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another side of tennis

[Another Side of Tennis] 坂東海 カテゴリー:word

新宿ゴールデン街バーの片隅のテニスと音楽の与太話です。
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01

Scene 198 [ひらひら]

誰でもこんな事を言った記憶があるだろう。
「だってみんな持ってるよ」
そして親父やお袋にこう言われた。
「みんなって言ったってカズヤとカッちゃんとトモちゃんだけでしょ!?」
ガキの時の"みんな"ってのは、小さな子供社会の中の更に小さな仲間のこと。
今考えればあながち嘘じゃなかったって気もする。
公園、空き地、校庭、駄菓子屋……日替わりのチープ・スリル。

「だって皆言ってますよ!」
若いコーチが口をとがらせてる。
どうやらスクールの新しい方針が気にくわないらしい。
こいつはいい奴なのに、何か変化があるといつも後ろ向きになる。
アイデアに溢れてる奴は、「こうしたい」「こうすればいいんじゃないか?」と、いつも前を向いて希望と提案、そして自分を語る。
アイデアに乏しい奴は、「前はこうだったのに」「あの人はこうだったのに」といつまでたっても後ろ向きに失望と不満、更に他人の批評と批判を繰り返す。

(まあ根はいい奴だからな)と諭しに入る。
「あのさあ、お前の言うみんなって何人?」「えっ……。あの人と……」「まあいいや。じゃあ話を変えて、お前の担当してる人が何人退会しちゃったら(うわっ!沢山やめちゃった……)って感じる?」「5人ですかね」「ふむ。大体この手の質問には5人か10人って答えるもんなんだよな。で、お前の担当人数は?」「今月は帰省で定番減らしてもらったんで30人です……あっ!?」「気付いたか?多い少ないの感覚なんてそんなもんなんだよ。もうガキじゃねえんだから、“みんなが”なんて幼稚な物言いしないで、もっと自分の考えとか突っかかって来いよ」「なるほど俺ってダサダサ君ですね。今晩呑みに連れて行って下さい!」「あのなあ……」

ある程度任せられる様になった奴に必ず言うことが二つある。
「人は3人以上になれば組織」
「何で女性週刊誌とか写真スキャンダル誌が売れるか」
最初の「人は3人以上~」は、やっぱり皆ガキの頃から経験してること。
仲良しの二人はいつも一緒で、こっぴどく喧嘩をしてもすぐにわかり合って仲直りしてたのが、そこに一人加わることで(相方をとられちゃうんじゃないか……)と疑心暗鬼になったり、二人だったら面と向かって言っていたことが、一人入ったことで愚痴ったり、陰口を言い出すってやつ。
次のはことある毎に話すかな。
殆どの奴が“語れる自分”ってのがなくて、他人の話で盛り上がるしかない。
その話もいい話だと「スゴイよねえ」「エライねえ」と一言二言で会話が続かないけど、悪口系は延々と続く。
悲しいけどそれが世間ってやつだ。
だから俺達みたいなスペシャリストはそうなっちゃいけないし、スタッフがそうならない様に導いてあげないといけない。
それでもガス抜きが必要になる時がある。
誰かが不平、不満を持っているのがわかったらそれを口に出させて、後はそれを上手くオフィシャルにして皆の問題としていい方向に持って行くしかない。

しかしまあこれはメビウスの輪だな。
気の置けない仲間がいて、酒が美味くなる行きつけのバーがあるだけで幸せってことにしておこう。
今晩は久し振りに拓郎でも聴くか。

2007.12.20
Kitasando
カテゴリー:word
12/20 15:07
02

Scene 197 [裸の王様]

