Home会社概要会社沿革企業理念地域・社会貢献活動不動産オーナー募集テニスコーチ募集
メールマガジンテニス動画テニスコラムブログリンクサイトマップ資料請求お問い合わせ
another side of tennis

[Another Side of Tennis] 坂東海 カテゴリー:KAI

新宿ゴールデン街バーの片隅のテニスと音楽の与太話です。
«Prev | 1 | 2 | 3 | Next»
01

Scene 278 [らせん階段]

先輩後輩を初めて意識した少年野球チーム。
小学校卒業間近に開かれた卒団式での、いつも審判を買って出てくれたPTA会長の祝辞をたまに思い出す。
「皆は今六年生で最上級生だけど、四月になって中学生になれば最下級生だ。中学三年生で又最上級生になるけど、高校に入れば又最下級生。その後も大学、社会人とその繰り返しが続く」
続く言葉が、「そうやって成長して行く」だったのか、「だから謙虚でなければいけない」だったのかは今は思い出せない。
それがその後中学校に上がってから、生意気盛りも相まって年上ってことだけで偉そうにしている先輩を皆の前で吊るし上げたり……。
まあ今でも、祝辞の内容の大体は思い出す位だから、それなりに子供心に響いていたんだろう。

社会人になって“最上級生から最下級生への繰り返し”がある人生はとんでもなく大変だが、異動が一応それにあたるのか。
そんな話を新宿区役所の向かいのもつ焼屋の常連にしてみた。

「俺はあれっすねっ、異動したらまず1カ月は休まず毎日現場に行きますね」
「へえ〜、真面目だねえ」
「いやいや、休みの日に出た時は早々に上がって夕方前に呑みに行く時もありますけど。異動直後はハシゴかけてネット補修とか、シフトの調整しなけりゃならないことが多いんで。いつだっかもう10年以上前に、1週間で100人のヘルプの手配したことあったなあ」
「お兄さん、何してんの?」
「テニスのコーチです」
「あっそうなの?!ネットの補修だのいろいろ言うから漁師かと思って……」
「漁師は初めて言われた気が……」
「いや、お兄さん黒いしさ。子供の頃、親父が肉屋やってた時に職人さんの実家が九十九里の漁師でさ、夏休みに泊まりに行くと、漁から帰って来て網を直すの見てたからかな」

人と道具。
選手と環境。
整えて当たり前だ。
無意識に出来る事の量とその質が大事なんだろうな。
そんなの誰でもわかってる。
そして何でも出来そうな気がするのは、得てしてそれをするべき時じゃなくて、おまけに殆どが酒の勢いだったり……。

バンクーバー五輪。
相変わらずマスコミと世論は、無責任な先入観と嫌悪感で選手を“上げ下げ”して弄んでる。
メダルか否かだけじゃないだろ?
てめえはずっと澱の中に沈み込んだままじゃないのか?

でもね、“最下級生から最上級生への繰り返し”もあるはずだ。
さっ、行こうか。

2010.2.25
Rairai
カテゴリー:KAI
02/26 00:03
02

Scene 273 [Alright!!]

Superflyの“Alright!!”ばかり繰り返し聴いてる。
TVで観て完璧にはまった。
一目見て(ジャニス好きなんだろうな)と感じさせられる雰囲気。
歌詞は時代を捉えてる。

“さあ広い大地で 逆さまになって転がって つまり肝心なのはユーモア 五感を奮い立てろ Shine on,move on!”

