしかし 俺の叫ぶ声は ピンボールさ はねてるだけ"

報われない悔しさ、虚しさ。
それを越える為に今がある。
カテゴリー:Tennis
11/10 11:46
04

Scene 294 [Good Audience #2]

目の前2mのところに石川遼がいる。
最終ホールの第2打。
ラフに入ったボールを「道が見える」と一言発し、グリーンに向かって打った。
どんな擬似音も当てはまらない物凄い打球音がした。
TV収録用のマイクがその音を拾って、スピーカーがハウったのかと思った位だ。
しばらくして、藤子不二雄Aはプロゴルファー猿の打球音でこんな音を表現したかったのかなあと、どうでもいい事すら頭に浮かんだ。
石川遼がグリーンに向かって歩き出すと、近くの人達がターフが取れた跡を撫でてる。
大相撲で引き上げてくる勝った力士の背中を叩く客の様だ。

この日は完全クローズドの9ホールのみのイベント。
参加プロは石川遼、丸山茂樹、藤田寛之、宮本勝昌の4名。
招待客は約2,500人でこれは通常の大会の1/4以下らしい。
若干遅れて着くと既にスタートしていて、MCがいて遠くからアナウンスや歓声が聞こえる。
ゴルフ通の知人の言うがままに4番のティーインググラウンドへ。
暫くするとスピーカーを積んだカートが滑り込んで来て、俺等の真横を石川遼が通って行った。
「顔ちっちぇえ!」
TV縦横比現象なのか、初めて生で見た彼は本当に顔が小さくてスリムだった。
そしてそのホールはドラコン獲得。
そこで気付く。
殆どミスをしないでフェアウェイを歩いて行く選手達にずっとついて行くのは無理だ。
隣のミドルのグリーンで待っていたらあっと言う間にやって来て、ティーショットを放ち、こっちに向かってズンズンやって来る。
そんなこんなで冒頭のシーン。
ゴルフ通2人の読みで、この辺が第2打だろうって所に陣取っていたら、来た。
しかも石川遼のボールがフェアウェイを外れて、正しく俺等の足元に。

すんげェものを観ちゃったなとしか言えない。
然程ゴルフを知らない俺でも、世界を相手に戦うプロってのはこうなんだなと納得した。

観戦中の彼等との距離感は田園クラブで観たジャパンオープンみたいだった。
今でも覚えてる。
あのクラブハウスの前で試合を観ながら談笑しているオランテスが気軽にサインくれたり、九鬼さんが皆が書き込んでくれた色紙を見て、「俺真ん中でいいのかなあ」とペンを走らせてくれたのを。
あの時の俺は中2。
楽しかった。
もっと強くなりたい!とポジティヴに感じた。
ゴルフ観戦も子供達にそんな想いを抱かせるんだろう。

「国技館の焼き鳥って美味いんだからさ」と子供を相撲観戦に連れ出すシンガーの話を聞いた事がある。
俺達もテニスキッズの手を引っ張って有明に行こうや。
カテゴリー:Tennis
10/25 15:10
05

Scene 293 [Good Audience]

ナダルが有明のセンターコートに姿を現した。
数分前に圭が負けてしまった喪失感を補って余りある歓声と熱気。
これが世界一ってやつか。

駅を降りてコロシアムブリッジを渡っていると、コート側の階段に人が鈴なりになっている。
つられて観てみると、真ん中のコートで圭、その隣でナダルが練習していた。
コロシアムではロディックvs伊藤竜馬の1stセット中。
それなのに練習コート周辺は幾重もの人垣。
照明台座、水飲み場、ゴミ箱、登れるものには必ず誰かが登って、ナダルとナダル越しに圭を見つめている。
そこで鉢合わせたジュニア強化コーチは、「凄い音させてますよねえ」とナダルにため息。

そんな後のナダル登場。
右隣には「ナダルが観たい」と学校を早退して来た長男。
左隣のプロテニスコーチは、試合開始直前に息を切らせながら席に戻って来た。
「豪とモンフィスをちょっとだけでも観ておきたくて」
「どうだった?」
「結構いい感じでしたよ」
このやり取りを聞いていた長男が、「ちょっとしたら観に行こうよ」と来た。
ナダルが観たくて、正しくナダルが目の前で試合を始めようって時に大したもんだ。
とは言え、1stが5-2ナダルになったところで、どうしても気になって1番コートへ。