「ぜったいダメです」
「やってはいけません」
「しつれいです」
「わるいですよ」
担任からガキへのコメント。
ご丁寧に赤ペンで書いてある。
良くもまあここまでネガティブな言葉を子供相手に羅列出来るもんだ。
確かに行き過ぎた暴れん坊のガキが多々悪い。
でも親バカとは縁遠い俺でも、流石に家人の「先生変えてほしいよ」という嘆きに頷いてしまう。
昨日はガキが友達を叩いてしまったら、先生が保健室に行かせたとの事で、夜に相手の親御さんに電話。
「本人は何も言ってないしどこも腫れてませんよ。あの先生は男の子が嫌いみたいですね。参観の時も露骨でしたし。今回も叩く前にかなりストレスためさせられたんじゃないんですか?」

学校はやめれないから生徒は来る。
テニススクールはやめられる。
それでも文句も言えず、他の習い事同様に(つまらないなあ……)と感じながら通い続けてる子供達もいるんだろう。

「ほらっ!急いでるんだからさっさと来なさいよ!」
駅や街中でいらいらして目くじらたてて子供に怒鳴るお母さん。
そんな世の中の大人同様に、自分の思い通りに子供が動かないだけで怒るコーチを何人も見て来た。
大人は「叱る」が「怒る」になり、子供が「素直」でなく「服従」する事に満足する。
子供は「無邪気」から「不安」になり、そして「不満」を仮面で隠す。

「被害者意識」はタチが悪い。
本人のみが常に悲劇の主人公で、論理はいくらでもすり替わる。
「私だけ……」「私だって……」と「貴方だけ……」「貴方だって……」……。
はっきり言ってそんな奴は相手にすることはない。
だがしかし、「急いでるんだから!」と怒るお母さんと「別に行きたくないもん……」という子供、「こっちはちゃんとレッスンしたいんだから!」と怒るコーチと「だって上手く打てないんだもん……」というジュニア、この被害者意識ペアはやばいだろ?
群衆の中の一人と一人ならまだしも、本来は最高の“仲間”なんだから。
親、指導者は与える喜びを感じれる様にならないとね。
胡散臭いボランティア精神はいらない。
子供の無邪気なエネルギーに負けないパワーと、繊細な心の不安と不満を受け止める懐の深さ、そして天の邪鬼な悪戯を叱って気付かせる思いやりだけでいい。

なんて偉そうな御託を並べるだけ並べて、“裸の王様”は今夜も家に真っ直ぐ帰らずゴールデン街に行きましたとさ。

2007.12.12
Shinagawa
カテゴリー:word
12/13 17:20
03

Scene 192 [猿]

“何でもできると思ったのは 何にもしてない時だった 猿みたいな顔で生まれ 猿みたいな顔で死んでゆく 何でもできると思ったのは 何にもしてない時だった 肩を怒らせ睨みを利かして 何か怖いものでもあるのかよ” 猿/SION

「お前さあ覚えてる?リハ終った後とか呑んでるとお前が急にいなくなってさ、俺とあいつでいつも金払ってたの。生まれも暮らしもパンクじゃないくせにルードボーイ気取ってたにせよ、こっちは惨めで、全く酷かったよ」

「あなたの才能を信じてずっと応援してたけど、あなたはいつも私が傷つく様な言葉ばかり投げかけた。それはもういいけど今も自分を信じれてるの?」

「俺はお前に一生付いて行こうと思ってたんだぜ」

「何だかんだあんたの彼女全部知ってるけど、皆いい子ばっかだったよねえ。あんたが酔っ払ってる陰でフォローしたり。そういうのわかってんの?」

“明日にまわせる明日はもうない 泣こうがわめこうがもうない 誰の顔が浮かぼうが消えようが 誰が生きない奴の為に生きるか” 猿/SION

「“インハイ迄で選手を止めた俺なんて”と言いながら、それなりに広い顔でいい気分になってるんじゃねえだろうな。“あのタレント俺のダチのダチ”って言ってる奴と一緒になるなよ」

「相変わらず細いパンツ穿いてるじゃん。まあ俺は今じゃ太っちゃって薄くなって来てだけど、その分お前よりもらってるってはずだ。お前いくらもらってる?そうだな、そんなもんだ」