いいじゃん、そうそう、ユーモアだよな。
自分じゃ人の事を喜ばせられず、ジョークも飛ばせないくせに、誰かが何か言えば冷笑してる奴等ばかり増えちゃ困るんだ。

Superflyの後は決まって甲斐バンド“目線を上げて”。
昨日の新橋駅前SL広場での約2千人を前にした「ロッカ・バラード」発売記念ストリート・ライヴで、“HERO”、“安奈”、“裏切りの街角”といったイベント仕様の選曲に挟まれて演奏されてた。
広場に面したビルの2階のテラスがステージ。
流石にバンドの音はTV.Mixで、ボーカルのみ生唄。
それでも十分染みた。

そんな感じで1984年生まれの女性シンガーと1953年生まれの男性シンガーの歌を聴いてる。
どっちもバンドが“ちゃんと演奏してる”のがいい。
カッコいいリフとイカしたビート、エモーショナルな声が紡ぎ出すグルーヴ。
当たり前の事だけど、これはなかなかムツカシイ。

“ちゃんとプレーする”事は好きじゃなきゃ出来ない。
好きだから熱を上げる。
熱を上げるから集中する。
集中するから「二度とこんな事出来ないよ」なんて凄いプレーを平気でする。

11/30付女子テニス世界ランキングでクルム伊達公子選手が71位に上昇。
次の日本人選手は森田あゆみ選手の84位。
語り尽くされてる話だが、アラフォーのヒロイン、伊達選手は1970年生まれの39歳。
森田あゆみ選手は1990年、平成生まれの19歳。
「テニスは心技体。テクニックと若さだけではない」
これは昨年の全日本で奈良くるみ選手を破る前の伊達選手の言葉。
テクニックも若さ=体力もあればあるだけ良い。
そんな事は分かり切っての発言。
“ちゃんとプレーする”奴だけが発するバイヴレーション。

“Oh yeah Baby's alright, everybody's alright Oh yeah 気分上昇で勝負だ Oh yeah Kids're alright, everybody's alright Oh yeah 次のステージへとフェイドイン フェイドイン ナウ”Alright/Superfly

Alright!来年も楽しめそうだ。

2009.12.10
Shinbashi-Kushiya
カテゴリー:KAI
12/10 23:59
03

Scene 271 [Beautiful Fighter]

鼻たれ小僧の時分にドリフを観に行った時、山口百恵を観に行った時、ちょっと生意気になってから甲斐バンドを観に行った時、なけなしの金をはたいてNY迄ストーンズを観に行った時。
ショー当日迄、チケットを大切にしまって行きの電車の中じゃ何回もチケット持ってるか確認して、会場周りのダフ屋や的屋にわくわくして、席についてドキドキして開演を待った。
そしていつも“あいつら”はあっけらかんと目の前に現れてショーをスタートさせ、、グレートなパフォーマンスを繰り広げて行った。

これはテニスでも同じ。
テニスを始めたばかりの頃、青学記念館でもう引退してたのか間近だったのか覚えていないが、ローズウォール、ニューカムを観た。
そこにポツンと混じってたナスターゼにはコートサイドでサインをもらった(すぐに先輩に横取りされたけど……)。
金がなくて田園テニス倶楽部の裏口からタダで入ったジャパンオープンでは、クラブハウス前で談笑してたトッププロ何人もにサインをもらった。
九鬼さんは何故か真ん中だけが空いてた色紙を見て、「こんな凄い人ばかり書いてるところの真ん中に書いていいのかなあ」と笑いながら、でっかくど真ん中にサインしてくれた。
そしてサントリーカップ。
あの時はテニスファンだけじゃなくて日本中が、コナーズ、ボルグ、ビラス、オランテスの戦いを固唾を呑んで見守っていた。
同じジュニアチームのダチがボールボーイをやっていたから、ボルグがコナーズに勝って閉会した後、アリーナ迄降りてダチに会いに行った。
すると向うから、まだ身体全体から蒸気を噴き出してる汗だくのコナーズが歩いて来た。
誰に止められる事もなく白いキャンバス地のバッグにサインしてもらった。
このバッグは、いつからかお袋が自分の書類入れにしてしまって、何回も洗うもんだからコナーズのサインは消えちまった……。