ナダルが初めて日本で試合をしている最中だというのに、物凄い観客の数。
デ杯監督、フェド杯監督をはじめ主だった強化コーチが連なり、試合中でない日本選手も殆どいる様に見受けられる。
1stはタイブレーク10-8でモンフィスで2ndは1-1。
練習コートで合ったコーチが寄って来て試合状況を教えてくれた。
「セットポイントがあったんですけどねえ。ちょっと待っちゃって取られちゃったんですよ。
その次のポイントがアグレッシヴに行って獲っただけに惜しかったですよ」
モンフィスはかなり辛そうだった。
フェンスに手をかけうつむき、まるで宿酔いの様に落ち着きなく動いてる。
彼のイメージからか、ドレッドに巻いた白くぶっといヘアバンドがでかいヘッドフォンに見間違える。
2 ndも添田選手に何回もいい波が来る。
応援者からは学生テニスの様なかけ声がかかる。
モンフィスはスライスでしこってる。
あの長い手足でしこりに徹しているんだから、そりゃあ良く返す。
そしてしっかりボールの後ろに入った時だけは、呆れるな速さとコースでエースを奪う。
そんなモンフィスを崩しきれず5-4になったが、まだ添田選手にも分があると誰もが感じ応援してる。
目の前にいる岩渕プロが「まだ行けるぞ!ここだ!ここ!」と声をかけた。
結局、2ndは6-4。
試合が終ってベンチに戻った両者は暫く動かない。
モンフィスは肩で息をしてうつむき、添田選手は唇を噛み締め一点を見つめたまま。
添田選手がコートを出る時思わず「ナイスゲーム!」と声をかけた。

「楽しいだろ?!早いラウンド観に来るのって」
押しつぶされながらガスケのサインをGetしたガキは嬉しそう。
予選を観に来て、しこたまサインをもらった友人の子供の話をすると、「え〜いいなあ、今度は予選から来たい。嵐のサインよりプロテニス選手のサインの方が価値あるよね!」
う〜む、嵐のサインとの比較はムツカシイ……。
まっ、こういうのはビッグテニストーナメントならではの楽しみ方だ。
コンサート、プロ野球じゃなかなかこうは行かない。

さっ、次はいつ行く?有明へ!
カテゴリー:Tennis
10/10 15:01
06

Scene 288 [底辺×高さ÷2]

暑い。
とにかく暑い。
毎年言ってるんだろうけど暑い。
昨夕都下から埼玉に向かい、陽が落ち始めた埼玉で車のインパネの温度計が37度から39度に上がった時はビックリした。

このクソアツイ中、テニスしている友人、知人から頻繁にメールが来る。
「焦げました!」「ビールが美味いっす!」「呑みに連れてって下さい!」
こんな言葉がイントロかアウトロに必ず入ってる。
中身は勿論千差万別。
季節がら関東ジュニアや、部活合宿に絡んだものばかりだけど。

そんな中、テニスコーチ達の熱意に相変わらず感服したりもしてる。
レッスンの合間に、熱の塊になってコートから戻って来て、「お疲れ様です!」と水分を補充して又コートに戻って行くのを見てると、コーラの一杯位は奢らざるをえない。
仕事だから当たり前だし、インサイダーの俺の言葉じゃ贔屓目に聞こえるかもしれないが、やっぱり奴等は大したもんだ。

そんな姿を目の当たりにした夜。
家族と手作り餃子と黒ラベルした後、ふと思ってる。
どんなスポーツでも「裾野を広げて三角形の頂点を高くする」と、普及と強化の関係を語っているけど、野球やサッカーでは明らかに小学生辺りを対象とした普及で、テニスではそこが明確でない気が凄いする。