「“金じゃない”ってのはカッコいいけど、今のお前がいる場所はどう見てもそうじゃない。スーツ着る様になったらなったでWhite-Collar気取ってるんだろうけど、いい加減外見と中身、外面と内面のギャップを何とかしたらどうだ?」

「同居でもめてるって言ったって、そんなの見え見えの話だし、そもそもお前にはお袋さんの血が流れてるんだから、お袋さんと同じことをお前もどこかでしてるんだよ」

“何でもできると思ったのは 何にもしてない時だった 猿にも劣る思いやりと 猿にも劣る学習能力で 何でもできると思ったのは 何にもしてない時だった 肩を怒らせ睨みを利かして 何か怖いものでもあるのかよ”猿/SION

死んだ親父が何度も俺に繰り返した言葉は“自分を大事にしろよ”。
焼酎を呑みながら目はTVの方に向けたままつぶやく様に言ってた言葉を今口にしてみる。
あいつと二人のガキ、“おれの家族”の顔が脳裏に浮かんだ。

2007.11.3
Enmeiji
カテゴリー:word
11/08 16:47
04

Scene 190 [奇跡のバランス]

<いつもお世話になっております。今月発売号の(明後日発売)トップ特集はいつもの技術物ではなくて、AIGジャパンオープンという皆さんが知りたい記事になってます。面白いので是非読んでみてください。今後も大会記事は前に持ってくるようにしたいと思います。>

先月だったか、「ダメじゃん、あの誌面の作り!“テニスプレーヤー”の為だけでなく“テニスファン”の為の記事も頼むよ!」「確かにアメリカのテニス誌は技術解説はないんですけど、英語がわからない僕がペラペラ捲ってるだけでも楽しいんですよねえ」「“これであなたもバックハンドの達人!”もいいけど、貴男vsフェデラーとかああいう場面こそ、きっちり記事にするべきだ」「すぐには難しいけど、記事の配置を変えるのは確かにいいんで考えてみます」と、「トップにプロツアー記事を持って来い!」とリクエストした流れでの、某テニス誌編集者からのメール。

いいじゃん!こうじゃなきゃな!
何度も言うけど、テニスはもっともっと語られていいスポーツだ。
スコアやフォームといった目に見えるものだけじゃなく、メンタル、コロシアムの雰囲気、そして試合前後の様子…。
トップ選手が、週一プレーヤー、ジュニア選手と同じ落とし穴に陥ったり、逆にトップ選手がフッと表情を変えてギアを上げる…。
そんな瞬間のドラマを見てみたい。

こう書いてて急に高3の夏を思い出した。
インターハイ前のレッスン。
女子のインカレ選手と練習試合をしている時だった。
急にボールのバウンド感覚とラケットを振り出すタイミングが合わなくなって、試合というよりはテニスにならなくなった。
それはすぐ治まってインターハイへ。
初日を勝ち残って、翌日は近くのインドアコートで練習。
翌々日の試合が始まったら、又ボールのバウンド感覚とラケットを振り出すタイミングが合わない。
引率の顧問は苦笑いで諦め、東京から応援に駆け付けてくれた後輩は困惑。
その時は「試合がクレーなのに前の日にカーペットで練習したからかなあ」と言い訳したり、(一日目が終った後隠れて呑みに出た罰?!)と考えたけど、今となってはあれが“イップス”だったんだ。
試合のコートに入る瞬間にふっとトランスする感覚が好きだった。
プレッシャーがあるのは当たり前で、「緊張しちゃって…」何て言い訳はしたことがない。
それでも心と身体の奥底に隠れていやがった臆病さが“イップス”を呼んだ。

何て、かっこ良く言い過ぎだな。
こんな俺でも今まで誰にも言ってなくて、おまけに忘れてたちっぽけなドラマがある。
東京の正反対、地球の裏側のテニスコートでもプレーしてるプロ選手達には、語り尽くせない数々のシーンがあるはずだ。
それが一つでも多く、俺等の眼に触れるといいな。

そして各テニス誌に関わる方々!せめてせめて、グランドスラムの時位は優勝トロフィーを掲げてるプレーヤーの表紙を捲ったら、誌上レッスンじゃなくて誌上観戦といかないかい?
その点某誌が今回、フェデラー欠場でもジャパンオープンを国内最大の大会としてトップに持って来たことに拍手!