ずっと観たいと思ってたモンフィス。
先日のATP Sundayで練習コートに行ったら、あっさり目の前で練習してた。
タイミング悪くてずっと観れなかったのに、次はおまけにロイヤルボックスでツォンガ戦も観れた。
同じ様にタイミング悪くてシングルスをなかなか観れなかったのが森上亜希子選手。
ダブルスは観れていたんだが、どうもシングルスは観れずだった。
アグレッシヴなテニスのスタイルと頼りになる勝負強さ。
数年前のフェドカップでやっと観れた。
ガキを連れて行ったからちょっと遅れて、コートチェンジ迄足止めしてる入口で爪先立ちになった先で、彼女が日本代表の赤いウェアでプレーしてた。
やっぱりあっけらかんと俺の前に現れた。
そしてあっと言う間に試合は終って又次の試合が始まった。

今回の全日本が彼女のラストファイト。
一気に世代交代が進んだ感のある日本テニス界。
でも森上選手はまだまだ行けたはず……
何てタラレバは彼女には似合わないのはわかっているが。
とにかく有明に行かなくちゃ。
そしてあっけらかんと彼女は現れて試合をする。
それが彼女の仕事だから。

2009.11.10
Shinjuku-South Gate
カテゴリー:KAI
11/10 18:29
04

Scene 270 [目線を上げろ]

いつからだか新品のラケットにラケット全体を包み込みフルサイズのカバーが付いて来た。
そんなフルサイズのカバーを使った事はなく、と言って他の使い道もなくすぐ捨ててた。
周りでもそれは同じだった様で、直接バッグにラケットを突っ込んでいる奴が昔も今も殆どだ。
最近はビニール袋に入ってるのみで、カバーが付いて来ないメーカーもあるらしい。
(地球に優しくていいじゃん)位の感想だが、フルサイズのカバーという発想が今思えばテニス界的バブリーな発想だったんだろう。

「噛み合せを高くしたいから」
アルバイトテニスコーチをしていた時の後輩の親父さんに歯を診てもらってた時、こんな言葉を真に受けて、随分時間をかけて何本もの歯を削られて加工された。
確かあの頃は秋山選手とかプロ野球選手の間で、噛み合せとパフォーマンスの関係が注目されていた。
そんな時間と金をかけた歯だが、徐々に欠けたりして今大変だ。
当たり前だ、健康な歯を傷つけてたんだから。
まっ、これもバブルな時代の産物か。
救いは立派な歯医者になってる部活の後輩が、「先輩ならインプラントも滅茶苦茶安くします!」と言ってくれてる事位か。

いつの間にか自分が大嫌いな生き方をしてたり、「金じゃない」と言いながら「金でないものは見た事がない」と苦笑いしてたり。
全く上手くいかないぜ。

2009年2月7日、日本武道館の甲斐バンド。
「ここまでみんな生きて来たら振り返れば自分のスタイルになっているし、自分の味になっている。誇りを持ってほしい。目線を下げず、目線を上げる。目線を上げろ」
こんなMCがあった。
2009年秋、甲斐バンドのニューアルバムのタイトルは「目線を上げろ」。
タイトルチューンと言える「目線を上げて」は疾走感溢れるR&Rではなく、夕暮れの淋しさの様なイントロから始まるミディアムのバラッド。
徐々に熱を帯びて行くリフレインを聴きながら、俺はかろうじて明日への希望って奴を繋ぎ止めてる。

“目線を上げろ 胸をはれ 下を向くな 風を切り 目線を上げて 目を背けず 転がる自分を信じて 目線を上げろ 胸をはれ 下を向くな 風をかわし 目線を上げて 目を背けず 転がる自分を信じて”

2009.10.21
Nogawa Park


  続きを読む:Scene 270 [目線を上げろ]
カテゴリー:KAI
10/25 23:35
05

Scene 253 [THE ONE NIGHT STAND]

半身浴が好きだ。
風呂を修理しなきゃならなかった時に、湯船を半身浴用に変えた位だ。
前はただボーッと30分程浸かって汗を出すという感じだったのが、いつからか読み物を持ち込む様になった。
本を持ち込むのは最初抵抗があったが、持ち込んでみたらふやけないし、湿気も然程吸った感じがなく、それ以降は平気でどんな本でも持ち込んで読んでる。
新聞は流石にふやけて嵩張るが、どうせ捨てるもんだから、大体夜は風呂で夕刊をチェックして朝刊を読み直してる。