自分達が愛して信じているスポーツを多くの人達に楽しんでほしいと考えるのは正しい。
でも最後に大事なモノは数じゃあない。
今度汗をしたたらせてレッスンから戻って来たあいつらに、ちょっとイジワルな質問をしてみよう。
それまで質問内容は秘密。

2010.7.25
Tenjincho
カテゴリー:Tennis
07/25 23:18
07

Scene 286 [Ragged Glory]

「玄関の門開けて壁打ちしていい?!」
良くわからないが"いいよ"と適当に返事。
最近は学校から帰って来ると家の塀で壁打ちしているらしい。
先日は2時間打ってたと家人が言ってた。
しばらくしたら"ドン"、"ドン"、"ドン"と家の外壁に何かぶつかる音。
もしや?と外に出てみたら案の定家の壁で壁打ちしてやがった。
「だってお兄ちゃんもやってるよ」
道路の幅の塀での壁打ちに飽き足らず、門を開けて壁を外壁にして距離を伸ばしてたって訳だ。
延々壁が続く豪邸でも、金がかかった鉄筋の家でもなく、木と紙で出来た安普請の家だ。
可愛い奴等とは思いつつも、ボールをスポンジボールに変えて塀で打たせる事にした。

翌朝ウィンブルドン初日の中継を明け方迄観て新聞を取りに出たら、バックパックにバットを突っ込んっだ小学生数人が、市営グラウンドの方へ急いで自転車を漕いで行く。
それに合流する様に坂の上から、右の道からとその仲間達が自転車で走って来るのが見える。
時間は5時半前。
毎朝彼等が朝練していて、登校時間のちょっと前に慌てて家に戻って来るのは良く見てた。
その朝練が5時半からだったとは知らなかった。
毎朝見てるコーチには本当に頭が下がる。
そして毎朝送り出すご家族にも。

"好きこそものの上手なれ"とは良く言ったものだ。
許せる限りの時間を自分が強くなる為、より良いものを作る為に注ぎ込む姿勢は、子供だろうが大人だろうがカッコいい。
行けるところ迄行くことだぜ。
真っ平らな処から小高い丘に登った時の視界の拡がり、更に険しい山を登った時の視界の開け。
そうやって得た価値観、そこで背負った責任感は、その場の達成感だけでなく、裏打ちされた自信と気のおけない素敵な仲間をもたらす。

"仕事をしながら歌うのはいい、それは労働に感激を与える。
だが歌うことを仕事とするな、靴の底が鉛のように重くなる"

この諺を読んで、10代後半でトップに登り詰めバーンアウトしたアスリートを思い浮かべる人もいるだろう。
あんなに好きだったテニスが単なる喰う手段になっている自分自身に気付いて、愕然としている人もいるかもしれない。

テニスコーチなら一回は、「いいね、好きなテニスが仕事で」と言われたり、何かで弱音を吐けば、「好きな事を仕事にしているんだからそれ位のこと当たり前だよ」と叱咤されたことがあるはずだ。
どっちもその通りで、正しくそれがテニスで生きて行くということだ。
おそらく、"好きなテニスを仕事にしたことで靴の底が鉛のように重くなる"のは、許せる限りの時間をテニスコートで過ごせなくなった者で、そういう奴等は無理せず他の道を行けばいい。
俺の周りのイカした連中は、目一杯テニスして「"仕事をしながらテニスするのはいい、
それは労働に感激を与える。だがテニスを仕事とするな、靴の底が鉛のように重くなる"だってよ!全くだ!」
って軽口叩いて、又コートに出て行くよ。

今いる場所を平坦と感じるのも、ちょっとした丘と感じるのも、断崖絶壁と感じるのも、そしてそれらの場所を物足りないと感じるのも、ツライと感じるのも全てテメエの生き様次第だ。

2010.6.21
Country Home
カテゴリー:Tennis
06/25 11:00
08

Scene 284 [Mojo Hand]