2007.10.19
Sagamiono
カテゴリー:word
10/25 17:25
05

Scene 189 [グッドフラストレーション#2]

「でもマジで体育の日ってさ、10月10日ってイメージだよな」
「10と10、“とお”って開けっぴろげさ?」
「でも俺等の頃は運動会が春なんて考えられなかったけど、今はウチのガキの行ってる小学校も春だからねえ」
「まあもはや"体育"って学校の授業って意味しかないもんね。あっ、あと国体か」
「"体育"をスポーツに置き換えても、ガキの頃やってたスポーツを続けてる奴も殆どいないし、せいぜいゴルフ?」
「あれっ?!そう言えばゴルフスクール始めたんじゃなかったっけ?」
「そう、ドームに野球観に行く時は寄って」
「へえ~そうなんだ。じゃあ今はゴルフ教えてんの?」
「あのね、いくら俺がFuckin' Greatなプロテニスコーチだからって、ゴルフは教えられまへん!ちゃんと若くて優秀なコーチがいるよ」
「じゃあ何してる訳?」
「名ばかりの支配人。お爺さんは山に名ばかりに…。はいはい、とにかくウチのコーチは誠実でいいよ。10数人面接して残った3人だからね」
「誠実、不誠実の話で行くと、同じスクールでも某英会話スクールとんでもないね」
「あれさあ、周りにもすごい迷惑かけてるんだよ。新規オープンのスクールは、クレジットカードを取り扱いたくても、クレジット会社が“習い事”ってことだけで審査もしてくれないんだぜ。勿論ウチもそう」
「あのね、このタイミングで恥ずかしいんだけどあそこウチのガキが通ってて、問題になる前から妻に“無駄だから辞めちまえ”って言ってたんだけどなかなか辞めなくて、今回のでやっと辞めた」
「それはさあ、“自分の呑み代は出しても子供の教育費は出さないくせに”っていう無言の抗議じゃないの?」
「まあね。でもね今回辞める時も酷かったよ。妻がフロントで“辞めたい”って言ったら“明日迄に届けを出して”と来たんだけど、えらく忙しそうだったから“電話でもいいの?”と気を利かせたら“OK”で帰って来て翌日電話したら、“電話は無理”、“電話でいいって言われた”って言っても、“対応したのはアルバイト。以前は辞める時は前々月の3日迄に手続きだったが今はそれより遅くした。とにかく辞めれない”だって」
「で、どうなったの?」
「“上に相談する”って言ってそのまま」
「あそこ末端の奴等への給料の支払が遅れちゃってんでしょ?」
「そうそう、どこでも下っ端はつらいねえ」
「君の場合、単純に仕事してないから金もらえてないだけだと思うけど!?」
「そして名言“お金と仕事は淋しがり屋だからある所にしか行かない”かあ」
「だから逆にウチへのツケはたまる訳ね。やっとわかったよ!」
「あいたたた!今夜の分は払うよ」
「じゃ俺はお先に」
「おっ珍しい!始発までいればいいのに。これで連載2回分位のネタたまったか?!」
「至らぬ世話だ!」

2007.10.9
Hanazono3
カテゴリー:word
10/18 11:15
06

Scene 184 [心の根っこ]

昼過ぎにメールが入った。
<今晩来るでしょ?楽しみにしてます。>?????
あっ、そう言えばジュニアの時のスクールの同窓会が何とかってメール来てたな。
<昨日呑み過ぎて忘れてたあ!危ない危ない。とりあえず昼寝>
と、夕方気乗りしなかったら「起きれなかった!」と言える様に返信したら…
<ドタキャン、ダメよ。絶対来てね!楽しみにしてます(^_^)/>