そんな半身浴の最中、目は活字を追いながら頭の中で最近あった事を反芻。
まず浮かんで来るのは、あるプレゼンでのプロテニスコーチの熱い涙。
人に語りかける、話を聞かせる為には情熱がいる。
話が上手い下手じゃあない。

次は強い風雨の中、有明で行われたジュニアのイベント。
アウトコートが使えず、屋根を閉めたコロシアムで可動ネットを増設して、数クラスを同時進行でレッスン。
俗に言う“同業他社”のプロテニスコーチ達が、状況に応じて素晴らしいアドリブを見せる。
狭い呑み屋に詰め込まれて呑む時の異様な盛り上がりにも近いか。
そこには単純に1人のテニスコーチとして、目の前の“テニス・キッズ”達に自分が今出来る全てでレッスンしている熱さがあった。

最後は……。
暗転した武道館に響き渡ったあのドラムのイントロ。
(うわっ!!オープニング“きんぽうげ”だぜ!)
そしてGmのあのリフが炸裂した瞬間に、武道館はちっぽけな小屋になって、俺は涙ぐんだ。
グレートなパフォーマンスはあっという間に人の距離を縮める。
“最後の甲斐バンド”
俺は奴とまだ小学生の息子と娘と一緒にアリーナで観た。
何の偶然か、初めて武道館で甲斐バンドを観た高2の時とほぼ同じ席。
(俺ってもしかして幸せなんじゃねえかな……)
リズムに身体を揺らす奴と、拳を突き上げるガキ達を見てふとそう思った。
この日の話にはおまけがある。
帰りに九段の坂からゴールデン街迄乗ったタクシーの運ちゃんが、ライヴの話で盛り上がってる俺等にこう話かけて来た。
「今夜甲斐バンドだったの?私ねえ、小学生の時同級生だったんですよ。小さい頃からギター弾いて唄ってましたね。中学は別だったから、HEROが売れた時は“やっぱあの甲斐か”って。“よっさん”、“やっさん”って呼び合ってましたから」
当然「お釣りは取っといて」だ。

“生きるってことは一夜かぎりのワン・ナイト・ショー 矢のように走る 時の狭間で踊ることさ”HERO/甲斐バンド

そうだね、これまでも、これからも、“THE ONE NIGHT STAND”。
何てカッコ良く生きれればいいんだが……。

あっ、又一つ浮かんで来た。
ガキ共がコートから帰って来た後、真っ暗な中街灯の下で素振りし始めたんだ。
随分長い時間やってて、「ほら飯だぞ!」って呼んだんだけど、嬉しかったな。

2009.2.9
Kudanshita

カテゴリー:KAI
02/10 23:03
06

Scene 249 [Xmas Tournament]

毎年この時期になると(あっ!-しまった!)と思う事がある。
今年も又そうだった。
“イザワクリスマスオープンテニストーナメント”
気付けば今年も既に開幕してた。
地域密着のイメージと、クリスマス独特の雰囲気を感じられる素晴らしい大会なんだろうなと、毎年(観に行きたいなあ)と思ってるくせにこれだ。
今年は20周年大会で、さぞかし華やかに展開されているんだろうね。

20周年ということで大会HPで、歴代優勝者を眺めてみる。
大会案内の「イザワクリスマスオープンテニストーナメントは、世界の舞台で活躍している杉山愛選手、森上亜希子選手、中村藍子選手を始め、今年現役復帰を果たした伊達公子選手など、日本のテニス界をリードするトッププレーヤーたちが「世界へのジャンピングボード」としてこの大会で活躍し、世界へと羽ばたきました」という文章の通り、そうそうたる面子が名を連ねている。
第一回大会の優勝者は……おおっ陽夫じゃん!
あの町田のガキ大将やるな!
目を戻すと又、秀丸さん!淳一!
ジュニア時代の仲間の名前を見て、(成る程ねえ、確かに歴史あるわ、こりゃあ)と納得。