「観てますか?」
「観てるよ」
「タイブレークのドロップショット2本凄かったですよね」

25時過ぎ。
電話の向うはご機嫌で明らかに酔っ払ってる。
お互い錦織圭選手のフレンチ一回戦の中継を観てるって訳だ。
彼のテニスは、本人の以前の「"いいテニスをする"のと"勝つ"のを天秤にかけるのは難しいですが今日は自分のしたいテニスのほうを選びました」というコメント通り、ちょっとおかしい。
だから、「おっしゃー!ナイスショット!」とただ熱く応援しているのではなく、「あれ?!」とか「ええーっ?」とか楽しく見れるし、矛盾する様だが彼の考えや想いが伝わって来る。
俺がこの試合で「あっ!これ圭来たな!」と感じたのは1stの2-5からの1ゲーム。
後は結構余裕を持って観ていられた。
まあそれが呑み過ぎにつながったんだが。

夜中に唐突に誰かに電話したりかかって来たり、ガキの頃はほぼ毎晩だった。
それもお互いへべれけで26時頃。
そんな頃に下北で呑んでた帰りだったか、Bluesが好きだった悪友の薦めで俺がLightnin' HopkinsのMOJO HANDを買った時のこと。
奴は別れ間際にこう言った。
「今晩電話して来ていいよ!」
今晩って言ってももう明朝も近い時間なんだがとにかく俺等はお互いの家に帰って、俺は部屋に入るなりMOJO HANDをかけた。
うわっ!とすぐに受話器をあげて奴に「スゲエよ!」電話した。
「そうだろ!俺も初めて聴いた時は興奮してダチに電話したんだけど、これ初めて聴くと皆そうなんだよね」

錦織選手の勝利を見届けた後、俺は早速iTunesを立ち上げ久々にMOJO HANDを聴いた。
“I'm goin' to Louisiana, and get me a mojo hand”
タイブレークが終って興奮して、携帯に手を伸ばした奴の姿が目に浮かぶ。
「そりゃあ電話したくもなるよな!」

2010.5.25
iPod RED
カテゴリー:Tennis
05/25 16:30
09

Scene 281 [夜の恩返し]

子供のテニスの送迎。
「コーチに預けてる」のでレッスンは観ない。
なまじっか見ていると頭に来ちゃうのも勿論ある。
一応隣のゴルフ打ちっ放しの2階からたまに手を止めて景色として見てはいるが、後で口出しはしない。
あっ、喧嘩してドアのガラスを蹴破った時は怒ったか。

この間も子供を降ろし、トランクからクラブを出して打ちっ放しへ行こうとしたら、コートの中から呼び止められた。
コーチの誰かかなと振り返ったら、何と中高テニス部で一緒だった悪友。
そうだった、こいつも通ってたんだ。
ゴルフは後回しにしてお手並み拝見。
周りの人達がイキイキとしているのに比べて、奴は息が上がってる。
昔の自分とのギャップにも苦しんでるんだろうけど、あの頃体力だけでなく気力も目一杯ギリギリでやってたテニスを今更出来る訳がない。
“あの時の俺達”だから出来たんだよな。

レッスンの後しばし歓談。
「今度ここの市の団体戦に強制的に出る事になっちゃってさ」
このスクールの社長はこれ又中高の先輩。
ほとほと困った様子で話してる。
「お前もここ入るって言わなかったっけ?」
そうそうOB会で酔っ払って、二人して「先輩のところ入会しますよ!」と息巻いて、「OK!わかった!名前入れとく!明後日の土曜からな!」何てやり取りがあって、俺は元々冗談で約束とは思っていなく、奴だけが正直に行ったって訳だ。

それから数週間。
今度は顧問先生の定年退職祝いで高円寺に集結。
終始アタタカイ雰囲気の中、グッと来てホロっと来て呑み過ぎて二軒目へ。
弱小化した部をどうにか建て直そうなんて話で盛り上がっていたら、唐突に先生が、「おいみんな!今トップジュニア育成に関わっているのはOBでこいつしかいない!中高だけでなく日本テニス界から世界のトップが出る様に彼のジュニアを応援しよう!」と呼びかけ。
ああしようこうしようと話しているうちに、「よし、OB会で基金を作ろう!」と決定。
儲かってるらしい後輩が、「わかりました!お姉ちゃんのいる店行くの止めてその分100万位寄付します!」と真面目な顔で答えてる。
やりたい放題やって来た馬鹿共がようやくテニス界に恩返しする気になった訳だ。