原宿を降りてすぐの、表参道沿いのちょっと高いチャイニーズの小部屋。
知った顔は少なくて、(何だよ、騙されたなあ)と呑み出したら、テニス、そして歳は違えど同じスクールで練習していたシンパシーで結局は盛り上がり出す。
小学生だか中学生だかだった記憶しかない女の子が、実はライバルとも言える同業他社の娘さんだってことがわかったり、いろんな繋がりが話題と笑いを呼ぶ。

二次会は表参道を246の方へかなり行ったバー。
「明日は早朝から大学のコーチに行かないと」と言いいながら、若干絡み酒になりつつあった先輩を何とかなだめてタクシーに押し込み店に戻ると、やっぱそれなりの4人だけ残ってる。
「食われちゃったかと心配してましたよ~」「それなら助けに来いよ!」
と又与太話がスタート。

「僕知らないうちにヴィトンのVIPになってたんですよ」「何それ?」「いや、結婚してた頃はすごい儲かってたんですけど、別れたかみさんが浪費家でアラブの石油王に次いで買い込んでたみたいで」「全部でいくら位行ってたの?」「2」「ジーザス…」「行くと店の前で店員が待ってるし、当然キムタクとかと同じVIPルームだし。同じって言っても同時に二組は絶対入れないんですけど」「そうなんだよね、新作とかってまずそうやってVIPに出すから、店頭に並ばない物が結構あるんだよね」「それだけ買ったんなら別れたって言っても家にまだ沢山あるでしょ?!それ頂戴!」「全部持って行かれちゃいましたよ」「でも何かあるでしょ?VIPだけのものとか」「あっ、そう言えばあった」「何?」「ヘルメット」「ヴィトンのヘルメット?!いくら?」「13万」「それ買った時点で別れるべきだったな」

時計を見れば26時過ぎ。
すると“奴”が「ウチの若いのが迎えに来ますから、明治通り迄歩きましょう!」
そしてどんな車が来るかと思えば「軽」、それも本当オンボロの「軽」。
座席だか荷台だかわからない後部座席から運転手の兄ちゃんに声をかける。
「悪いねえ。大丈夫?」「いや、もう貧乏暇なしで24時間体制で服作ってますからね、丁度いい気分転換ですよ」
“奴”が後ろを向きながら話しかけて来る。
「もうすぐ着きますか?あれっ、この辺に24時間の西友ありません?急な注文とかで夜中に材料仕入れに何回か来てるんですよね」「隣の駅前にあるよ。ところでお前テニスしてるの?」「殆どしてないけど、誘われたら断らない様にしてますよ。今度はテニスしましょうね」
何だかんだテニスの話に戻って車を降りた。

翌日、全米オープン決勝の朝。
某大手新聞のスポーツ面は4ページ。
でもその中には全米オープンはおろか、テニスの文字はなし。
いつだったか、テニスの記事のレベルが下がったって感じたけど、ここまでテニスに無関心な奴がデスクなのか?!
あんたら的にテニスは金にならないかもしれんが、もうテニスから離れてても、機会がなくても、(テニスやりたい)って奴や、テニスで持ってる仲間とか、心の根っこにテニスが宿ってる奴は沢山いるんだぜ。
まあいい、かろうじて決勝の結果は写真付きで載せてたから勘弁してやる…って、そんなの当たり前だろ!!