バンドマンが「東京より大阪の方が盛り上がる」と話してるのを良く見かける。
大阪のファンは尚更で、「東京もんは静かで〜」と鼻高々にしてる。
好きなバンドのライヴを一度大阪で観てみたい。
そう言えば1986年の甲斐バンドの解散ライヴのシューティングは大阪城ホールがメインだったな。
その大阪城ホールと言えば、奥田民生の「ひとり股旅」のDVDに出て来る大阪BANANA HALLか何かのシーンで、客の「城ホール(大阪城ホール)でやって!」というかけ声に、民生が「上ホルモン?」って答えるのが笑えた。
あのDVDは名作だ。
まっ、そんな事もあり、“イザワクリスマスオープンテニストーナメント”も観に行きたい。
関西の人達に言わせれば、「大阪と神戸は全然違う!」って事になるんだろうけど、まあ新宿と横浜みたいなもんだと思わせておいてくれ。

“イザワクリスマスオープンテニストーナメント”は中学生以下、及び夕方5時以降は入場無料。
どこまでも粋だねえ。

2008.12.18
Tanashicho3
カテゴリー:KAI
12/18 12:38
07

Scene 247 [かりそめのスウィング]

「テニスは不況に強い」らしい。
確かに世の中が不況だからコーチが解雇された、スクールが閉鎖されたってのは聞いたことがない。
テニススクール特有の“安・近・短”が今の世相にぴったりってことなんだろう。
更に今年は錦織圭選手の躍進、クルム伊達公子選手の復活もあり、沢山の子供達がスクールに足を運んでいると聞く。
バックパックにラケットを入れて、グリップがちょんまげみたいに見える子供達が自転車で息を切らせてる走って来るところ、コート上の笑顔、躍動感が頭の中一杯に広がって、幸せな気分になる。
やっぱテニスっていいよなあ。

とは言え、年の瀬で誰でも餅代が欲しいって時に、新聞には“経営改善の為に社員約千人削減”という記事。
他にも技術を持った熟練工約千三百人が契約途中で大量解雇なんて見出しもある。
「経営改善って言っときながら、人の人生改悪してどうすんだよ」なんて心の中でつぶやきながら、この寒空の下放り出された人達の事を想う。

「よく“給料日前で苦しい”って言うけどさ、“給料日後で楽だ”って聞いたことないよね」
「って言うかさ、給料日以外は全部給料日前だよな!」
レッスンが終れば毎晩、スタッフと餃子ビールしてる若いプロコーチ同士の会話。
こんな呑気な会話が出来るだけ幸せって奴なのか。

“ジングルベルに街が うき足だった夜 人の声と車の音が飛び交ってる ニュースは不況を喋い 街には人があふれた そしてふらりとあいつは舞い戻ってきた” かりそめのスウィング/甲斐バンド(1975)

30年以上前のナンバーがやたらリアルに響く。
ちぇっ!全く、代り映えのしない毎日だぜ。
さて、今日は何を面白がるかな。
被害者面だけはぶら下げたくないからね。
そうだな、テニスの“安・近・短”を活かして、もっともっと地域貢献、地域密着、そしてテニスそのものの底辺拡大と底上げが出来ないか、考えてみることにしよう。

2008.12.4
Tako-Park
カテゴリー:KAI
12/04 13:35
08

Scene 243 [晩秋]