河岸を変えようと阿佐ヶ谷に向かってると、「先輩!こいつも先輩のところ入会するって!」と言う声。
“ほとほと困ってた”奴が今度は後輩を引きずり込もうとしてる。
「テニスやんなきゃヤバイってずっと思ってたんですよね。よ〜し、じゃあやりますか!」
「OK!わかった!名前入れとく!今度の土曜からな!」

2010.4.10
Asagaya-kita
カテゴリー:Tennis
04/10 18:54
10

Scene 280 [PLAY&STAY]

待ち合わせ場所は赤羽のホルモン焼き屋。
先に入って一杯やっていたら、遠くから男達のだみ声が聞こえて来た。
(来た来た)と店の兄ちゃんに「生4つちょうだい」とオーダー。
「お待たせしました!お〜お〜、本当だ本当、錦織と伊達来てるよ」
入って来るなり目敏く奴等は柱に貼ってある写真から二人を見つけて喜んでる。

「明日トレセンでカンファレンスなんですけど、トレセンの帰りに圭とかがが寄るホルモン焼き屋がエラく美味いらしくて、皆で行くんで一緒にどうですか?」
昨夜のプロテニスコーチからの誘い。
ホルモンは好きでも嫌いでもないって感じだが、「お前呑むとすぐ寝るからなあ。何時だよ?」とOK。

「盛田さんの”指導者に必要なマネジメント”の話良かったなあ。勝負は自分の「ベスト」でなく相手との「ベター」はその通りだと思ったよ。確かにベストを尽くしても勝てないし、相手よりベターな戦い方、有利に進める能力があるから勝てるんだもんね」
「森上の“テニスこそ日本人が世界で勝てるスポーツ”も納得させられたよ。確かに100m走だったらスタートの時点でもう負けてその後挽回出来ないけど、テニスはいろんな要素があるからな」
「タケシも相変わらず上手かったねえ」
「おまけに何才になっても爽やかで誰かさんとは大違いですね」
「どういう事だよ!大体何で俺が比較の対象なんだよ。お前はどうだってんだ!」
「これ美味いっすよ。豚トロ」

ひとしきり呑み喰いしてから二軒目に流れ、更にゴールデン街へ傾れ込んでこの日はお開き。
終電の中でiPhoneをめくっていると、呑んでる最中に読まされたノートの中身を思い出した。

●PLAY&STAY
・ テニスというボールゲームの楽しさ、素晴らしさを感じるにはゲームが最適
・ ・初めてプレーしたその日から、サーブからゲームしてみよう
・ ・レベル、体格、脚力、腕力に応じた環境をセッティングしよう
・ ・「打点の高さ」「カバーリング範囲」「ラリーの続く回数」の見極め
・ ・Ball×Court×Racket=PLAY&STAY
・ ・トミー・ハースは4?11歳迄はショートテニスプログラム。11歳の時点でテニスのスタイルはほぼ現在の形であった。
・プレーヤーは技術指導よりも、楽しく継続的な運動、飽きさせないいろんな練習、上達しているという感覚、成功への予感に刺激される」

当たり前と言えば当たり前の事が汚い字で殴り書きしてあった。
大人になると子供の時の目線を忘れ、上手くなれば始めた時の苦労を忘れ、コーチになればプレーヤーの時のもどかしさを忘れるということか。

“当ホテルには1969年以降、その様なスピリッツはおいてありません”
イーグルスの“ホテル・カリフォルニア”の歌詞の中の、酒と魂をひっかけた有名な一節。
このPLAY&STAYは、テニス界が形式だけの導入ではなく、
魂を込めてのテニスフリークを増やそうという試みになるんだろう。

「1年前のカンファレンスでも紹介されて今まで何も進展なくて、今年はITFの……」
「だから!酒を魂に変えるのはお前等の専売特許だろ?!ごちゃごちゃ言わないでさっさとやれ!」

2010.3.14
Ikudon

カテゴリー:Tennis
03/25 23:30
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