2007.9.11
Sakai2
カテゴリー:word
09/13 14:30
07

Scene 183 [神田川ブルース]

新しいスクール勤務になるとまずはその周辺を歩き回る。
隣駅、更にその隣駅まで行く事はざら。
街を知るにはインターネットの検索なんかいくらしたってダメ。
どうでもいい店のクーポンを手に入れるのがいいとこだ。
今まで異動する度に、“いい店”を見つけて毎晩呑みに行った。
人気のない通りで、早い時間から仕込みをしてる店は間違いなく美味い、そして居心地がいい。

今日は遅番だけど早番と同じ時間に家を出た。
目的は勿論新規オープンのスクール近辺の探索。
いつもは地下鉄に乗り換える高田馬場から水道橋までをのんびりと歩くつもり。
まずは早稲田通りを明治通りの方へ向う。
流石に馬場の商店街はシャッター街とはなっていないけど、明治通りまでに同じ牛丼チェーンが数軒あって驚く。

(変わってるのかな?)
明治通りの交差点を越えると、部活の練習が終わるのを待っていた彼女を送って、この通りを毎日歩いていた事を思い出す。
この街にその家があるのは、いやあったのは?、わかりきっていたことで、どこかで仕事にかこつけていたのか。
(早稲田通り沿いにある彼女の家まで真っ直ぐなのに、金がなかったから路地裏に入ってひたすら歩いて話をしてたんだよなあ…そう言えば渋谷から新宿まで歩いたり、池袋から馬場まで歩くのもしょっちゅうだったし、井の頭公園なんて何周したんだろ?)
何だよ、スクールの周辺を歩き回って情報収集するのはあの頃の名残じゃん。
ちっとも仕事熱心じゃねえや。

(確かこの辺なんだよな…みなビルになっちゃってわからないや…)
するとビルのテナント表示板に見慣れたちょっと変った苗字。
(そう言えば、お母さんお花の先生だったもんな)
と立ち去ろうとしたら、ビルの竣工碑にお父さんの名前。
碑には昭和62年とある。
(うわあお父さんビル建てたんだ!良かったなあ。真面目に勤め上げたんだな)

春の大会でシードだった俺は、試合のない初回戦に仲間の応援に行って、帰りにしこたま呑んだ後、何か予感がして彼女に会いに行った。
馬場のホームで彼女はずっと泣いてた。
あの時はインターハイ代表になったけど、もし負けてたら…何て今だからセンチに考えるけど、代表になれないなんて考えもつかなかったし、だいたいすぐ次の恋が始まったし…。
いやっ、でも本当に真剣だったよ。

西早稲田から新目白通りに入って鶴巻町、江戸川橋、東五軒町と歩いたらもう飯田橋。
ずっと新宿区内とは言えこんなもんか。
(そう言えば彼女の家から歩いて行って早稲田の学祭で上田正樹観たなあ…捕まった後で、「とったらあかん」を「吸ったらあかん」って唄って笑わしてくれたっけ…その後かな、ARBを観に成蹊に連れて行かれたのは…うん?結局馬場に住んでる子と別れて馬場に通ってる子と付き合ったって事か?)
あっ、いかんいかん、又センチ入ってる。

さて水道橋着。
ああ〜そうだあ、この川って神田川だった!
神田川って井の頭公園の池が源だよな。
吉祥寺〜高田馬場〜水道橋!

OH!YEAH!神田川ブルース!
年老いた淋しがりやの少年が3コードでがなる最高のブルースだぜ。

2007.9.3
Nishikanda
カテゴリー:word
09/06 21:38
08

Scene 177 [コーチ会議]

最近じゃ珍しくFAXが送られて来た。
「コーチ会議のお知らせ」
転送に次ぐ転送で字が潰れてる。

「合宿でやりたい練習メニューはありますか?」
「コンディショニング的な内容も取り入れたいですね。今お手元に回しているのは、私個人所有のコンディショニングの本の一覧です。20冊位かな?興味があれば合宿の前に貸しますよ」
「他には?」
「学校の狭いグラウンドでは満足に出来ないフライの練習はさせてあげたいですねえ」

そう、この“コーチ会議”はテニスのコーチでなく、少年野球のコーチ=素人のお父さん達の会議。
熱心に親身に、それでいてさり気ない自己主張、家族を持ってる男同士の気遣いで議事が進行して行く。
そしてそのまま酒席へ鞍替え。