ボルグがウィンブルドンのトロフィーをオークションに出したんだか、出そうとしたのを覚えているだろうか。
コナーズがボルグの為に、自分が買い取ることでオークションに出るのを防ごうとしてるなんて噂も聞いた気がする。
結果として、ウィンブルドンのトロフィーが他人の手に渡る事は避けられたというところ迄しか知らない。
あの時のボルグは、ウィンブルドン五連覇をはじめとする「一生かかっても使い切れない」と言われた賞金等、全財産を使い果たした挙句に、ウィンブルドンのトロフィーを金に換えようとした。
矢面に出たのはボルグだが、取り巻き連中がボルグを利用していいようにやってたらしい。
「バカだなあ……。そんな奴等にだまされんなよ」なんて言えるのは、街の底を這いずり回って生きて来た俺達だからで、若くして世界的に成功した奴への誘惑や重圧は本人にしかわかりゃしない。
ボルグが少年の頃にアイスホッケーの試合で相手を傷つけてしまい、それを機に自分を律する事の大事さに気付き、類似無比のポーカーフェースを得たという話は、同じく少年の頃は感情のコントロールが出来ず、そんな行為を無意味と感じ冷静さを身につけたフェデラーの話とダブり、相変わらず落ち着かず、情けない俺としては大好きなエピソードなんだが(タイガー・ウッズのMCで、フェデラーの幼少から最近迄をフラッシュでまとめているNIKEのCMでは、試合中に癇癪を起こしてボールを蹴り上げるフェデラー少年の様子がインサートされている)。
今年のウィンブルドンでは、招かれて観戦しているボルグの姿があったから、ボルグは窮地を脱したってことか。

小室哲哉作詞作曲の未発表曲に“against the wind”という唄がある。
“大好きだって言えなくなった まして愛なんてとても伝えられない 口惜しいこと甘えたいこと ずっとずっと言えなくなっていて aginst the wind aginst the wind aginst the wind やさしさにさからって どこかでまた吠えてる”
別に好きなミュージシャンじゃあないが、この“against the wind”は好きだ。
TVのしたり顔コメンテーターみたいに、「今の彼は正しく“against the wind”ですね!」なんて言う気は勿論ない。

流通センター駅で降りて、ほこりっぽいトラックのクラクションが響く環七を歩く。
臨海斎場。
ガキの頃からずっと良くしてもらった伯父さんに別れを告げた。
地道に誠実に戦前、戦後と昭和を生きた伯父さん。
こつこつと自分達の生活基盤を作り上げ、家族を養い生きて行く。
そんな堅実さってやつは、地味だとか、素晴らしいだとかじゃなくて、当たり前なんだ。
ゆっくり休んでね。

2008.11.5
Ryutsu-Center


  続きを読む:Scene 243 [晩秋]
カテゴリー:KAI
11/06 03:45
09

Scene 242 [荒野をくだって]

「242ね……西に……。“荒野をくだって”だな」と、どうでもいい語呂合わせをして、鼻歌で“荒野をくだって あの赤く焼けついたあの 荒野をくだって 街ざかいのハイウェイを西へ”と唄ってみる。
あの頃、乱痴気騒ぎの翌朝に宿酔いの俺を襲った淋しさと焦り。
それが諦めに変る前にかろうじて歩き出せたから、まだここにいるのか。

“よりよい世界 夢見ながら 眠りにつく時がある だけど沈んだままの心で いつも目をさます”荒野をくだって/甲斐バンド

[Number.714]

車内吊りで見た野茂選手のUP。
読みたくて本屋、コンビニと歩き回ったがない。
電車の中で前の男が読んでた時は、(頼むから網棚に置いてってくれ!)と願った。
そんな事を繰り返した数日後、AmazonであっさりGet。
でも俺はAmazonの在庫で定価の530円で買えたが、マーケットプレイスでは既に2,600円とプレミアがついてた。
「ミュージシャンはいくつになってもミュージシャンである様に、60、70になっても野球選手を自称しながらフェードアウトするのもいいと考えた」
「アメリカで野球で成功したのは早かった方かもしれないが、既に日本企業はワールドワイドで活躍してたから、自分のやってることなんかそれ程でもないと思ってた」
なんて言葉に、彼のデカさを感じる。