話していると皆野球部にいた訳ではなく、小学校の時の遊びとして野球を覚えて行って、部活は他のスポーツだったという人が殆ど。
今じゃや「ゲームが悪い」なんて言う前に治安も悪くなってるし、遊びとしてスポーツをやるのは本当に難しい。

ボール一個とバット一本で、夕方まで毎日遊んでたんだなあ。
今では「アンチ巨人」って言葉を余り聞かなくなってしまったけど、その理由は結構深刻だ。
「巨人」が単純明快な“リーダー”でなくなった今、プロ野球は明らかに動員数が落ちてる。
各地に根差したチームが増えて、そのチームの動員が増えている事は素晴らしいが、大きなうねりは感じない。
でもね、好きでも嫌いでも「巨人」が強いことによって、野球が生活の一部の様に野球をして来た大人が沢山いる。
そしてその大人が少年野球の現場で草の根活動を続けている。

正しく“三つ子の魂百まで”かあ。テニスでもこんな流れを作りたいぜ…って毎度同じつぶやきを繰り返してるなあ。
僕のスクールには1週間で約400人のジュニア達が通ってくれてるけど、テニスを今の日本で盛り上げるには、土地の問題含め、やっぱり学校とか公共施設との連携は欠かせない。
久し振りに顧問の先生にでも電話してみるかな。
でも何か照れくさいんだよなあ。

「滅茶苦茶遊んでるでしょう?」
「そうそう!殆ど家帰ってないんじゃないですか?」

おいおい、こんな集まりでもそんな目で見られているのか…。

「ほら!この人はプロなんだから!皆いろいろ話を聞いて!」

監督!コーチ、頑張ります!………又上手くのせられて深入りさせられてく気がする。

2007.7.22
Shibakubo 1
カテゴリー:word
07/26 08:21
09

Scene 173 [Freedom of selection]

「辞めないで下さい!お願いします!」
いい大人が数十人涙ぐんでる。
皆の視線の先には一人の老人。
少年野球チームの下級生親子のBBQ。
公園でやるはずだったが、雨で近所の集会所。
子供達は雨の中外で遊んでる。
親達の涙の訳は、その老人が数日前に言った「今月一杯でコーチを辞める」
という一言。

コーチに必要な事は、指導力云々の前に“情熱”と“継続性”。
「この選手を~してあげたい」という“情熱”と、それを根気良く続けて行ける“継続性”。
いや、それを含めて指導力というんだろう。
彼にはそれがある。
「リタイアしてるんだから当たり前だ」なんて言う奴は、金をもらってる仕事でさえ誠実にこなせない大馬鹿野郎だな。

でもね、自分の都合でしか物事を考えられない勘違いしてる奴は確かにいる。
今回の騒動の発端はこんな感じ。
彼は、まだ野球が上手くない子達の為にTボールの練習(台座の上に置いたボールを打つ練習)を練習前に自由参加で行っていた。
それを数人の母親が、「早くから練習に行くと疲れ切って帰って来て不機嫌で困る」「自由と言っても子供が行きたがるから困る」といった意見を出したってこと。
あのなあ、“自由参加”なんだよ、“自由参加”。
わからなければ、“自由”って辞書で引いてみな。
この手の“選択の自由”があるのに文句言う奴って何なんだよ。
TVにはチャンネルが付いてて、嫌ならチャンネル変えればいいのに、わざわざ新聞の投書欄か何かにしたり顔で文句言って来る奴等と一緒だ。
“選択の自由”がわからない奴は、“言論の自由”を勘違いする。
そんな親がいりゃあ、そりゃあ嫌になるさ。

親達が涙ぐんで引き止めた後、遊び疲れたのかタイミングを見計らってたのか、子供達が部屋に入って来てポケットから手紙を出して一人一人、「コーチ、辞めないで下さい」と手渡した。
親の差し金ではなく、下級生クラスのリーダーの子が“自主的”に皆に呼びかけてたとのこと。
子供らしい紋切り型の言葉とつたない字のメッセージ。
彼は一言「俺は幸せだね」。

スポーツ界の草の根で頑張ってる人達の幸せ。
それは単純に、選手の成長と、選手と周囲の気持ち。
ガキの頃だけでもテニスに明け暮れていた俺には良くわかる。
来月も彼はグラウンドに立っているはずだ。

ガキの頃のテニスって言えば、昨夜ダブルスのパートナーだった先輩からこんな電話をもらったよ。
「頼まれたものさ。日本全国探したけどどっこにもないんだよ。でもさ一個だけ見つけたから、発売日に本店に取りに行ってな」
頼んだものは7月7日発売の【ドリフ大爆笑30周年記念傑作大全集DVD-BOX】の10,000セット限定フィギュア付初回限定版。
発売予定を知った時には、とっくに予約終了で通常版のみ予約可。
その先輩は昔のテニス仲間と呑むと、俺のことを「関東大会に連れてってくれた」と言ってるらしい。
う~む、確かに高校から硬式を始めた先輩を成長させたからな!

先輩ありがとうございます!今度は何頼もうかな?!

2007.6.28
Iidabashi A5
カテゴリー:word
06/28 13:20
10

Scene 171 [遊ぼうよ]

「いいっすよ」
良く耳にする体育会系言葉。
これが最近凄いいい言葉だなあと感じてる。
年下、部下が年上、上司に応える言葉だけど、ギクシャクしがちな縦関係を気さくに親しげにしつつ、上の者への親愛の情がこもっていて、下の者の気遣い、優しさが見える。
人間関係ってやつは上の者の器量も大事だけど、下の者の器量も大事なんだよね。
ちょいと鼻高々のあんた、実は下の奴等があんたが鼻高々でいられるスペースを作ってくれてるんじゃないかい?
まあそういう場合は、あと少しすればあんたと彼等の立場は入れ替わっているんだろうよ。

この手の話で今も思い出すのは、高校時代の部室での出来事。
練習が終って部室で着替えていると、皆(何か面白いことないかな?)と悪戯を始める。
それはたいていが先輩が後輩をからかうことになるんだが、テニスが上手い先輩や人望がある先輩にちょっかいを出されると、皆「何するんすか!?」と笑って応える訳だ。
そしてある日、いつも通りふざけが始まった。
標的は俺等の同期のお調子者。
その日は皆がそいつに乗っかって行く様な感じだったかな。
おふざけも終りかなというタイミングで、大して上手くも強くもない先輩がそいつにちょっかいを出したその時、奴のデカイ声が部室に響いた。

「ふざけるんじゃねえですよ!」

俺等は腹をかかえて大笑い。
面白いだろ?これ。
言われた先輩は若干バツが悪そうだったけど、もし奴が「ふざけるんじゃねえ!」って啖呵切ってたら、あの先輩の立場はなかったよね。
俺の周りはそういう啖呵を切る側の奴等ばっかりだから、何かと笑いが溢れてる。
そう言えば旦那に、「人間関係はユーモアなんだよ!」って怒鳴りつけて離婚した女がいたなあ。

バーに独りで呑みに行く楽しさは、そこに居合わせた客同士がそれなりの接点を見つけて、笑いに結び付けて行くところなんだが、やっぱりどこでも空気が読めない奴はいる訳だ。
でもそいつを邪険には扱わないで、話を上手く誘導してやったり、わざと話の腰を折ってやったり、空気の読めなさを利用して面白がったりするんだよね。
勿論たまには説教みたいになってる時もあるが。

さて今周りを見回して、あんたの周りにはユーモアがあるかい?
口から生まれて来たあんた、皆を楽しませてるか?
口下手のあんたも、とりあえず隣の仲間に声かけてみないか?
えっ?!「どう声かけたらいいかわからない」。
そうだな、まずはドリフのDVDを観ながら、長介と一緒に「おいっすー!」とでもやってみようか?

2007.6.14
Nishiarai-honcho
カテゴリー:word
06/14 17:00
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