「30歳になるぐらいまでは、自分が活躍することが結局チームのためになるんだ、自分が絶対にいい結果を出すんだって考えていました。でも、30の手前ぐらいですからですかね、チームで戦って行くことの大切さ、その中で自分はなにができるんだって考えるようになりました。チームのためにできることをやり、それをチームメイトに理解してもらうほうが、ずっとやりがいがあるってわかってきましたからね」野茂英雄([Number.714]文:阿部珠樹)

満員の甲斐バンド、東京国際フォーラム。
Gmのシンプルなギターのイントロ、スネアの音、そしてシンガーの声。
音に真摯に向かい合って来たチーム故のグルーヴ。
9才のガキは決めに合わせて拳を突き上げてる。
奴にせがまれてKISSを武道館に観に行ってから5年たってる。
俺がロックンロールとテニスに夢中になった歳まで後3年か。
俺は、もっともっと誰かの為に何かしていい頃合いかもしれない。
重い腰を上げて、俺だけが出せるグルーヴって奴を探しに、街境に行ってみる。

2008.10.26
Tokyo International Forum.A
カテゴリー:KAI
10/30 23:53
10

Scene 240 [逆もまた真なり]

「893な仕事だからさ」
「今更堅気には戻れないよ」

いろんな道のプロがアウトローを気取ったり、アウトサイダーを嘆いたりして使う台詞。
テニスを生業に選んだ人達も同じだろう。
スペシャリストとして誇りに感じて使ったり、逆に大企業勤めのホワイトカラーとの比較で自虐的意味合いで使ったり。
「今はいいけど歳とって身体が動かなくなったり、怪我した時どうするの!」
何人ものプロコーチがお袋さんに言われて来たはずだ。
でも皆それを振り切り、なだめ、諦めさせ?走り始め、転がり続けている。

「人生って奴は悲しく、そして破滅的だ。出来ることはやらなければならない。やらなければならないことをするんだよ。だからうまくいくんだ」BUCKETS OF RAIN/BOB DYLAN

先週の日曜から今週末迄、祝宴が三つ入ってる。
まず最初は、以前担当していたスクールのアルバイトコーチだった女の子からのお招き。
当日の朝、改めてお礼と確認のメールが入った。
誠実にレッスンして、レッスン以外の業務も真面目に取り組んでいたあの頃のままだ。
メールの最後はこう結ばれていた。
〈では、お嫁に行って参ります〉
ホロリとさせんなよ……。
パーティーじゃ、スーツやドレスが似合う様になった元スタッフ達と合流。
あの垢抜けなかった奴等が随分大人びて見える。
隣にいる彼等の“元上司”が、相変わらず酩酊してるのとは大違いだ。
全く成長してない。
むしろ退化、いや子供帰りしてる。
あ-あ-、鼻水流してもらい泣きしてるよ。

そして今度の土日は連チャン。
どんな職種でも、組織の中でポジションが上がれば、祝宴に招かれる回数は増えるんだろうけど、常に若いスタッフとチームを組んでる俺等は、飛び抜けて多い気がする。
そして確かにその分フレッシュでエネルギッシュだ。

でも、一週間でご祝儀三つ。
これは流石にキツい。

「二十前に美しくなく、三十前に強くなく、四十前に機才もなく、五十前に金持でない人には、すべてのものが失われているのだ」

う-む、40前迄は無理やり順調としといて、50前迄は……まあ、それが50が60だろうが70だろうが変わらないか。

最後に、良く言われる「いいよねえ、好きなことしてお金もらって」という言葉に、若干胸を張ってこんな諺で回答しておこう。

「仕事をしながら歌うのはいい、それは労働に刺激を与える。だが歌うことを仕事とするな、靴の底が鉛のように重くなる」

その重さが俺達のプライドだ。

2008.10.14
hanno-city
カテゴリー:KAI
10/16 15:52
«Prev | 1 | 2 | 3 | Next»

ケータイでもレックテニススクールへアクセス左のQRコードで携帯版サイトへアクセス!!